【第11節レビュー】“事務機ダービー”6年半ぶりの勝利!連勝で8位に浮上

リコーブラックラムズ東京
チーム・協会

接戦を勝ちきる力を見せ、2018年9月以来リーグワン設立後では初の“キヤノン”からの勝利

リーグワンは試合のない週を挟み第11節へ。リコーブラックラムズ東京(BR東京)は東京・秩父宮ラグビー場で5位の横浜キヤノンイーグルス(横浜E)と対戦。母体企業の事業領域の関係から「事務機ダービー」とも呼ばれるカードは互いに激しく攻め、我慢強く守るゲームとなったが、27-20(前半10-3)でBR東京が制した。2018年9月以来、リーグワン設立後では初の“キヤノン”からの勝利となった。

BR東京は前半3分、自陣のディフェンスでオフサイドを犯しPGで先制点を与えた。それでも、ややディフェンスに回る局面が多い展開の中で徐々にペースを掴み、さらなるスコアは許さずハーフウェイ付近から好機を探っていく。30分、敵陣15m付近のスクラムで反則を奪うと、前節からプレースキックをまかされているFBメイン平がPGを成功させ3-3の同点に。

直後、横浜Eが自陣のラインアウトでノット1mの反則。敵陣中盤でFKを得たBR東京は、タップスタートから攻め、ボールを持ったFLリアム・ギルがNO8ファカタヴァアマトと共にディフェンスラインに近づくと、迷ったディフェンスを短いパスでかわすかたちでブレイク。アマトがトライエリアまで一直線に走りトライ(33分)。CVも決まり10-3でハーフタイムへ。
後半2分、BR東京はSO中楠一期が危険なタックルを受け、相手にイエローカード(10分後にレッドカードにアップグレード)。PGで3点を加え13-3とし、さらに数で有利に立つ。だがSO中楠が脳しんとうのチェックで一時退出すると8分、キックを使って自陣に入られ、スクラムでのプレッシャーとラインアウトモールを活かした攻撃でトライを許し13-10(12分)。

19分、BR東京は自陣でのFLリアム・ギルらによるターンオーバーから反撃。細かくパスを繋ぎ前進し、WTBネタニ・ヴァカヤリア、CTB PJ・ラトゥのランでゲイン。22mを越えると、ラトゥをサポートしたFLマイケル・ストーバーグに渡しトライ。20-10と再び引き離す。
レッドカードとなったプレーから20分が経過し、横浜Eは再び15人に。BR東京は敵陣でモールを押しゴールに迫るシーンなどもつくったがトライに結びつけられずにいると30分、自陣ゴール前で反則を犯しFLマイケル・ストーバーグにイエローカード。今度はBR東京が14人で戦うこととなる。直後のスクラムを押されてトライを奪われ、20-17と再び3点差に(31分)。

僅差でラスト10分に突入。BR東京は敵陣22m内のラインアウトスローを弾かれたが、ボールが直接HO大西将史の手に入りゴールに迫る。このチャンスにFWがリアクションしサポートし、途中出場のFLブロディ・マクカランがトライを奪う。CVも決まり27-17(36分)。その後、PGで3点を返され、PR笹川大五にもイエローカードが出て13人で戦う局面も訪れたが、27-20でノーサイドを迎えた。

プレーヤー・オブ・ザ・マッチには決勝トライを挙げたFLブロディ・マクカランが選出された。BR東京は2連勝で通算成績を4勝7敗とした。また4試合連続の勝ち点獲得となり、総勝ち点は20に到達。順位も1つ上げ8位とした。プレーオフ圏内の6位・コベルコ神戸スティーラーズとの勝ち点差は6に。

