JLPGA新しいヒロイン《97期生・中村 心》

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【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 2025シーズンがまもなく開幕する。最終プロテストの難関を突破した97期生が希望を胸にデビューを待つ。2024年の総受験者は695人、合格率はおよそ3.7パーセントだった。今年、羽ばたく26人を紹介する。

なかむら・こころ=2005年10月25日、山口県出身

 23年に日本ジュニアだけでなく、日本女子オープンローアマのタイトルを獲得した中村心。ところが、自身も「いける」と感じながら臨んだ最終プロテストでは思うようにスコアを伸ばせず、合格ラインに7打及ばなかった。「タイトルを取った後、たくさんの方が応援してくださるようになり、プロテストも頑張ってね‐ということばをたくさんいただいたんです。嬉しい反面、プレッシャーもあり、皆さんの期待に応えられなかったのは悔しいですね」と振り返る。

 第1日に71をマークしたが、予想以上に上位陣のスコアがよく、34位タイに留まる。もっと自分もスコアを伸ばさなければと焦った結果、第2日は自分のゴルフをできず、77を叩いたことが最後まで響いた。合格できなかったショックは大きかったが、プロテストの翌日からクラブを握り、翌年でのリベンジを誓った。

 中村には師匠が2人いる。1人が父親の英治さんであり、もう一人が中嶋常幸だ。「お父さんにはずっとスイングを見てもらっていたんですが、メンタル面やショートゲームでは教えられることにも限度があるので、23年から中嶋さんのアカデミーに入りました」。その中嶋から教わったことで最も心に残っているのは、「緊張は悪いことじゃないよ」ということばだ。中村の場合、試合前などに緊張するタイプだったが、そのことばを聞いて以来、楽な気持ちでプレーできるようになったという。

【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 2度目のプロテストを迎える1カ月前、中村はある心配事を抱えていた。ショットの調子がかなり落ちていたのだ。日本女子オープンだけでなく、ステップ・アップ・ツアーのECCレディスでも予選落ちを喫し、自分のゴルフに自信を失っていた。「ショートゲームでカバーできないほどショットが荒れ、このままではプロテストに合格できないと真剣に考えていました」。聞けば、ドローヒッターなのに、右に曲がるボールが出ていたというのだから結構な重症だったのは間違いない。原因は、ダウンスイングからインパクトにかけて体の左サイドが伸び上がっていたことにあった。それを修正するために、体重を左足に乗せないように心がけたところ、徐々にショットの精度を取り戻すことができたという。

 「結局、スイングのことを考え過ぎるあまり、最後まで振り切れていなかったんだと思います。中嶋プロから『自分が好きなように振ったほうがいいよ』とアドバイスされましたが、それが一番大きかったですね」。プロテストではこれ以上ないほどショットの調子がよく、自信を持って4日間回ることができた。そのおかげで通算2アンダーの7位タイでフィニッシュ。前年は他の選手のスコアを気にするあまり自分を見失ったが、2度目のプロテストではとにかく自分が1日2アンダーを出すことだけを考え、自分のゴルフに集中し続けた。前年の失敗をしっかりと糧にしたことが合格へとつながったといえる。

 もちろん、プロを目指した幼い頃からスイングを見てくれた英治さんと母・佳世さんの協力も忘れてはならないし、朝から夜まで練習させてくれるなどお世話になった地元・山口県の湯田カントリー倶楽部やECC学園ゴルフ部・林大作監督の存在も大きい。プロで結果を残すことが恩返しにつながることは理解している。まずはステップ・アップ・ツアーで1勝を挙げ、2年以内にはJLPGAツアーで1勝を挙げることを目標に掲げている。そのためにも、シーズンオフは技術面だけでなく、スイングの土台となる下半身と体幹をしっかりと鍛え上げる予定だ。
(山西 英希)
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