「健康寿命の延伸と健康づくりに期待される健康科学」 大阪体育大学・前島悦子教授(スポーツ医学)コラム
1.平均寿命と健康寿命
厚生労働省の発表によると2022年の「平均寿命」は男性では79.55歳、女性では86.30歳ですが、日常生活に制限のない期間を示す「健康寿命」は男性では70.42歳、女性では73.62歳です。「平均寿命」と「健康寿命」差は男性では9.13年、女性では12.68年もあり、この期間は日常生活に制限のある不健康な状態で過ごさなければなりません。
【大阪体育大学】
2.健康寿命の延伸
不健康な状態で過ごす期間を短くする、つまり健康寿命の延伸が超高齢社会となった日本の重要な課題となっています。厚生労働省は国民の健康増進を推進するに当たっては、栄養・食生活、身体活動・運動、休養・睡眠、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣の改善に加え、これらの生活習慣の定着等による生活習慣病(NCDs)の発症予防及び合併症の発症や症状の進展等の重症化予防に関し、引き続き取組を進めることを公表しました。健康寿命の延伸に身体活動・運動は欠かせないものとなっています。
3.本学の取り組み
私たちは、糖尿病などが原因となって腎臓の働きが低下し、血液透析という治療を受けている「患者さんのための運動プログラム」を作成し、その効果を検証して日本腎臓リハビリテーション学会などで報告しています。
2020年1月以降、世界的に新型コロナウイルスが猛威を振るいました。コロナ禍以降、国民の身体活動は減少し、身体機能の低下が懸念されました。私たちはコロナ禍に運動プログラムを継続した患者さんたちの身体機能を評価し、プログラムが患者さんの身体機能の維持・向上に及ぼす影響を検討しました。コロナ禍前の2019年とコロナ禍の2020年に運動プログラム行っていた患者さんの身体機能を比較したところ、開眼片足立ち、Timed Up and Go test、10m歩行時間、30秒立ち上がりテスト、握力に差はみられませんでした。次に、コロナ禍前から継続して運動プログラムを行っていた患者さんの身体機能の変化を検討しました。すると男性では前述のいずれの指標にも差はありませんでしたが、女性では歩行時間の短縮がみられました。コロナ禍では高齢者の身体機能の改善が危惧されていましたが、透析患者さんでは透析中に運動プログラムの実施を継続することによって身体機能を維持・向上できることが明らかになりました。
2020年1月以降、世界的に新型コロナウイルスが猛威を振るいました。コロナ禍以降、国民の身体活動は減少し、身体機能の低下が懸念されました。私たちはコロナ禍に運動プログラムを継続した患者さんたちの身体機能を評価し、プログラムが患者さんの身体機能の維持・向上に及ぼす影響を検討しました。コロナ禍前の2019年とコロナ禍の2020年に運動プログラム行っていた患者さんの身体機能を比較したところ、開眼片足立ち、Timed Up and Go test、10m歩行時間、30秒立ち上がりテスト、握力に差はみられませんでした。次に、コロナ禍前から継続して運動プログラムを行っていた患者さんの身体機能の変化を検討しました。すると男性では前述のいずれの指標にも差はありませんでしたが、女性では歩行時間の短縮がみられました。コロナ禍では高齢者の身体機能の改善が危惧されていましたが、透析患者さんでは透析中に運動プログラムの実施を継続することによって身体機能を維持・向上できることが明らかになりました。
【大阪体育大学】
4.人々の未来が健やかで楽しいものになるために
身体活動・運動が健康づくりになくてはならないものであるということは明らかです。人々が人生の最後まで元気で健康で楽しく過ごすことができるよう本学のスポーツ科学部健康科学コースで健康づくりの基礎と応用を学びませんか。
<キーワード> 健康寿命 健康づくり 健康科学
前島悦子(スポーツ科学部教授)
スポーツ医学(内科学)が専門。日本内科学会総合内科専門医の資格を持つ内科医です。大阪体育大学診療所でアスリートのメディカルチェックや診療に加えて教職員の診療も行っています。主な担当科目は「スポーツ医学」「臨床スポーツ医学」など。柔道部(男子・女子)部長。
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前島悦子(スポーツ科学部教授)
スポーツ医学(内科学)が専門。日本内科学会総合内科専門医の資格を持つ内科医です。大阪体育大学診療所でアスリートのメディカルチェックや診療に加えて教職員の診療も行っています。主な担当科目は「スポーツ医学」「臨床スポーツ医学」など。柔道部(男子・女子)部長。
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