リーグワン2024-25 第11節 BR東京 27 - 20 横浜E 【リコーブラックラムズ東京】

試合経過

前半5分[横浜E]
BR東京陣内10m付近でラックをつくりパスアウト。守るBR東京がオフサイド。右中間、40m弱のPGを10番が成功させ0-3。

後半30分[BR東京]
敵陣15m付近のスクラム。2度の組み直しを経てBR東京が押し勝ちペナルティを獲得。FBメイン平が左中間からPG成功、3-3。

前半31分[BR東京]
自陣からボールキャリーしたLOロトアヘアポヒヴァ大和が負傷。山本嶺二郎と交替。

前半33分[BR東京]
横浜Eが自陣15m付近のラインアウトで反則。FKを得たBR東京はタップスタート。中央を2度シンプルにFWで縦に突いた後、FLリアム・ギルからNO8ファカタヴァアマトに短いパスを通しブレイク。真っ直ぐ抜け出しポスト右にトライ。CV成功、10-3。

前半41分[横浜E]
BR東京が自陣で反則。横浜EはPGを狙わず、ゴール前ラインアウトからトライを狙うが、R津村大志がボールキャリアに迫り落球を誘う。リードを守りハーフタイムへ。

後半1分[BR東京]
横浜Eの蹴ったハイパントを競ったSO中楠一期が空中で14番に掴まれ地面に落ちる。14番にイエローカード(検証を経てレッドカードに)。

後半3分[BR東京]
ハーフウェイ付近から攻め、ギャップを抜けたSO中楠一期に横浜Eがホールディング。ほぼ正面、約40mのPGをFBメイン平が成功、13-3。

後半4分[BR東京]
SO中楠一期が脳しんとうのチェックのために一時退出。替わって伊藤耕太郎が入る(〜後半15分)。

後半11分[横浜E]
横浜Eがスクラムでプレッシャー。BR東京も対抗するが2度にわたり反則を喫する。タッチに出しモールを組んだ横浜Eが前進。ラックとしピックゴーで6番がポスト左にトライ。CVも成功させ13-10。

後半19分[BR東京]
自陣22m付近でCTB池田悠希、FLマイケル・ストーバーグ、リアム・ギルの連携でターンオーバー成功。即座にアタックに転じ、細かくパスを繋ぎながら前進。WTBネタニ・ヴァカヤリアのランでディフェンスをかき乱すと、ハーフウェイを過ぎたあたりでCTB PJ・ラトゥがステップを切り右中間をゲイン。22mを越え外側に走り込んだストーバーグに身体を捻ってパスを通しストーバーグがトライ。CVも成功し20-10。

後半22分[BR東京]
横浜Eのレッドカードから20分が経過し、数的有利が解消。HO大内真を大西将史に、PR津村大志を谷口祐一郎に入替。直後のスクラムを押し切り、反則を奪う。

後半28分[BR東京]
PRパディー・ライアンを笹川大五に入替。

後半30分[BR東京]
22番に外で抜かれゲインされる。トライラインまで5mのブレイクダウンでFLマイケル・ストーバーグがスティールを狙ったが、自立できておらずオフフィートの判定。このプレーにイエローカード(〜後半40分)。

後半31分[横浜E]
ほぼ中央で横浜Eはスクラムを選択。BR東京は7人でこらえようとしたが、右に出され22番がトライ。CVも成功し20-17。

後半32分[BR東京]
LOハリソン・フォックスをブロディ・マクカランに入替。

後半36分[BR東京]
CTB池田悠希を礒田凌平に入替。

同[BR東京]
ラインアウトはキャッチを阻まれたが、跳ね返ったボールをHO大西将史が直接捕球。トライライン目前でダウンボールするとNO8ファカタヴァアマトがクリーンアウト。PR谷口祐一郎がピック、LO山本嶺二郎がサポート。SH TJ・ペレナラがパスアウトしたボールを受けたFLブロディ・マクカランが低い姿勢でキャリーして左中間トライエリアへ。映像判定を経てトライが確定。やや角度のあったCVもFBメイン平が成功させ27-17。

