【SPECIAL】新春対談 北川ひかる選手(BKヘッケン)×遠藤優選手(三菱重工浦和レッズレディース)(後編)
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※このインタビューは2024年12月26日に実施しました。
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諦めずに取り組み続けたことが今の自分たちをつくっている
北川 技術の高さは日本が世界に勝っていると思います。個人戦術も含めてやはり高いです。あと、オンとオフがしっかりしているのも良いところですね。オフのときはみんなでワイワイしていますし、オンもオフも誰とでもコミュニケーションが取れる。当たり前のことかもしれないのですが、チームの雰囲気がすごく良くて、それぞれ高め合える関係性があると思います。
遠藤 最近は若い選手が増えたなという印象があって、でも年齢層は幅広いよね。上は30代の熊谷紗希さんがいて、下は10代の谷川萌々子選手がいますから。でも、代表の活動に参加してみるとその年齢差を感じないほど若い選手もどんどん話しかけてくれますし、オフザピッチでもピッチの中でも、年齢や経験に関係なく主張できる雰囲気があって、とてもいいなと思います。
年齢に関係なく意見し合い、互いを高め合える関係性はなでしこジャパンの魅力の一つ(写真は2024年10月活動時) 【©JFA】
北川 優は当時から前への推進力がすごくて、試合では対峙したくない相手でした。
遠藤 そのとき私はサイドハーフで、当時から結構対峙していた気がします。
――バチバチだったと。
北川 バチバチだった?
遠藤 もう、バチバチでした(笑)。ひかるは浦和に来る前からトレセンとかでも一緒に活動していて、とにかく左足のキックがうまいという印象でしたね。
――時を経て、互いに成長したと思う部分はどんなところでしょう。
北川 優はもともとアジリティが高かったと思うのですが、サイドハーフからサイドバックにポジションが変わって、その長所をさらに伸ばしてしっかり自分の武器にしたと思います。私も守備と攻撃に関わるポジションなので分かるのですが、サイドバックは守備での難しさというのがあって、優はその点でアジリティを生かして対人で負けない強さがすごく伸びてきたと感じます。
遠藤 3年前からサイドバックにうまくコンバートして、試合にもコンスタントに出させてもらえるようになったのですが、最初は本当に守備が下手だったんです。でも今はフィジカルコーチにも褒めてもらえるくらい、アジリティも走力もついてきて、そこは意識的にトレーニングしてきてよかったと思っている部分です。
「自分のストロングポイントはオーバーラップや縦への推進力」と遠藤選手。なでしこジャパンのデビュー戦でも右サイドで存在感を見せた 【©JFA】
遠藤 浦和から新潟に移籍した後、新潟で長くプレーして、多分、新潟からI神戸への移籍もすごく悩んだし、迷ったと思うんです。でも意を決してI神戸に移籍した頃から意識も変わってきたような気がします。I神戸でウィングバックとしてポジションを確立させて、なでしこジャパンで追加招集されても自分のプレーを発揮できたのは、ひかるの継続する力があってこそだと思います。左足のキックが上手なのはもちろんなのですが、左利きの選手ってすごく貴重で、ひかる自身もそれを意識して取り組んできたんじゃないかと思うんですね。
北川 そうだね。新潟にいた約5年、日々の練習で積み上げたことは自分にとってはすごく大きくて、それを土台にI神戸でも自分らしさをしっかりと発揮することができたと思います。諦めずにやってきたことが、いまのプレーにも表れていると思うので、今後も継続して高みを目指してやっていきたいと思います。
左足を武器に新天地でも活躍している北川選手。「日本の選手の献身性や真面目さはスウェーデンでもとてもリスペクトされ、その価値は高まっている」と話す 【©JFA】
守備でも攻撃でも自分のプレーを全力で発揮して存在感を示したい
遠藤 いま世界では、サイドバックが攻撃参加して攻撃の枚数を増やすというのが主流になってきていますが、攻撃は元々サイドハーフをしていたときから私の武器なので、そこはどんどん出していきたいですし、伸ばしていきたい部分です。あとは、自分でチャンスメークできたときのクロスの質や自分で打開してシュートを打つというところはまだまだ足りないと思うので、正確なクロスを上げて味方に決めさせる、自分で切り込んでゴールを狙うという部分をもっと伸ばしていきたいと思っています。
北川 10月の韓国戦は4バックのシステムで左サイドバックに入りました。サイドバックは、ウィングバックとは違って少し後ろからのスタートになりますし、感覚的にも違うところはあったのですが、守備の安定感は出せたと思います。攻撃では、もっとシュートチャンスにつながるプレーやアイデアを出していくことが課題です。あとはボールロストをなくすこと。パスやクロスの正確性もより上げていかなければいけないと感じています。
――最後に、2025年の抱負とサッカーファミリーへのメッセージをお願いします。
遠藤 2025年は2月にアメリカでのSheBelieves Cupがありますが、まずは浦和で結果を出して、なでしこジャパンに選ばれることが目標です。WEリーグでは、今シーズンもベストイレブンに入れるように「サイドバックと言えば遠藤優だよね」と思わせられるようなプレーを見せていきたい。AFC女子チャンピオンズリーグには日本を代表して出場しますし、WEリーグの3連覇も懸かっているので、とにかく自分が目指すプレーをピッチ上で体現して、チームとしても、浦和のプレーを常に全力で発揮してタイトル獲得を目指したいと思います。ぜひ熱いご声援をお願いします。
北川 私は新しいシーズンが始まるので、まずはヘッケンでしっかりと結果を出して優勝することを目標に掲げています。そこにチャレンジできるよう、一つ一つの試合をしっかり戦っていきたいですね。日本人だからといって遠慮せず、自分らしくプレーしていきたいと思っています。なでしこジャパンも新しい監督になりますが、自分のプレーをアピールして、継続して選ばれるように頑張りたいと思います。私も、スウェーデンで頑張っていますので、応援よろしくお願いします。
プロになって意識が変わったという二人。それぞれの場所でこれからも高みを目指していく 【©JFA】
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