3連敗の中でも見えている確かな光。“勝ち切れるチーム”へ変化を遂げている最中だ
【©ジャパンラグビーリーグワン】
東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)に19対27で敗れたあと、三重ホンダヒート(以下、三重H)の植村陽彦は、明暗が入り交じる表情で試合を振り返った。
「バイウィーク(中断期間)前の最後の試合ということで気合いを入れて臨みましたが、結果的には勝ち切れませんでした。本当に悔しい試合になりました。ただ、アタックの場面では手ごたえも感じましたし、連続攻撃ができた点は良かったと思います」
今季の三重Hは試合終盤に粘り強さを発揮する場面が増えており、この日も前半終了時点では7対18とリードを許していた。それでも、後半は一時2点差まで追い上げ、東京SGを苦しめた。これで3連敗となったが、植村は大敗続きだった昨季とは異なる雰囲気を感じているという。
「ハーフタイムには『まだまだ追いつける点差だぞ!』と声を掛け合い、最初の30秒に全神経を集中して自分たちの流れにしていこうと話しました。気持ちがヒートアップしていると細かい内容は頭に入りませんし、重要な点にだけ集中して後半に臨むよう心がけています。最後まであきらめない姿勢は、昨季と比べて明らかに違う部分です。昨季は試合終盤の数分間を追いつくことが極めて難しい点差で戦う状況が多かったです。でも今季は、ワントライ・ワンゴールで逆転できる状況で終盤を迎えられています」
この終盤の強さを支える要因の一つが、途中出場のメンバーの奮闘だ。キアラン・クローリー ヘッドコーチはここまでの5試合で多くの選手を入れ替え、先発とリザーブの23人全員が力を発揮できる体制を築いてきた。
52分間プレーした中尾隼太も、今季は先発とリザーブの両方を経験。この試合では、マヌ・ヴニポラの負傷を受け、前半28分という早い時間帯で緊急投入されたが、見事に対応してみせた。
「練習で良いパフォーマンスを見せた選手が試合に出られるので、全員にチャンスがあります。コーチがしっかり見ていることを選手も理解しているので、みんなのモチベーションが高い状態を保てています。23人で戦うのが当たり前になっているので、途中出場の選手にもそれぞれ役割があります。それを全員が全うし、チームに良い影響を与えようとしています。試合前も試合中も雰囲気は良かったですし、とても前向きな状態です」
中尾はこう語り、チーム全体が前向きに取り組んでいることを明かした。リザーブの選手を含む全員の情熱こそが、試合終盤の粘り強さを生み出しているのだ。負けてもなおモチベーションが高い三重H。バイウィーク中の練習を通じて、“勝ち切れるチーム”を目指して、さらなる進化を遂げようとしている。
(籠信明)
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