後半38分[横浜E]
再開のキックを確保しアタック。BR東京は自陣で中盤でのディフェンスとなったが、PR笹川大五のタックルが高く入ってしまいイエローカード。

後半39分[横浜E]
ほぼ正面、約30mのPGを決め27-20。

後半40分[BR東京]
再開のキックを深く蹴り込み、13人でのディフェンスに挑む。エッジを狙ったランナーをCTB PJ・ラトゥとWTBセミシ・トゥポウが2人がかりで止めにいくと落球。一時退出を終えたLOマイケル・ストーバーグと、スクラム対応のために戻ったPRパディー・ライアンを加え最後のスクラム。これをキープし、キックアウトしてノーサイド。

インタビュー

タンバイ・マットソンヘッドコーチ
自分たちとしては本当に嬉しいです。このシーズンにおけるすごく重要な結果だったと思うので。リーグ戦でキヤノン(横浜E)を倒したことがないというメンバーもチームにはたくさんいるので、その意味でもすごく大事な結果だったかと思います。でも私たちはシーズンを通してずっと、コンシステンシー(一貫性)について話してきています。戻って、月曜日からはまたそこにフォーカスしてやっていきたいと思います。
ゲーム自体は、プリティーな(きれいな)ゲームだったとは言えませんが、その中で見えたリーダーシップや、ゲームの最後の方の13人になるというすごく難しいシチュエーションを落ち着いて戦うことができたことは誇りに思います。

SH TJ・ペレナラゲームキャプテン
今週はこのゲームが自分たちの会社にとってどれだけ大事かという話をしてきました。今日プレーできるということはすごく光栄なことで、きれいにはいかなかったですけど、やるべきことはできた。ここまではいい状態で試合に入れても、フィニッシュしきれなかったりしていた。今日は「負けて学ぶ」ではなく、しっかりとシャットダウンして学ぶことができる。そこはよかったかなと思います。
あとは、バイウィーク(試合のない週)の後のパフォーマンスについても話していました。1回目のバイウイーク後の神戸(コベルコ神戸スティーラーズ)戦はあまり誇りには思えないパフォーマンスだったので、もう一度、一週間離れたあと、コネクションを大事にしようという話をしていました。オフフィールドでやるべきこと。そしてオンフィールドでコネクトすること。それを大事にしようと。いい(ブロックの)スタートが切れたかなと思います。

質疑応答
— 前半はディフェンスの場面が多かった。ゲームプランはどんなものだったか?

マットソンHC:ゲームプランはボールをマルチフェーズキープしたいっていう話をしていましたが、それは全然できませんでした。まあ、どのチームでもそうだと思うんですけど、プランはあっても、必要に応じてしっかり適応していくことが大事なのかなと思います。少しラッキーな面もあったかなとは思います。ラインアウトリーダーやスクラムリーダー、彼らがしっかりといい雰囲気というかいいベースをつくってくれました。今日はゼネラルプレーはそんなによくなかったですが、セットプレーが自分たちにチャンスを生み出してくれたのかなと思います。

— PRパディー・ライアンをスタートで使ったことは効果的だった

マットソンHC:ゲームのスピードコントロールにもつながったと思います。天気の影響もあったかもしれないですが、テンポコントロールっていうところは大事だったと思うので、よかったかなと。

— ハーフタイムの段階ではどう転ぶかわからない展開だった。どんなアドバイスをしたか?

SHペレナラ:しっかり最後クローズして終わりたいねっていう話をしていて。自分たちのレベルをしっかり示さなきゃいけないと。前半は自分たちのゲームプランを実行できず、まだまだやらなきゃいけないことがたくさんあった。それでもリードしてハーフタイムに入れたので、今週のフォーカスだった“finish strong”をしようと。別に、そんなインスピレーションに触れるようなことはなかったです。モチベーションの高い(SO中楠)一期などがうまくプレーしてくれたし、FLリアム(・ギル)やFLマイケル(・ストーバーグ)もうまく対応してくれたと思います。

— スタートから試合のクローザーまで担っている。体力的に大丈夫か?

