ビジネスパーソンこそ、プロとして“カラダ”と向き合え。nanapiのCTOが語る

STANDS!

【STANDS!】

既成のイメージをぶち壊す、鍛え抜かれた肉体を持つ、ロックな風貌のCTO。

【STANDS!】

 エンジニアと聞いて、皆さんはどんな人物像をイメージするだろうか?
 報道やニュースの影響による先入観のせいで、どうしても「おとなしい」、「出不精」という、偏見を持って見てしまうのではないだろうか?

 今回、特集するnanapi(ナナピ)の和田修一氏は、そんなイメージをぶち壊すような人物だ。鍛えぬかれた肉体を持つ、いわゆる細マッチョで、趣味のギターに似合うロックな髪型。週に4日以上は走り、フルマラソンはもちろん、ロードバイクのレースやトライアスロンの大会にも参戦している。

 本業の方でも非常に高い評価を受け、日本有数のCTO(最高技術責任者)ともされている和田氏だが、コンディショニングへの意識を高く持っているらしい。まず前編では、彼のライフスタイルから探っていきたいと思う。

その日ではなく、1週間、1ヶ月単位でコンディションを整える。

【STANDS!】

――nanapiといえば、今、もっとも勢いのあるベンチャー企業の一つだと思うのですが、そのCTOである和田さんは普段はどれぐらい働いているんですか?

和田 そうですね、9時〜9時半には会社に来て、夜はどんなに遅い時でも日が変わる前には帰るようにしています。それ以上は何かトラブルがない限りは、極力働かないようにしていますね。

――上場を目指すベンチャー=ハードワークというイメージがあったんですが、いつも遅くまで働いているというわけではないんですね?

和田 日々、安定したパフォーマンスを発揮できるようにしなければ意味がないので、意識して早く帰ることにしています。自分の場合、1日単位ではなく、1週間、1ヶ月という長いスパンでカラダのコンディションを整えているタイプですね。

 例えばですけど、1日8時間働くAさんと、1日10時間働くBさんがいるとして。1日2時間の差かもしれませんが、Bさんはそれでカラダを壊して月に2日会社を休んだら、それだけでも損しているワケで。だから意識的に早く帰るようにして、カラダを崩さないように気をつけていますね。そのおかげで、起業してからの5年間大きく体調を崩したことはありません。
――それだけコンディションのことを意識しているということは、睡眠にもやっぱり気を使っているんですか?

和田 はい、いつも逆算して最低でも5、6時間はとるようにしていますね。あと、寝る前はアロマを焚いた上で瞑想とかしています。やっぱり仕事していると、色々と考えることが多いじゃないですか? だから、何らかの方法でアタマをリフレッシュしてから眠りにつくようにしています。

 そうでもしないと、睡眠に集中できない気がするんです。睡眠の効率をあげるためにも、アロマを焚いて瞑想して、アタマの中をリフレッシュしていますね。もうヤバイくらい忙しい時って、夢の中でもプログラムを書いているんですよ(笑)

――それ、わかる気がします(笑)

和田 まぁ、技術者としては当たり前のことかもしれないんですけど、朝起きた時のグッタリ感といったら、もうすごいワケで(笑)。だから、寝る前にアタマを空っぽにするということはすごく大切にしていますね。

カラダを壊すことは、事業リスクにもなり得る。

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――相当コンディショニングに力を入れていますが、そこに目覚めるキッカケは……やっぱり起業ですか?

和田 そうですね、やっぱり起業のタイミングですかね。このnanapiって、代表の古川(WEBの世界では、“けんすう”で有名)とエンジニアの自分が、たった2人で起こした会社なんです。

 彼はプロデュースとかディレクションに長けていますが、エンジニアじゃないのでシステムに何かあった時に直せるわけじゃないんですね。だから、もしボクに何かあった瞬間、ウチのサービスはもう終わるワケです。当然、これは事業リスクになるわけであって。

 ただ初期のベンチャーの場合は、資金もないから採用もできないし。じゃあ、自分が倒れてnanapiのサービスがダメにならないためにも、安定したパフォーマンスを出すためにも、とことんカラダに気をつけようとなったんです。

――ちなみに定期的にカラダとか動かしてますか?

