【FC町田ゼルビア】“戻ってきた“漢が熱い!中山雄太選手、ケガからの学びを町田・日本代表で活かす!2025年の目標は「戦い通す」こと

FC町田ゼルビア
チーム・協会

【©FCMZ】

 どんなサッカーが強いチームでも、キックオフから一度も相手にボールを渡さず試合を終えることはない。どんな素晴らしいサッカー選手でも、一度も挫折を経験しない競技人生はあり得ない。大切なのはボールを失ったあと、挫折に直面したあとの「切り替え」だ。

 中山雄太は昨年8月、6シーズンぶりの帰国から、FC町田ゼルビアに加入した。彼はアスリート性とスキルを兼ね備えた左利きの万能選手で、昨季も短期間にセンターバック、守備的MF、ウイングバックとしてプレーしている。3バックでも4バックでも、どんな戦術だろうと、町田のキーマンになるーー。中山はそれだけの能力、キャリアの持ち主だ。

W杯を逃すケガも起きて「から」に集中

 その彼は2022年秋に悲運を味わった。FIFAワールドカップ(W杯)の開幕を18日後に控えた11月2日、右足のアキレス腱を断裂する重傷を負っている。既に発表されていたW杯日本代表メンバーから外れることになった。

 彼は痛ましい経験をこう振り返る。

「もちろん原因を究明して、二度と再発しないように、ああいうタイミングで大きなケガが起きないようにしなければいけません。だけど起きてしまったことに対しては、前向きというか、起きて『から』に集中しました」

 中山は2025シーズンの開幕戦(vs.サンフレッチェ広島)の当日に28歳の誕生日を迎える中堅選手。2026年のW杯は実力的、年齢的に狙える目標だ。

「次のW杯がどうなるかで、そのケガの意味合いは変わってきます。ただ今現在でも、ケガがあったから感じることだったり、感じて取り組んだことだったり、取り組んで得られたことがたくさんありました。『起きてよかった』という言い方が合っているか分からないですが、僕としてはそういう大きな出来事でした」

「採点なし」だった2024シーズン

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 町田加入後も、中山は早々に悔しい経験をしている。9月14日のアビスパ福岡戦で、キックオフ直後に右膝を傷め、シーズン終盤をほぼ欠場してしまった。日本代表のW杯最終予選も10月、11月の4試合は当然ながら外れた。

 福岡戦直後は首位だった町田が、優勝を逃して3位でシーズンを終えた一因は中山の不在にある。彼は2024年の町田における自らを『辛口コメント』でこう振り返る。

「よくあるサッカーのレーティング(採点/格付け)で言えば『評価なし』じゃないですか。採点するに当たらない出場時間だったと思います。補強の形で入ってきて役割を担えなかったのは、バットレーティングになります。だからこそ今シーズンの気持ち、思いが強くなります」

 中山はこう続ける。

「僕の性格上、起きてしまったことよりも、そこからに目が向くタイプです。期待に沿えなかった申し訳なさはありますけど、それ以外の自分個人の感情を言えば、それから起きることに意識が向いています」

テーマは「ケガをしないで戦い通す」こと

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 今季の抱負を尋ねるとこのような答えが帰ってきた。

「ケガをしないで1年間を戦い通すところがすごく大きなテーマです。まだまだいける気はしますけど、18歳に比べると身体の変化は良くも悪くも感じています。ケガをしないで1年を通して戦うことは当たり前のようで、難しさもある。でもそこを一番の課題としてやり続ければ、自分に対する自信があります」

 ケガを避けるためには食事、トレーニング、休養、ストレッチやマッサージなどのケアと多岐にわたる方法がある。中山は「意識付け」について、こう語ってくれた。

「自分のイメージ、理想に対する現実とのギャップはしっかりと埋めなければいけないと常日頃感じています。若ければ、そのギャップが大きくても、無理が効いたりします。そこがマッチングしてこないと、できないことをやろうとして崩れてしまうことも起きがちです。1年間を通して、そういったバグが出ないように意識していきたいと思います」

リーダーとしてプレーで示す

【©FCMZ】

 町田のキャプテンは昨季に引き続いて昌子源が務めるが、中山はチーム内の投票により新たに「副キャプテン」となった。リーダーとしての抱負をこう口にしていた。

「勝負の世界では結果が出ない、プレーで示せない選手が何を言っても『何を言っているんだ?』と捉えられます。1年間を通してケガしないで戦うところにもつながりますけど、そういった意識が信頼を生んで、発言がチームの修正にパワーを与える部分が出る。昨年は全員が悔しさを感じたシーズンでした。2シーズン目が難しいと言いますけど、そこを跳ね返せるようなアプローチを自分自身、そしてチームもしっかりとやっていきたい」

 2025年は町田がJ1上位へコンスタントに入る「常勝軍団」となるため、そして中山が2026年のW杯本大会のピッチに立つための大切なステップだ。

 中山は相次ぐケガを、自らがより大きく成長するための転換点にしてきた。そんな「切り替え」と、その後の地道な努力が結実するシーズンを町田でぜひ見たい。

 町田の2025シーズン開幕戦は2月16日(日)。ホーム「天空の城 野津田(町田GIONスタジアム)」にサンフレッチェ広島を迎える注目の一戦だ。
【試合情報】
日程・2月16日(日)14:00キックオフ
対戦・サンフレッチェ広島
場所・町田GIONスタジアム(天空の城 野津田)

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著者プロフィール

1977年、「サッカーの街・町田を代表するサッカークラブをつくる」という考えの下、地域の小学生たちを選抜して結成したFC町田トレーニングセンターを設立。裾野から頂点へと市民の力で自然発生的にクラブの強化のピラミッドを築き上げ、1989年にFC町田トップチームが誕生。クラブ名の「ゼルビア」は、町田市の樹である欅の英語名と、町田市の花であるサルビアを組み合わせて名付けられた。本拠地は町田GIONスタジアム。地域の皆様に愛され、地域の発展に貢献できる町のシンボルになるべく、「天空の城 野津田」というブランディングを行っている。

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