球宴で感じた“群雄割拠の時代”の到来 輝きを放つレブロンに続く世代の選手たち
ニューヨークらしい演出で大盛り上がり
カーメロ・アンソニー(7番)のスピーチで始まった今年のオールスターゲームはウェスタン・カンファレンスが勝利した 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】
地元ニューヨーク・ニックスのスーパースター、カーメロ・アンソニーがそうスピーチして始まった2015年のNBAオールスターゲーム。期間中は凍てつくような寒さに見舞われたが、それでも15日にマディソン・スクウェア・ガーデン(MSG)で行われた“夢の球宴”は、この大都会でも近年屈指のホットチケットとなった。
現役最強選手の名をほしいままにするレブロン・ジェームス(クリーブランド・キャバリアーズ)、過去5年で4度も得点王に輝いたケビン・デュラント(オクラホマシティ・サンダー)、歴史的シューターと目されるようになったステファン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)、史上初の兄弟同時先発出場を果たしたパウ(シカゴ・ブルズ)、マーク(メンフィス・グリズリーズ)のガソル兄弟など……。コービー・ブライアント(ロサンジェルス・レイカーズ)、ドウェイン・ウェイド(マイアミ・ヒート)が故障欠場したのは残念ではあったが、それでも例年通りに豪華メンバーがそろい、ファンにため息をつかせた。
試合前、ハーフタイムのショーには、クリスティーナ・アギレラ、クイーン・ラティファ、アリアナ・グランデ、ニッキー・ミラージュといった人気ミュージシャンたちが続々と登場。タイムアウト中にはブロードウェイの役者たちがパフォーマンスを行うニューヨークらしい演出で、ファンを飽きさせなかった。
MVPは文句なしでウェストブルック
41得点を挙げる活躍を見せたウェストブルックがMVPを獲得 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】
「(チェンバレンは)偉大な選手だから、近づけただけでも幸福だよ」
結局、わずか1点届かない41得点に終わったウェストブルックだったが、試合後は満足気な笑顔をみせた。レコード達成はならずとも、その挑戦が今年のオールスターを盛り上げてくれたことは紛れもない事実である。
一方、イースタン・カンファレンスではやはりレブロンの存在感が目立った。第1クオーター最初の8分間で9本のショットを放ち、試合開始直後のイーストの21得点中15点を1人でマーク。アグレッシブに攻めることで、緊張感の欠如ゆえに大味になりがちな球宴に“本気意識”を注入してくれた。
「バスケットボールファンが僕にファン投票で投じてくれた理由は理解している。みんなは僕らしいプレーを見たがってくれているから、彼らを楽しませる責任があると思った。それが果たせたことを望むよ」
球宴の火付け役を果たしたレブロンのコメントからも、米国バスケットボール界を引っ張るリーダーとしての自負が感じられた。
こうして“本気ノリ”で臨んだ東西のスーパースターに引っ張られたゲームは、第3クオーター終了時で122−122、最終クオーターも残り4分の時点でも148−148と拮抗(きっこう)したまま進んでいく。
最後はジェームス・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)、クリス・ポール(ロスアンジェルス・クリッパーズ)、ウェストブルックらの働きで突き放し、地力に勝るウェスタン・カンファレンスが163−158で競り勝ち。MVPは文句なしでウェストブルックが獲得し、大活躍の夜に華を添えた。
オールスターは、何よりファンのためのもの。アクロバティックなダンクの連発も良いが、少なからず緊張感があった方がファンも喜ぶゲームになる。そのことを理解したレブロンの精力的な動きと、大記録に向けてまい進したウェストブルックのプレーが、今年の球宴をより後味の良いものにしたことは間違いなかったはずだ。