大谷翔平、“二刀流”進化への確信 必要不可欠な投手としてのレベルアップ

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さらに二刀流を昇華させる信念

鎌ケ谷で自主トレに励む大谷。今季はプロ入り後、封印していたワインドアップも試している 【写真=高原由佳】

 未知の突き抜けた才能が行く先の終着点は、見えてくるのだろうか。北海道日本ハム・大谷翔平が、3年目を迎えた。プロ入りから二刀流に挑み、周囲の懐疑的な風潮、意見を圧倒的かつ魅力あふれるパフォーマンスで封じ込めてきた。

 2年目の昨季は11勝&10本塁打。3勝&3本塁打だった1年目からは数字上で大きな上積みを見せて、説得力十分な成長曲線を描いている。同一シーズンの2ケタ勝利、2ケタ本塁打の達成は1918年のベーブ・ルース(当時レッドソックス)以来と脚光を浴びた。球史に残る偉人の名前がクローズアップされるほどの進境だった。

 成熟の一途をたどっているが、今季は歩みを止めないためにも勝負のシーズンになる。大谷は何を思い、何を理想としているのか。千葉・鎌ケ谷で自主トレを公開した年明けの1月5日、自然体の目標を明かし、またそこに少しの自信がにじんでいた。

「特に変わったことをするつもりはない。やることをしっかりやればいい。引き続きやることをやっていければ、いいかなと思います。3年目、どういう成績になるか楽しみです」

 その言葉が意味するものは二刀流をさらに昇華、ベースアップさせようとする強い意思と確信だ。今季は投手として確固たるエースの座を確立させる可能性があるだけでなく、それが使命とも言える。昨季は1年間、ほぼローテーションを守り続けることができた。24試合に登板して2完封を含む3完投、155回1/3を投げ切った。シーズン終盤は、初体験となる1年間フル稼働の余波もあり、蓄積疲労に悩まされてコンディショニングが整わず、調子を下降させていった。ただ、1年間のペース配分を体験できたことが、一番の収穫だった。徐行運転だった1年目の13年は13試合登板で、うち中継ぎが2試合。1、2年目を比べれば飛躍的な成長を遂げた。

 二刀流の軸となるのは投手である。ローテーション投手として1年を通して投げることへの対応法を把握できたことで、今オフに取り組むべきことが明確になった。大谷も「昨年を踏まえて今年またやってみて、ですね」と見ているように、大きな発見があったのだろう。

オフに実践する肉体面の強化

 昨季の1試合平均投球回は7回未満。今季は年間180回以上を、1つの目標としていると言う。そのためオフ期間に、昨年から継続して取り組んでいるのが肉体面の強化だ。シーズン中は二刀流を実践していることもあり、過度な負荷のかかるメニューは避けているが、この期間は一気に土台を作り替えている。クルマでたとえるのであれば、排気量を上げる作業に取り組んでいるのだ。周囲の関係者によれば、背筋などが目に見えてたくましくなっているという。

「何キロとか決めてないですけど、増やしていく」

 昨年も約4キロの増量に成功してキャンプインし、一定の成果を上げた。それでも未完成で、パフォーマンス向上の余地があると判断し、さらなる高みを目指している。

 防球ネットに向かってのスローイング、投球動作の確認など、投手としての技術練習もシンクロさせ、変化していくボディの操作性も確認しながら、クレバーに課題と向き合っている。タフさを増し、プラスアルファで精度も高める。大黒柱としての任務の1つである、長いイニングを投げ切ることができれば、自然と勝利数など各種成績も好転するだろう。それは二刀流のレベルをさらに上げるための要素とも言える。衝撃的な進化を見せ続けているが、まだ残されているシンプルな課題をクリアすることが、一番の大きなカギと自他ともに導き出している。

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