「笑顔が生まれるから山を歩く」 “山ガールのカリスマ”四角友里
【坂本清】
このブームの決定的な後押しになったのが、「山スカート」の存在だろう。それまでのイメージを一変させ、「オシャレをして山に登る」という新しい世界観を生んだ。その山スカートを日本に広めたのが、“山ガールのカリスマ”とも呼ばれる四角友里さんだ。
きっかけは「自分にとっての大冒険」
四角さんにとって初めての山歩きとなった上高地 【Getty Images】
「その時は、観光で連れて行ってもらったんです。最初から山登りだと気合いを入れて行ったわけではなくて。何か知らない世界にポンと入れられて、手付かずで人間の比じゃない大きさの雄大な自然に囲まれたり、包まれたり、見つめられたりということの、幸せな気持ちをそこで味わいました。
【坂本清】
「山の世界、すべてが怖かった」
【写真提供:四角友里】
「とにかく山の世界が怖すぎて……。ニュースで山の遭難とか見るじゃないですか。何も知らないながらに、植村直巳さんは山で遭難して亡くなったとか知っていましたし。
上高地では“観光客の人”と、大きなザックを背負った“山の人”に二分化されていました。それを見て、女性でも同じように重いザックを背負えないといけないのだろうと思ったし、アウトドアウェアもなじみがないものでした。そうした山の世界がかもし出すもの、すべてが怖かったんです。
山スカートとの運命的な出会い
【写真提供:四角友里】
「その時は、1時間半の平坦な道のりをゆっくりと歩いて山小屋に泊まって、また同じ道を帰ってきたんです。途中の湿原で見たクモの巣が光を浴びて宝石みたいにキラキラしていて、クモの巣をキレイだと思うのが人生で初めてでした。そうしたビックリを経験しながら、たどり着いたときの夕焼けが、またキレイだったんですよね。涙が溢れました。
そのときに出会ったバックパッカーの女の子が、山スカートをはいていたんです。私は山小屋に泊まるのが初めてで、着替えをどうしたらよいか分からなくて戸惑っていて。でも、その子はスカートの下でパッと下着を着替えていて、それがとてもカッコよかったんです(笑)」