金泰均、李ボム浩は日本で活躍できるのか!?

室井昌也

第2回WBCでともにベストナイン

 11月16日に金泰均、20日には李ボム浩がそれぞれ千葉ロッテ、福岡ソフトバンクへの入団会見を行った。いずれもチームのシンボルカラーを取り入れたコーディネートで会見場に登場。「3年前から挑戦したいと思っていた日本でのプレーがかなった」(金泰均)、「韓国の選手なら誰もが夢見る日本という大きなステージ。そんな舞台で末永くやりたい」(李ボム浩)と抱負を語り、日本でのスタートを切った。
 この2人が日本で注目される存在となったのは、ことし3月のワールドベースボールクラシック(WBC)だ。金泰均は韓国代表の4番として大会トップの3本塁打、11打点。李ボム浩もトップタイの3本塁打、チームトップの打率4割を残し、大会のベストナインに一塁手、三塁手部門で選出された。
 韓国のWBC準優勝に貢献した金泰均と李ボム浩。2人は国内リーグでも長きにわたり、同じチーム(ハンファイーグルス)でクリーンアップを張ってきた。金泰均はWBCで松坂(大輔/米大リーグ・レッドソックス)から特大のホームランを放ったことで、長距離砲と認識されがちだが、本人はそれを否定する。「自分はホームランを意識してバッティングをするタイプじゃない。ヒットを打とうとして正確に捕らえた結果がホームランになっている。だからホームランの数は意識しない」。金泰均の韓国9年間での通算打率は3割1分を誇る。
 一方の李ボム浩は2003年から08年途中まで615試合連続出場するなど、頑丈な肉体を持つ。その秘けつを李ボム浩は「集中力」と話す。「いつケガをするか分からないから、常に集中している。打撃でもチャンスで集中してアピールしたい」。WBC決勝戦の9回裏、あとアウトひとつで日本の優勝が決まるという2死一、二塁の場面で、ダルビッシュ(有/北海道日本ハム)から放った同点タイムリーは、高い集中力の成せる業だろう。

韓国記者も金泰均には太鼓判

 WBCと国内リーグで申し分ない実績を残してきた金泰均と李ボム浩。2人はこれまでのような活躍を日本でも見せられるだろうか。今回、「金泰均と李ボム浩は日本で成功するか?」というアンケートを、2人をよく知る韓国の野球担当記者たちに実施した(全8社、17人が回答)。すると、金泰均に対して約8割の記者が「韓国同様、あるいは少し成績は落ちるがチームに貢献する」と答えた。理由として、「金泰均はパワーと正確性を併せ持つからだ。そして日本では韓国より高いレベルの選球眼が求められるが、金泰均は選球眼もいいのである程度成績を残すだろう」ということだった。一方、李ボム浩については「チームに貢献する」と「苦労する」の2つに意見が分かれた。「李ボム浩はパワーに比べ正確性が落ちる」や「WBCでは活躍したが公式戦と短期決戦は明らかに違う」というのが主な理由だ。
 また、彼らが成功するために必要なこととして、技術面では「内角攻めとフォークボール、アウトコースに落ちる球に対しての対処が必要」、「シーズン序盤に内角球に適応できるかがカギ」という回答があった。そして精神面では、ほとんどの回答にこれまで日本に来た韓国人選手の成否を例に「スランプにはまった時、気持ちを早く切り替えることが必要。そのために日本語を早く覚えて日本の文化になじみ、チーム同僚とのコミュニケーションに努めるべき」というものがあった。
 2人が挑むのは好投手がそろうパ・リーグ。WBC東京ラウンドで岩隈(久志/東北楽天)からタイムリー、馬原(孝浩/福岡ソフトバンク)から二塁打を放った金泰均は「パ・リーグはいい投手が多いので、自分も能力以上の力が出るのではと思う。チームに不満の出ないような成績を残したい」と言い、田中(将大/東北楽天)からバックスクリーンへのアーチを放った李ボム浩は「素晴らしい投手たちと対戦できるのは光栄。福岡という魅力的な地で力を発揮したい」と話した。
 チームの両雄がたもとを分かち、新たに臨む日本の舞台。ともに未経験の優勝を目指して戦いに挑む。

<了>
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著者プロフィール

1972年東京生まれ。「韓国プロ野球の伝え手」として、2004年から著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』を毎年発行。韓国では2006年からスポーツ朝鮮のコラムニストとして韓国語でコラムを担当し、その他、取材成果や韓国球界とのつながりはメディアや日本の球団などでも反映されている。また編著書『沖縄の路線バス おでかけガイドブック』は2023年4月に「第9回沖縄書店大賞・沖縄部門大賞」を受賞した。ストライク・ゾーン代表。

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