マンC入り早大生・大山笑美#1 学業継続のままプロへ、振り返るサッカー人生
幼少期は「男の子たちにやりたいポジションが言えなくて…」 マンC加入の現役早大生、大山の振り返るサッカー人生
“アエム・オオヤマのデビューです。現在日本人選手が多く活躍するシティ。東京ヴェルディ出身の新たな選手がハセガワと代わります——”。
1月25日、現地時間正午キックオフのイングランド女子スーパーリーグ第12節・アストン・ヴィラ戦。2点リードのゲーム終盤84分、現地コメンタリーの紹介を受けて、大山はピッチサイドに姿を現した。交代の相手はなでしこJAPANのゲームメーカー・長谷川唯。偉大な先輩とタッチをかわし、少し緊張した面持ちの現役早大生は、フットボールの母国の芝生にその足を踏み入れた。
クラブからのコンタクトは、昨年コロンビアで開催されたU-20女子W杯の終了後、10月頃だった。大山はこの大会で全7試合に出場。広い視野と精度の高いパスでチームをコントロールし、ヤングなでしこの準優勝に貢献した。選出されたメンバーの中では唯一、日本の大学から参加する選手でもあった。
「自分の中でここに行く、という決断は早い段階でついてました」というが、数カ月間クラブ関係者とzoomでの面談を繰り返した。時差もある中での交渉は長引き、ア女のシーズン最後の大会、全日本大学選手権(インカレ)の期間中にも契約についての話が続いていたという。
理由はそれだけではない。「試合を見て、自分がやりたいサッカーをしているなと思ったんです」。中・高6年間日テレ・東京ヴェルディメニーナ(WEリーグ・日テレ・東京ヴェルディベレーザのアカデミー)に所属していた、大山らしい答えだ。
ベレーザはボールを支配する攻撃的なサッカーが特徴で、日本女子サッカー界では育成年代・プロを問わずある種のブランドとなっている。マンCもボールを支配し、ポジショナルプレイを基本とする攻撃的なチーム。大山のみならず、現在マンCに所属する日本人選手(清水梨紗、長谷川唯、藤野あおば、山下杏也加)が皆日本時代にベレーザに所属していたという事実が、この2クラブの相似性の証左である。
小学校6年生の時に初めて、大山は名門・ヴェルディアカデミーの門戸を叩く。中学からメニーナでプレーすることが目標だったため、ジュニアからメニーナの内部昇格を期待して、セレクションを受験した。
今となっては笑い話、そんなトラブルもあった。当時すでにボランチでプレーする楽しさの虜になっていたと言うが…。「セレクションで男の子たちにやりたいポジションが言えなくて(笑)。他が空いていなかったのでフォワードをやったんですけど、結構点をとって受かったので、ジュニアでもずっとフォワードをやってました。メニーナに昇格した時も、最初はフォワードだったんです」。
念願のメニーナに加入した大山は、順調にアカデミーの階段を上り経験を積んでいった。高2でWEリーグデビュー、初ゴールをマーク(2021年10月16日、リーグ第6節ちふれASエルフェン埼玉戦)すると、その後リーグ計6戦に出場。第43回全日本選手権(皇后杯)では全6試合に先発出場して、国内女子サッカー界を驚かせた、ユースチームながらベスト4というメニーナの大躍進を支えた。さらに高3時にはU-20女子W杯のメンバーに選出され、準優勝に貢献。いつの日からか大山は、日本サッカー界から将来を嘱望される世代屈指のプレイヤーとなっていた。
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