初の南米制覇を狙うチリの“最強世代” グループ首位通過で得られる開催国の特権
サ・サ時代よりも強い?
僕が泊まるアパートの主人ホルへは、ビダルの発言に対し「私はそうは思わない。やっぱりマルセロ・サラス、イバン・サモラーノ(いわゆる“サ・サ”コンビ)がいた時代の方が、最高のジェネレーションだったと思う。だけど、今のチリは監督が素晴らしく、サラス、サモラーノの時代と比べてチームとして機能している。マルセロ・ビエルサが作ったチームを(クラウディオ・ボルギを挟んで)ホルヘ・サンパオリがしっかり仕上げた」と言う。ホルヘの結論も、結局はサ・サの時代よりも、今のチリ代表の方が強いということだ。
サラス自身は、ビダルの発言を「今のチリ代表は質の高い選手がそろった、史上最強のチームだ。多くの選手が外国でレギュラーとしてプレーし、タイトルを獲っている。ワールドカップ(W杯)、コパ・アメリカの経験も豊富だ」と肯定している。
今回のコパ・アメリカに燃える理由
ちなみに国内組4人のうち2人は控えのGKだ。クラウディオ・ブラボ(バルセロナ)、アレクシス・サンチェス(アーセナル)、エウジェニオ・メナ(クルゼイロ)、ガリー・メデル(インテル)、ホルヘ・バルディビア(パルメイラス)、マティアス・フェルナンデス、ダビド・ピサロ(共にフィオレンティーナ)、ビダルらチリの選手たちは欧州、南米に広く散らばって活躍している。その強い“個”が3バックと4バック、ハイプレッシングからのショートカウンター、手数をかけない縦に速い攻め、ポゼッションサッカーを巧みに使い分けているのだ。
しかも彼らには走力と情熱がある。2014年W杯では決勝トーナメント1回戦で開催国のブラジルに敗れたが、その明暗を分けたのはPK戦。チリにも勝機は十分あった。
このような背景があるから、チリは今回のコパ・アメリカに燃えている。サンティアゴの街は昼から応援グッズの屋台が並び始め、レストランの店員も赤いレプリカユニホームを着て夜に備えていた。
もしグループ首位通過を果たしたら
嫌な雰囲気が生まれ始めていたナショナルスタジアムだったが、67分、ビダルがPKを決めてチリが待望の先制ゴールを奪った。82分にバレンシアのヘディングシュートがバーに当たる幸運もあってピンチを凌ぐと、その2分後にサンチェスのスルーパスから途中出場のエドゥアルド・バルガスが2−0として勝負を決めた。
チリ本来の実力からすると物足りない内容ではあったが、それでも開幕戦でしっかり勝ち点3を奪ったのは非常に価値がある。次の対戦相手は招待国のメキシコだが、彼らはゴールドカップを戦わないといけないため、Bチームをコパ・アメリカに派遣している。グループリーグ最終戦は、チリと比べると実力で見劣りするボリビアだ。エクアドルを破ったことで、チリはグループAを首位突破する可能性が高くなった。もし、この皮算用通りに進んだら、チリは決勝戦までの6試合全てをサンティアゴのナショナルスタジアムで戦うことになる。これほど恵まれた開催国特権はないだろう。
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