“日本最大のライバル”韓国に油断なし=WBC出場チーム分析
投手陣の柱となる金廣鉉と柳賢振
北京五輪では9戦全勝で金メダルを獲得した韓国。WBCでも世界一を狙う 【Photo:Getty Images/アフロ】
投手陣で柱となるのが、金廣鉉(SK)と柳賢振(ハンファ)の若き両エースだ。20歳の金廣鉉は昨季、最多勝と最多奪三振王に輝き、リーグMVPを手にした。五輪では日本戦に2度先発。角度のある150キロ近い速球と、縦のスライダーを武器に、2試合で13回1/3を3失点に抑えた。それでも金廣鉉は投球内容に満足せず「シーズン中に投げているような球が投げられなかった。自分の持ち味を出せず、悔やまれる」と語った。
21歳の柳賢振はルーキーイヤーの06年に投手タイトルを総なめにし、北京五輪ではカナダ戦で完封。決勝のキューバ戦でも8回1/3を2失点に抑え、韓国を金メダルに導いた。速球とチェンジアップ、カーブを使ったコーナーワークに定評があり、07年12月の北京五輪アジア最終予選前には、日本チームのスコアラーが徹底分析を行った投手だ。これまで日本との対戦はないが、今回は両チームが、最大で5回対戦する可能性があるので、一度は顔を合わせることになるだろう。
この2人の存在は、韓国にとって大きなものだが、WBCでは球数制限があり、先発完投型の2人にすべて任せるという戦い方はできない。金寅植監督が「先発投手に特に意味はない」と語るように、2番手以降も重要な役割を担うことになる。
その先兵となるのが、五輪で新井に本塁打を許した以外は好投した、高速スライダーが武器の尹錫ミン(キア)や、昨年のアジアシリーズ・埼玉西武戦でリリーフ登板し、3回で4三振を奪った左腕・李承浩(SK)らだ。そして抑えには、変化球を打たせて取る鄭大ヒョン(SK)と、昨季、東京ヤクルトで33セーブを挙げた速球派の林昌勇というタイプの違う2人のサイドスローが並ぶ。彼らの出来も、大きな比重を占めそうだ。
李大浩ら同級生トリオが打線の中心
戦い方としては、この中軸の前に五輪の1次リーグ・日本戦で9回2死からセーフティーバントを決めた李鍾旭(斗山)、準決勝の日本戦でウイニングボールを手にうずくまった李容圭(キア)らの俊足選手が、どれだけ出塁できるかがポイントとなるだろう。
全体的に見て、駒はそろっているが不安要素が2つある。ひとつは代表常連の韓国ナンバーワンショート・朴鎭萬(サムソン)が、肩痛で23日にエントリーから外れ、守備の配置に変更が生じたこと。そして、チームのまとめ役となる選手がいないということだ。ハワイ合宿の雰囲気は、和気あいあいとしたいいムードだが、それを引き締める存在が不足しているとも感じられた。野球人口が少なく、選手間のつながりが深い韓国は、団結力に定評があるが、その中には要所でチームをまとめるベテラン選手の存在があった。今回のチーム内からリーダーシップを発揮する選手が新たに出てくるのか、それとも個々のきずなだけで乗り切るのかも注目すべき点だ。
「日本は五輪の時とは全く違う最高メンバー。チャイニーズ・タイペイは不気味だ。韓国が勝てるという保障はない」と語る金寅植監督。今の韓国代表には日本で恐れられているような“最強感”はない。しかし、これまでの実績による油断もない。そのことが短期決戦でどういう結果を生むだろうか。
<了>
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