力強く、切り裂くゲイン。パリ五輪7人制日本代表がいよいよ本領発揮
【©ジャパンラグビーリーグワン】
この日は、今季初めて吉澤太一が先発出場した。
昨季はチームとの両立に悩んだ末に、パリオリンピックへの出場を目指してセブンズ(7人制ラグビー)日本代表に参加。RH大阪でのリーグ戦出場は4試合だけだったが、パリオリンピックにはバックアップメンバーとして帯同。順位決定戦のサモア戦とウルグアイ戦に途中出場を果たし、社内の期待に応えるRH大阪初の“オリンピアン社員”になって帰ってきた。
今季はチームでの活動に注力。開幕から3戦は、リザーブで出場している。ゲームキャプテンを務める茂野洸気は、吉澤について「リザーブだろうと先発だろうと、フィールドに出ればチームに良い流れを作ってくれるので助かっている」と話している。けれど、吉澤自身は「これまでの3試合は、納得できるプレーではなかったし、チームに貢献できていなかった」と感じていた。自身がそう感じるのも理解できる。第2節にはトライもあったが、今季はまだ彼の真骨頂と言えるプレーを見せられていなかった。
ハリーズ(RH大阪ファンの愛称)も待っていたであろう、相手の守備を切り裂いて駆ける姿が見られたのは、前半29分。山口泰輝からボールを受け取った吉澤は、相手選手二人の間をすり抜け、一人のタックルをかわす。さらに相手がもう一人タックルに来たところで、サポートに来たブレイク・ギブソンにボールを渡し、ギブソンがトライした。吉澤が30mほどのゲインを獲得したこのラインブレイクを見て、ハリーズはきっとこう感じたに違いない。「レッハリに吉澤太一が帰ってきた」、と。
その3分前には、土橋郁矢が前に短く蹴り出したボールに反応。ディフェンスラインを抜け出してボールを取り、トライエリアに飛び込んでグラウンディング。2シーズン前に印象深かった場面を想起させるその姿もまた、帰ってきたと感じさせる要素になった。
セブンズ日本代表では、パリオリンピックへの出場権を獲得するところから、アジアや世界の高いレベルを体感してきた。その経験は「自信になった」と振り返る。後半にタッチライン際を力強くハンドオフしながら突破していく姿からも、それは十分に感じられた。
昨季からずっと「快く(セブンズ日本代表での活動に)送り出してくれたチームに感謝している」という気持ちを持ち続けている吉澤。「若手選手のサポートをしていく」ことも務めながら、チームのために地に足を踏み締め、前へと走り続ける。
(前田カオリ)
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