マインドセットが変われば、スコアも変わる。根っからのリーダーが笑ったときが初勝利のときである

花園近鉄ライナーズ 野中翔平選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

ディビジョン2の開幕から未だ勝利がなく、暫定ながら最下位に転落した花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)が、前節、今季初勝利を手にした日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)とのビジターゲームに挑む。

D1/D2入替戦に向けて、もはや足踏みが許されないチーム状況だが「チーム状況は真摯に受け止めています。危機感は強いですけど、それが現実。受け止めて進むしかありません」と昨季までキャプテンを務めた野中翔平は話す。

キャプテンの肩書きは今季なくなったが、チームをけん引する責任感は不変。前節、レッドハリケーンズ大阪に大敗した直後も、ミックスゾーンでチームに対する厳しい言葉を口にしたが、あえて“嫌われ役”になる覚悟ゆえの行動だった。

23日のゲーム形式の練習にはネガティブな空気感はなく、メンバー外の選手も含めて活気のある声が飛び交い、チームの一体感を感じさせた。

「行動が変われば、マインドセットも変わる。マインドセットが変われば、必然的に試合のスコアも変わるんです」(野中)。

東海大学付属大阪仰星高等学校高校と同志社大学でもキャプテンを務めてきた根っからのリーダーは、チームの変化に手ごたえを感じている。

今節は負傷で出遅れていた片岡涼亮も今季初出場。チーム最多の4トライを決めている木村朋也も含めて攻撃のキーマンがそろうが、だからこそ必要になるのがチームの“潤滑油”としても機能する野中の存在だ。

「僕は黒子なので、チームを陰で動かしますよ」と控え目な笑顔を見せた昨季のキャプテンは「釜石SWはいいチームでラインスピードもすごく速くて、フィジカルの(強さも)あるチーム。僕らもマジックみたいなプレーはするつもりはないですし、真っ向勝負で力の勝負を楽しみたいし、そこで勝ちたい」と言い切った。

キャプテンとしてD1昇格と降格を味わった野中は釜石SW戦が簡単な戦いにならないことを承知済みだ。

「勢いに乗せると厄介な相手です。相手のモメンタムが出る時間帯は絶対にあると思います。ただ、それを断ち切る準備はしています」と野中。その“準備”についてはまだ企業秘密である。

「試合でお見せしたあとに『これが準備でした』と言えるように頑張ります」。試合後に誇らしげに笑う野中がいれば、それは花園Lが今季初勝利を手にしたときである。

(下薗昌記)
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