SHペレナラ:問題ないです。僕は“タンク”自体は大きいとプライドを持っているので。やっぱり9番として必要な要素かなと思います。バックラインで誰かがケガしたら9番は80分プレーしないといけない。(髙橋)敏也もそうですけど、全員が80分プレーできないといけないと思います。

— チームに合流して4ヵ月くらい経った。チームはいい状態だが、何が一番よくなってきていると感じているか?

SHペレナラ:勝てると信じられるようになったんじゃないかと思います。ここまでは接戦になっても最後で負けてしまったりしたんですけど。開幕戦の三重(三重ホンダヒート)との試合だったり、トヨタ(トヨタヴェルブリッツ)戦も最後のほうですね。東芝(東芝ブレイブルーパス東京)戦も最後のほうでした。今までは、そういった接戦で最後に勝ち切るという期待を抱かれる立場になかった。でも、自分たちは相手チームをプッシュしていい勝負をしてきて、それが変わってきていると感じます。今日、(SO中楠)一期は最後の10分も冷静で“この試合にはこうやって勝つんだ”という話を繰り返していました。コミュニケーションが変わってきたと思います。若い選手がどうやって勝つかという指示を他の選手に出せるようになることは、大きな変化です。

— 8位に浮上し、プレーオフに出場するチャンスも出てきた。手応えは?

SHペレナラ:いい感じです。自分たちの目標は勝つことなので、勝てば勝つほどチャンスは高まると思うので。すごくタフなリーグでいいチームもたくさんある。このブロックは自分たちより上と戦えるので、それをネガティブにとらえる人もいるかもしれないですけど、自分たちの今後は自分たち次第だともいえる。キヤノン(横浜E)に勝てばキヤノンは得点があまり獲得できないわけですから、そうすると差がどんどんなくなっていきます。ヤマハ(静岡ブルーレヴズ)もそうです。

— ラグビー的にはどのあたりがよくなっていると感じるか?

マットソンHC:成功するためには、いいディフェンス、いいアタック、いいセットピース。トランジションゲーム(試合展開の変化への反応)もよくないといけないですね。最終的には、そのうちのどこかで勝らなきゃいけない。そこを含め、ゲームプランのバランスもよくなってきたのかなと。ゲームがスタートしたら重きが変わってくると思うんですけど、それにしっかり対応できるメンバーというか、チームになってきたかなと。まあコンシステンシーが一番だと思うんで。来週、悪いパフォーマンスを見せてしまっては失敗なので。やはりコンシステンシー。

— ファフ・デクラーク選手とプレーについて

SHペレナラ:外でコネクトはしました。いいプレーをしていたと思います。彼の交替は試合への影響があったと思います。いいプレーをしてくるので。親指をケガしたのかな。できるだけ早い復帰を祈っています。

— 今日はブラックラムズが勝って、昨日はスーパーラグビーでハリケーンズが勝って、ハッピーな週末だったのでは?

SHペレナラ:ラグビーが大好きなので。観るチャンスがあれば観ています。ハリケーンズのことは大事です。僕の人生の大きな部分を占めているので。昨日の勝利は嬉しかったです。

— プレースキッカーをFBメイン平に変えている。評価は?

マットソンHC:今日はミスしていないですかね。SH TJ(・ペレナラ)もキックできるんですけど歴史的に10番が蹴るっていう流れがあると思うので。(SO中楠一期は)若い10番で、このレベルで自分のかたちっていうのをつくっている中にあるので、そこの責任を外してあげてやっています。(FBメイン)平はよかったです。来週も同じことを期待しています。

PR津村大志
相手の組み方っていうのを分析して、自分たちがどういう風に組むかっていうのをしっかり話してきたんですけど、それを実際に試合で活かして組めたのがよかったかなと思います。相手はいろいろな組み方をしていたんですけど、僕らはそれに合わせるんじゃなくて、自分たちの組み方をしようと準備してきました。でも、今日の試合は合わせてしまう部分もあったのですが、HO大内(真)さんとPRパディー(・ライアン)さんとコミュニケーションを取りながらやれたのがよかったのかなと思います。

