苦境の中でも前を向く。果物もボールも運ぶ、三股久典の真骨頂

【©ジャパンラグビーリーグワン】

ルリーロ福岡(以下、LR福岡)は、今季リーグワンに初挑戦を果たした新参者だ。しかし、開幕から第2節を終えていまだ勝利をつかむことができずにいる。それでもチームの雰囲気は驚くほどポジティブだ。キャプテンの三股久典は明るい表情でこう語る。

「負けているからといって、何かを大きく変える必要はない。まずは自分たちのラグビーをしっかりやること。それをみんなに伝えました」

チームを引っ張る三股の言葉には、揺るぎない信念と冷静な判断力が込められている。「フィジカルバトルで負けないことが大事」と語るように、相手に体で勝つことを基本に据え、着実な歩みを続けようとしている。

チームが掲げるスタイルは、決して派手ではない。しかし、それこそが三股の真骨頂にも通ずる。『ラグビーの本質』にこだわる姿勢を徹底し、「寝ている時間を少なくする」「抜かれたらすぐ戻る」といった基本的な動作を怠らない。「これをやれば勝てる」という特別な武器こそないが、だからこそ一つひとつのプレーに全力を注ぐ姿勢がチームの強みとなっている。

鹿児島県出身の29歳、三股は佐賀工業高校、明治大学を経て、2018年にコカ・コーラレッドスパークスに入団。しかし、21年には廃部に。次に所属した宗像サニックスブルースも22年に活動休止となった。その後LR福岡に加入し、今季ついにリーグワンの舞台に立った。

普段は果樹園で働き、重い収穫物を運ぶ日々。体への負担は大きいが、「これもトレーニングの一環」と考える前向きな性格が、彼の最大の武器だ。「ファンや地域の皆さんの声援を力に変え、次こそは勝利を届けられるよう一生懸命頑張ります」と語る姿は、まさに地域密着型クラブの象徴といえる。

三股を中心に、LR福岡は次節に向けて準備を進めている。中5日の短い準備期間ながらも、規律と状況判断の向上を図り、巻き返しを目指す。苦境の中で見える光。それは選手たちの努力とポジティブな姿勢だ。リーグワンの舞台で彼らがつかむ次なる勝利を、ファンも心待ちにしている。

(柚野真也)

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