中日・堂上直倫、8年目で打撃開眼か!?=期待を裏切り続けた男の変化
昨季の打率1割台から大きく進歩
プロ8年目を迎えた堂上直、今季は打撃改造が実を結びつつある。開幕スタメンは逃したが、徐々に結果を残している 【写真は共同】
16日終了時点で14試合に出場(スタメン8試合)して、打率2割9分7厘、1本塁打、6打点。昨季は74試合に出場して打率1割7分1厘、1本塁打、12打点だったことを考えても進歩は明らか。しかも、今季は数字以上にチームの勝利につながる一打が目立っている。
堂上直倫――。2006年の高校生ドラフトでは中日、阪神、巨人の3球団が1巡目で指名した。同年代の誰よりも将来を嘱望されながら、ここまで“レギュラー候補生”のまま7年の歳月を過ごしてしまった男が今、ようやく覚醒の時を迎えようとしている。
オープン戦での“バント失敗”を糧に
3月22日の東北楽天とのオープン戦。「7番・ショート」でスタメン出場を果たしたが、2点ビハインドで迎えた5回裏・無死1、2塁の大事な場面、反撃の絶好の機会で送りバントを失敗。続く7回の打席で見逃し三振に倒れると、最終回の第4打席では代打を送られ、さらに翌日のオープン戦最終日には出場機会すら得ることができなかった。
自らの存在意義は、小技を含めたベンチからのあらゆる要求に応えること。それが、堂上直がレギュラーを奪取するための第一条件だった。それまで、不振で2軍降格となった高橋周平に代わってショートを務め、3月13日の福岡ソフトバンクとのオープン戦で2安打1四球、続く15日の北海道日本ハム戦では3安打2打点とアピールを続けたが、いざ28日の公式戦開幕を迎えると例年通りの控えに回った。
オープン戦の終盤で8打数ノーヒットと当たりが止まったことも要因にあっただろうが、やはり首脳陣からの評価を最も下げてしまったのは、バント失敗という“ミス”だった。「当たり前のことをしっかりやる」――。同じ轍は二度と踏まない。堂上直は自らにそう誓っている。
バットスイングの修正が実を結ぶ
だが、頭打ちになりつつあった打撃面の成長を、波留敏夫・外野守備走塁打撃コーチをはじめとしたコーチ陣の指導が助けようとしている。昨年の秋季キャンプから取り組んだのはバットスイングの修正。インサイドアウトの軌道に変え、レベルスイングを徹底した。今季の第1号を放った直後、本人も「バットが下から出ないよう、レベル(スイング)で振れる練習をしています。しっかり練習してきたことが出せたかなと思います」と成果を口にする。
この1発だけでなく、詰まりながら内野の頭を越えるなど打撃内容は明らかに変わった。「今年は打つ方でアピールしていきたい」と堂上直は胸を張る。もしかしたら、『飛びすぎる統一球』の影響もあるかもしれないが、本人の口調、表情に自信が表れるようになり、周囲も堂上直のバットに期待を抱くようになったのは確かだ。