昨季王者 東芝ブレイブルーパス東京に惜敗、第10節終了し3位で後半戦へ

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静かな前半から一転、シーソーゲームの後半へ

2月から始まった今季の交流戦、5週連続となるハードな日程で迎えた第10節は、9節終了時点で順位が2位、勝ち点にしてわずか1点で上回る東芝ブレイブルーパス東京と対戦。

交流戦がスタートしてから第6節で横浜キヤノンイーグルス、第9節の静岡ブルーレヴズなど、順位で争う相手を直接対決で下して3位に位置するクボタスピアーズ船橋・東京ベイ。この試合でもブレイブルーパスに勝利し、2位浮上を狙う。

その決戦の会場は、鹿児島県・白波スタジアム。スピアーズはトップリーグ時代の2013年に試合を行って以来のプレーとなる。

2013年の同会場からプレーを続ける現役選手は、立川理道選手ただ一人。約12年前に10番の背番号だった立川選手は、この試合では12番で出場 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

昨年の同カードの対戦は2回あり、いずれもスピアーズが敗戦。内容も20点台のロースコアゲームで、点差は4点差以内と拮抗した戦いとなっている。

「接点が激しいヘビー級の戦い」
この試合は、そんな戦前の予想を裏切らない80分となった。

キックオフ直後の10分は、両者譲らないぶつかり合いを見せる。特にブレイクダウンのバトルは熾烈で、スピアーズの第3列、ラピース選手・末永選手・マキシ選手が要所でボールを奪うプレーで相手の攻撃を断つ。接点無双を掲げる昨季王者に対して互角以上にコリジョンで勝るスピアーズ。
だがそうした優位性が裏目にでたか、前半スピアーズは規律の部分で苦しむこととなる。

ペナルティが続き、相手に前進を許すと14分にブレイブルーパスにトライを許す。また23分には立て続いた反則により司令塔のフォーリー選手が一時退場となり、29分にも失点。点差が12点に広がった。

しかし点数こそ相手が上回るも、フィールドの選手たちには手応えを感じていたはずだ。セットプレーや接点といったスピアーズの重いプレーは、徐々に相手の体力を削る。
32分にはリスタートから相手の反則を誘いハラトア選手がペナルティゴールを決める。シンビンからフォーリー選手が戻り15人でのプレーとなると、相手陣でプレーを続けたスピアーズは、オペティ選手がパワープレーで相手ディフェンスラインをこじ開けて、前半終了間際に2点差まで詰めた。

スピアーズにとって接点の強さの象徴となる存在のオペティ選手。スクラムでも貢献 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

2点を追いかける後半。
今シーズンは後半10分付近にフォワードを中心としたリザーブ選手を投入するカードを切ってきたスピアーズだったが、この日はバックスのリザーブを先に投入する。後半開始からファンデンヒーファー選手に変わり、復帰してきた木田選手がピッチに入る。
こうしたハーフタイムを皮切りとした小さな変化は、試合展開やスコアボードにも表れる。後半は前半から一転、動きの多いシーソーゲームへと一変した。

後半最初の得点はブレイブルーパス。前半のシンビンにより一人少ないながらもキックオフ直後からスピアーズ陣に入り、近場をついてトライを取る。

このタイミングでスピアーズがフォワードを3枚入れ替えると、すぐに取り返す。オペティ選手の突進からボタ選手やトゥパ選手といった投入されたばかりの選手が前に出ると、右サイドに展開してハラトア選手がトライエリアに飛び込んだ。

その後も敵陣でプレーを続けたスピアーズは、ゴール正面で相手反則を得る。これをペナルティゴールではなくトライを狙いに行き、モールを押し込んだところから左サイドに展開、ショーン選手、フォーリー選手と繋いだところで木田選手が逆転トライを奪った。

第6節以来の出場となる木田選手が今シーズン5本目のトライを奪う 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

スピアーズの連続トライで逆転、このまま試合の流れを掴みたいところだったが、直後のリスタートでスピアーズはミス。そこからトライを許してしまう。また、その後のプレーでは15番のショーン選手が脳振盪の可能性があるとして一時退場。ウィングの位置にスクラムハーフのブリン・ホール選手が入るイレギュラーな対応を迫られる。

24分にはマルコム選手のトライとフォーリー選手のゴールで再び1点をリードするも、こうしたちょっとした歪みが影響したか、試合の流れを掴みきるには至らなかった。

29分にはゴール前のディフェンスで、危険なプレーがあっとしてブリン・ホール選手に一時退場の判断が下ると、30分にはゴール前でのスクラムからトライを奪われ、再び相手がリード。
残り10分となった時間帯で、2番江良選手や3番為房選手を投入し、スクラムからチャンスを掴む場面もあったが、ミスにより攻撃が継続できず取り切れないまま27対31で敗戦となった。

ショーン・スティーブンソン選手はこの試合で6試合目の出場。落ち着いたプレーでチームにもフィット。 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

試合終了後、フランヘッドコーチは
「チャンスは多く作ることができたがそれがスコアには結びつかず、ミスや反則で自分たちで自分たちにプレッシャーをかけてしまった」
と振り返る。

特に前半や後半残り10分ではミスも目立ち、いいプレーがあってもそれを続けることができなかった。
フランヘッドコーチはこうも続ける
「だがそれもラグビーだ。優勝するチーム作りをする上で、こうした試合から成長に繋げるしかない」と。

まだシーズンは折り返し。1週間の休息を挟んで3月14日から再び連戦が控える。
後半戦はプレーオフでの戦いも見据える重要な戦いが待っている。その戦いは、恐らくこれまで以上に困難でチームの底力が試される戦いとなるだろう。

だからこそチームは、ここでの学びから成長しなくてはいけない。
そして、またもう一度ブレイブルーパスと対戦するその時には、きっとこんな言葉が言えたらいい。
「あの10節の敗戦があって良かった」と。

最後まで勝利を目指し続けた選手たち 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

次戦ホストゲームは3月22日(土)横浜キヤノンイーグルス戦!この試合でスピアーズは47年前の創部当初モデルの3rd.ジャージーを着用して戦います!イベント情報やチケット情報、見所などは以下のリンクをご確認ください 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

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文:クボタスピアーズ船橋・東京ベイ広報担当 岩爪航
写真:チームフォトグラファー 福島宏治
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著者プロフィール

〈クボタスピアーズ船橋・東京ベイについて〉 1978年創部。1990年、クボタ創業100周年を機にカンパニースポーツと定め、千葉県船橋市のクボタ京葉工場内にグランドとクラブハウスを整備。2003年、ジャパンラグビートップリーグ発足時からトップリーグの常連として戦ってきた。 「Proud Billboard」のビジョンの元、強く、愛されるチームを目指し、ステークホルダーの「誇りの広告塔」となるべくチーム強化を図っている。NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23では、創部以来初の決勝に進出。激戦の末に勝利し、優勝という結果でシーズンを終えた。 また、チーム強化だけでなく、SDGsの推進やラグビーを通じた普及・育成活動などといった社会貢献活動を積極的に推進している。スピアーズではファンのことを「共にオレンジを着て戦う仲間」という意図から「オレンジアーミー」と呼んでいる。

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