まだまだ粗削りも磨けば光る原石、期待の若虎・江越大賀の成長度
空振りで拍手が沸くルーキー
7月21日に1軍へ再昇格してから「7番・センター」でスタメン出場を続けている阪神のルーキー・江越 【写真は共同】
開幕前、クリーンアップを任されるマートンと福留孝介の2人に加え、昨季ゴールデングラブ賞を受賞した大和で、チームの外野陣は不動に思えた。しかし、大和が打撃不振に陥ると、ルーキーながら春季キャンプからアピールを続け、開幕1軍入りを果たした江越の存在が徐々にクローズアップされる。
4月2日の東京ヤクルト戦(神宮)でプロ初出場、同5日の巨人戦(東京ドーム)でプロ初先発を果たすと、甲子園での今季開幕戦となった同7日の横浜DeNA戦でプロ初安打を記録。同28日のヤクルト戦(甲子園)ではプロ初ホームランを放ってみせた。その後は2軍降格、1軍昇格を繰り返すが、多くの小学生が夏休みに入った7月21日に昇格して以降は「7番・センター」でスタメンでの出場を続けている。
レギュラー争いのライバルに俊足と小技を武器とする選手が多い中、江越の最大の魅力は追い込まれても三振を恐れないフルスイング。例えば7月25日のDeNA戦、チャンスで打席に立った江越がファーストストライクをフルスイングも空振り。次の瞬間、真っ黄色に染まったスタンドからは拍手が沸き起こった。
「結果も大事ですけど、結果にとらわれず必死にプレーしていきたい」
調子の良し悪しにかかわらず、そう繰り返し話していた男の信念は、ファンにもしっかり伝わっている。
ファンも驚く滞空時間の長い一発
圧巻だったのは24日のDeNA戦(甲子園)でのホームラン。0対0で迎えた7回2死一塁の場面で「バッティングカウント(2ボール1ストライク)だったので余計なことは考えず、空振りしてもいいと思って、思い切ってスイングしました。自分らしいバッティングができました」と、レフトへの2試合連発弾でチームを3連勝に導いた。
結果だけではない。江越の放つ打球は、滞空時間が実に長い。着弾点近くで観戦していたという阪神ファンの男性も「(打球が)高く上がったのでどうかなと思ったのが、グングン近づいて来た。一度見失ったんですけど、探せるぐらい滞空時間の長い当たりで、周りの人もみんな『来い! 来い!』と言ってましたよ」と目を丸くして証言する。
決して一発を狙って下からすくい上げるような、いかにも長距離砲というスイングではないが、放たれた打球は強烈なスピンがかかり、見ている者の想像以上に長く伸び、美しい弧を描くのだ。