和田 はい、週に4、5回は走っています。朝に、そうですね、10km前後ぐらい走っています。

――結構走ってますね! そして、やっぱり朝なんですね。

和田 夜の時間って、自分一人じゃコントロールしきれないところがあるじゃないですか? 仕事がどうなるかわからないし、突然、食事の予定が入るかもしれない。なんだか中途半端に仕事を切り上げても、そういう心境の時ってジムに行くのも、帰ってから走るのも何だか億劫なんですよね。

 となると、やっぱり一番時間をコントロールできるのは朝。睡眠時間を削りたくないなら、前夜に早めに就寝して、朝にやりたい事をやればいいし。やっぱり朝が一番マネジメントしやすい時間なんですよね。

カラダを整えると、結果、心も整う。

【STANDS!】

――和田さんの印象ですが、他のメディアで脱いだように、結構いいカラダをしていますよね? 痩せてからは筋トレに励んだんですか?

和田 「仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか」という一時期、流行っていたあの本の影響で、はじめました(笑)。まぁ、言ってることはシンプルで、経営者は走るし筋トレするし、トライアスロンをするよ、って話しなんですが、そこでやっぱり経営者は鍛えて当たり前だなと感じたんです。

――たしかに、仕事がデキる人=カラダを定期的に動かしている、ってイメージは、なぜか強いですね。

和田 僕、そういうイメージはロジックなく信じることができるんですよ。太っていて成功できる可能性が下がるのであれば、じゃあ鍛えようと。その本を読んだ当時は、今より10kg太っていましたし。逆説的ですけど、痩せて筋トレすれば今以上にもっと仕事かできるようになるんじゃないかという風に考えてみたんです(笑)。

――それ、本当ですか(笑)?

和田 ええ(笑)。そこから、食生活を見なおして、定期的に運動するようになったら普通に体重は落ちて。食事に関しても、とりあえず揚げ物の割合を減らしたり、ラーメンライスをやめて炭水化物の割合を減らしたぐらいですし。それに加えて、週3のランと週2回のスイムを加えた感じです。

 失敗する人のパターンって様々ですが、成功している人のパターンって数少ないってよく言われますよね。それに当てはめることで少しでも自分を高められるのかもしれないという思いもありました。

――本の通りかもしれませんが、今ではnanapiはすごく注目されている企業にまで成長しましたね。

和田 仕事がデキるかどうかは他者評価なのでアレですが、心身ともに強くなれたというのは感じています。やっぱりこの立場(CTO兼、執行役員)だと、踏ん張らないといけない場面はもちろん、イヤになっちゃうくらい面倒くさいこととか、たくさんあるんですよ(笑)。

 そういう時に頼れる仲間も当然いますけど、最終的には自分のメンタルが生命線になってくるんですよね。そのメンタルに関しても、頑張った経験があるほど、支えてくれると思うんですよ。
 まだまだ数は多くないですけど、僕は今まで色々なマラソンやロードバイクのレースに出ていて。やっぱりマラソンとか辛いわけなんですが、苦しい時間帯を乗り越えるとカラダが楽になったりして、何とかゴールまで走り切れるんですね。

 そういうレース中の細かいドラマを幾つも経験していると、経営の苦しい場面でも、同じような気持ちで頑張れるワケです。

<後編に続く>

■和田修一 Shuichi Wada
中央大学経済学部卒業後、2005年に楽天入社。国内版『楽天市場』の運用のほか、台湾版『楽天市場』の設計・構築・運用などに携わるなど、インフラエンジニアとして活躍。同社を退職後、起業し、現在は95,000件を超えるライフレシピが集まるハウツーサイト『nanapi(ナナピ)』を技術・経営の両面から支えている。
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著者プロフィール

「スポーツをプラスすれば、毎日はもっと楽しくなる」をコンセプトに、カラダを動かすことの楽しさや面白さを伝えるWEBマガジンです。STANDS!では、スポーツをはじめるにあたり、行動に移せていない潜在層に対して、「スポーツ×ビジネス」という独自の観点からのインタビュー記事や、健康に関するコンテンツ、注目イベントの紹介・レポートを配信することにより、「カラダを動かすきっかけ」を提供しています

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