— アーリーエンゲージが結構あった
最初のプレッシャーのところで、相手が組んできてるから僕らも(プレッシャーを)かけてしまうみたいなケースがあって、そうなるとフィフティフィフティになってしまう。その後、しっかり組んでから押す分には全然問題ないと言われたので。組むまで、セットするまでのところにこだわって、試合中のコミュニケーションをとれたのはよかったと思います。

— 組んだあとはブラックラムズが圧倒しているように見えた
そうですね。組んでセット入ったときの感触、感覚的に絶対押せる感覚があったので。そこはもう絶対的なブラックラムズの強み。今日は最大限発揮できたかなって。

— 自分たちのスクラムで大事にしているのは?
まとまること。一人一人で組むのではなくて、8人でまとまって後ろの重さを前に伝えるところです。

— FWコーチのカール・ホフトの教えも?
それもあります。何て言うんですかね、“色”じゃないですけどブラックラムズのスクラムの組み方はこういうものだっていうのが、いい感じに根づいてきているのかなと思います。

CTB PJ・ラトゥ
— 試合の率直な感想を
とても嬉しいです。

— こだわっていたのは
ディフェンスのところ。タックルを全部決めようと思っていました。アタックでもフィジカルにいこうと思っていました。でも、最初のタックルチャンスで滑り落ちたというか、するっといっちゃって決めきれなかった。そこからスランプっぽい感じになってしまったかな。でもゲームが進むにつれてカンファタブルな(落ち着いた)感じになってきて、自然にいけるようになりました。

— すごく思いきりよくプレーしているように見えるが、緊張することも?
うーん、フィフティフィフティかな。今日は割とナーバスな感じでした。

— BL東京戦のあとはディフェンスへ意識を向ける声がたくさんあった。かなり改善されてきたのでは?
BL東京戦からはよくなってきていると思います。ただ、僕も改善しなきゃいけないポイントはあるので、このブロックではよりよくしていきたいと思っています。それはコーチからも言われていることでもあり、自分としても課題だと思ってもいることでもあります。

— アタックについては問題なさそうですね。今日も素晴らしいブレイクからトライが
周りのみんなに助けてもらっていて、すごく楽な気持ちでプレーできています。あの場面(後半19分)は普通にキャリーしようと思っていたのですが、後ろからサポートしてくれたマイキー(FLマイケル・ストーバーグ)の声が聞こえたのでパスをしました。

CTB池田悠希

— ロッカーの雰囲気は
みんな喜んでいました。事務機ダービーということで、週の最初のほうのチームのミーティングで社員選手のCTB濱野(大輔)さんから、このキヤノン(横浜E)対リコー(BR東京)にどんな歴史があるのかというプレゼンがありました。プロ選手が多くなった中で改めて。そういう意味のあるゲームに勝つことができた。もちろん自分たちの上位進出に向けても大きい。このブロックは1戦1戦が大事なので。

— 試合の入りは少しモメンタムが相手に向かったが、すぐに立て直した
序盤、自分たちのペナルティもいくつか重なりディフェンスの時間がすごく多くなってしまったんですけど、それでも3点しか相手に与えていなかったですし、ディフェンスで粘れているという感覚はありました。そういう部分のファイトは80分間通してすごくいいものが見せられたんじゃないかなと思います。

— 今日は本当はもう少しボールキープする予定だった?
前半はやっぱりフェーズを重ねられていなかったですね。ミスも多くて噛み合わず、実行力っていうところは欠けていました。セットプレーもなかなか準備してきたものが出せなかったので。でも、フェーズを重ねられればトライは獲れるという自信はずっとありました。

