新天地で迎える自身の“開幕戦”。躍動する姿は、チームの未来につながる

【©ジャパンラグビーリーグワン】

入替戦出場に向けて、2位争いは混戦模様を見せ始めている。4位の花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)にとって本拠地に日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)を迎え撃つ一戦は、当然勝利だけが必要だ。

そんな花園Lで今季初めてメンバー入りを果たした丸山凜太朗にとっても、特別な一日になる。

「ようやく(花園Lの)ジャージーを着られるので、しっかりと自分のパフォーマンスを出すだけです」。短く言い切った言葉に、丸山の思いが凝縮していた。東福岡高校では1年生から背番号10を託され、東海大学でも活躍。しかし、トヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)では昨季、開幕戦で負った負傷の影響などもあって、3試合の出場にとどまった。

ディビジョン1昇格だけでなく、世代交代も目標に掲げる花園Lで次世代の中心選手として誘いを受けた丸山は、社員選手だったトヨタVとは異なり、プロ契約選手として新天地に乗り込んできた。

負傷で出遅れていたわけではないだけに、出番のない日々に悔しさは募ったが、そんな丸山を支えたのはトヨタV時代の経験だ。

「メンタル面はトヨタV時代に育ったと思いますし、ここに来ても生かされています」

同じポジションを争ったボーデン・バレットからも多くを学んだと話す丸山だが、花園Lの世界的名手、クウェイド・クーパーからは「クウェイドには『事前に準備することも大事だけど、相手に対応してプレーを柔軟に変えろ』と言われています」。

釜石SW戦での丸山の背番号は22だが、試合2日前の3月20日に行われたゲーム形式の練習では10番のビブスを身に付け、躍動する姿があった。

東海大学時代には“ファンタジスタ”の枕詞とともに語られることも多かった丸山について、向井昭吾ヘッドコーチは「アタック面ではかなりボールを動かせる選手です。彼がここで満足すると思っていませんし、ジャパン(日本代表)に行きたいなら、ちゃんとしたディフェンス能力を高める必要があります」とそのポテンシャルと課題の双方を指摘する。

丸山にとっては3カ月遅れの“開幕戦”だが「チームプレーが大事なので、そこに重点を置きながらも、僕にしかないプレーがある」。その躍動は、花園Lの未来にもつながっていくはずだ。

(下薗昌記)
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