最強メンバーでメダルに挑む韓国=北京五輪・野球
4人の先発陣で大会に臨む
国際試合での経験も豊富な柳賢振は韓国投手陣の柱となる 【Photo:YUTAKA/アフロスポーツ】
先発投手陣は、アジア予選で日本が対戦したときとは異なる顔ぶれだ。投手10人中、金卿文監督(斗山)が先発起用を明言しているのが4人。このうち、左腕・柳賢振(ハンファ・10勝)を除く3人は、アジア予選では代表入りしていなかった。その3人とは、昨秋、韓国シリーズで名を上げ、アジアシリーズでも中日相手に先発勝利した金廣鉉(SK・11勝)、米大リーグ・レッズ在籍時にワールドベースボールクラシック(WBC)で代表入りした奉重根(LG・8勝)、米マイナーリーグから昨年、韓国入りの宋勝準(ロッテ・9勝)だ。
先発陣で唯一の右腕である宋勝準は、マイナーリーグでの豊富な経験を生かせる初戦の米国戦、あるいは右打者が多い2戦目・中国戦での先発が予想される。そうなると、4戦目の日本戦では、宋勝準を除く3人の左腕の誰かがマウンドに上がることになる。いずれも力のある速球と落差のある変化球を武器に、韓国プロ野球の奪三振部門トップ3を占める面々。どの投手が出てきても面白い戦いになりそうだ。
そのほかの投手は中継ぎ4人、抑え2人で構成される。ブルペン陣も球威のある投手が多く、唯一制球力で勝負するのが抑えのサイドハンド・鄭大ヒョン(SK・18セーブ)だ。しかし、鄭大ヒョンは左ひざの故障で7月は安定感を欠いているため、本来は先発だが五輪ではリリーフ起用となる左腕の張ウォンサム(ウリ・8勝)への比重が大きくなるだろう。張ウォンサムは、6月以降安定したピッチングを続け6勝(1完封)2敗。五輪については「リリーフだからどの国相手に投げるか分からないが、できれば日本戦に投げたい」と意欲満々だ。
足を絡めた攻撃に注目
歴代最強クリーンアップの一角を担う金東柱。その打棒は相手チームには脅威だ 【Photo:YUTAKA/アフロスポーツ】
また、下位打線には高打率を残す選手が並ぶ。WBCでの度重なる美技から「国民的右翼手」と呼ばれ、アジアシリーズ決勝戦では岡本真也(当時中日、現埼玉西武)から同点2ランを放ち、国際試合で力を発揮する李晋暎(SK・3割3分6厘)、アジア予選では成瀬善久(千葉ロッテ)から左中間にタイムリー二塁打を放った李宅根(ウリ・3割2分5厘)と抜け目ない打線となっている。これらに加え、現在首位打者、20歳の金賢洙(斗山・3割4分2厘)が控えとして待機するなど、充実した打撃陣となっている。また、野手の中で4人が、金卿文監督が指揮をとる斗山の1番から4番を任される面々。さらに、三塁ベースコーチも斗山の金光洙コーチと、シーズンを共に戦うメンバーであることも1点を争う展開では、生きてきそうだ。
若いメンバーをまとめるベテランたち
これら若い選手をまとめるのがベテランたちだ。代表最年長35歳の内野手・金敏宰(ハンファ)と34歳の捕手・陳甲龍(サムソン)がその役を担う。陳甲龍はアジア予選で代表選考されたが現地台湾入り後、最終メンバーから漏れた。しかし帰国はせずチームに帯同。打撃投手などを務めチームのバックアップに尽力した。このような姿勢から、ナインから厚い信頼を受けている。両選手とも強力なリーダーシップを発揮するタイプではないが、背中で若いチームを引っ張っていく。
金卿文監督は五輪での目標について「まず予選を通過すれば、次にメダル獲得の可能性が出てくる。選手たちはメダルを手にできるメンバーだと思う。いいチームワークと調和でメダル獲得に挑みたい」と語った。
強力な左腕先発陣。どこからでも得点可能で、足も使える打撃陣。そして、真夏の戦いに挑める若さと精神力。今回の韓国代表は近年で最強ともいえる面々が集まり、メダル獲得へ闘志を燃やしている。
※記録は7月27日現在
<了>
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