— 修正し、粘り切れた理由は?
今週はゲームを4つに分けて考えて、もし自分たちがいいゲームができていたら勝敗が分かれるのは最後のブロックだよっていう話をずっとしていたんです。その最後のブロックでどれだけ集中力を切らさずにファイトし続けられるかという話もしていた。そういう準備もあっていいものが見せられたんじゃないかと思います。

— 個人的には今日もいいブレイクがあった(前半37分)。まだまだ上を目指していると思うが、キャリアを通じてもかなりいいシーズンになっているのでは?
そうですね。試合にもずっと出続けられてケガもなくやってこれているので。年齢的にも結構上になってきたので、若い選手たちがのびのびとプレーできるようにサポートするのが自分の仕事だとも思っています。SH TJ(・ペレナラ)と一緒に、BKのリーダーシップを取ってやっていきたいと思っています。

PRパディー・ライアン
— 率直な今の気持ちを
最高です。重要なゲームでしたから。チームにとっても、世田谷にとっても、リコーにとっても。

— どういうゲームかは聞いていた?
もちろんです。先週、ハマノさん(CTB濱野大輔)が社員選手としてシェアしてくれたので。それは多分、外国人選手に向けて話してくれたのかなと思いました。そこから学ぶことは多かったです。初めて知ることも多くあり、この試合がどれだけ大事なのかを教えてくれました。素晴らしいプレゼンでした。

— セットプレーがチームの拠り所になっていた。そういういい状態を、試合を経ても維持できているのが素晴らしい
グレートですね。感覚もすごくいいです。ありがとう。インタビューを受けているのは僕ですが、FW全員の頑張りだと考えてほしいです。

— 練習を観ていると、特に若いFWの選手たちが明るく自信をみなぎらせている
その通りだと思います。グループ全体の自信がどんどん大きくなってきている。その中でも若い子たちは自信や元気を隠さないものだから、そう見えるんだと思いますよ。いい光景です。ケガをしてしまった選手たちからも早く復帰して皆と一緒に練習したいという気持ちが伝わってくる。そういうムードをつくりだせているのは、コーチたちの仕事の成果だと思います。

— モールをかなり押し込んでいたが、アンプレアブルになったケースが2度あった
あそこは僕もどう説明していいかわからない部分。でも、ラグビーではそういうことも起きる。いいチームはそういう巧みなプレーをしてくるもの。モール自体はいい感じでしたよ。

観客の注目を集めた世界最高峰のスクラムハーフ対決 【リコーブラックラムズ東京】

次節は埼玉WKを倒した静岡BRとの一戦

第12節は3月22日(土)14:30より、4位・静岡ブルーレヴズ(静岡BR)と今季2度目の対戦。静岡・IAIスタジアム日本平でのゲームとなる。2月の第7節では24-32で敗れ苦汁を飲まされたが、セットプレーの安定を欠いたことがゲームに大きく影響していた。だが、劇的な改善がなされチームにとっての強みといってもよくなった現在のセットプレーのクオリティがあれば、全く違った戦いができるはずだ。リーグ戦は残すところ7試合。プレーオフ圏内に浮上するためには、とにかく上位チームからの勝利が必要な状況だ。局面、序列を変えるための1勝を掴みにいくビッグゲームとなる。

その後第13節は約1か月ぶりのホストゲーム。3月30日(日)に秩父宮ラグビー場でコベルコ神戸スティーラーズを迎える。当日は「ユニバーサルデー」と銘打って、誰もが楽しめるラグビー観戦環境づくりを目指す。第14節 クボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦(秩父宮)、第15節 トヨタヴェルブリッツ戦(オリプリ)と続くホストゲーム三連戦も勝ち抜きたい。

春の秩父宮2連戦、ぜひスタジアムで応援よろしくお願いします! 【リコーブラックラムズ東京】



文:秋山 健一郎、リコーブラックラムズ東京
写真:川本 聖哉、リコーブラックラムズ東京
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