【大学サッカー】最高な仲間たちと最高峰の舞台へ インカレベスト8で得たものとは。

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チーム・協会

決勝ラウンド新潟医療福祉大学戦 先制点を挙げた日本大学サッカー部 【日本大学サッカー部】

12月7日(土)から12月28日(土)にかけてMCCスポーツpresents 2024年度 第73回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)が開催された。日本大学サッカー部は2大会連続5回目の出場となった。昨年度は20年ぶりの出場で2回戦敗退となり全国の壁を痛感したが、今年はアミノバイタルカップ・総理大臣杯での経験を糧にどこまで通用するのかが見どころとなった。

チームとして挑む舞台

チーム目標は「関東チャンピオン」&「日本一」。
川津監督は言う。「シーズンを通してブレずに言い続けてきたので、インカレだからといって意識したつもりはありません。今年のチームがどこまで躍進するのか、選手達がどのように躍動してくれるのか楽しみな時間でした」。また、今シーズンからレギュレーションが変わったことで前回大会と違った戦略を立てなければならなかった今大会。「丸亀ステージ・岐阜ステージ・栃木ステージと分けて、1試合1試合に明確な目的を示し、ファイナルまで行く道しるべを示しました」と選手とともに一戦一戦挑んだという。

また、エースストライカーである熊倉弘達(法学部4年/前橋育英/V甲府内定)は、「今年1年間の目標でもあった全国制覇を成し遂げたいという思いで臨みました。私自身この大会が集大成なので、日本大学・後輩に良い結果を残したいです」と試合に対する想いを語った。

日本一を目指して

グループステージを勝ち上がり、過密日程の中、仲間逹と共に勝ち上がってきた日本大学サッカー部。1964年大会で優勝して以来、インカレという大舞台で良い結果を残しておらず、長年もどかしい思いをしてきた。チームとして「日本一」という目標を掲げて挑んだ今大会であったが「ベスト8」という結果をどう捉えるのだろうか。4年生だけでなく、全学年に目を向けて掘り下げる。

ここで各ラウンドを簡単に振り返ろう。
予選ラウンド プレーオフ 12月7日(土)
vs四国学院大学 4−2 ◯

予選ラウンド突破に貢献した得点者 (左から)青木・平尾・熊倉(達) 【日本大学サッカー部】

決勝ラウンドへの進出がかかった重要な試合、前半は拮抗した試合展開だったが前半終了間際に先制点を獲得し後半へ折り返した。後半開始直後に失点をするも攻撃の手を止めない日本大学は立て続けに3点を獲得。その後、2失点を許すも日本大学が勝利し決勝ラウンドへ駒を進めた。

【得点者】
平尾勇人(文理学部2年/四日市中央)
青木大和(法学部4年/日本大学)
熊倉弘達×2


決勝ラウンド第1節 12月14日(土)
vs常葉大学 0−1 ●

【日本大学サッカー部】

決勝ラウンドに進み各予選ラウンドを勝ち上がった強豪が集まる中での初戦。思うように自分たちのサッカーができずに前半終了間際に失点。後半開始直後から果敢にゴールに向かうもなかなか得点につなげられず相手に勝ち星を献上してしまう事態となった。この結果に全試合スタメンとして出場したMF大久保帆人(法学部2年/前橋育英)は「初戦負けてしまってチームが少し落ち込んでいた部分もあった。関西大学に勝てばラウンド突破への望みは見えてくるのでとにかく関西大学に勝つ事だけを考えるように切り替えました。昨年までは試合に出られることが単純に楽しかったが、今年は勝利へのこだわりが自分で一番変わった部分だと思います」と振り返る。
【得点者】
なし

この結果を受け次戦で勝利を掴み取らなければグループステージ突破が見込めなくなった。この事実を知った稲城で待つメンバー外の部員らは、現地で直接エールを届けようと自ら行動を起こしサプライズで岐阜へ駆けつける準備をしたそうだ。


決勝ラウンド第2節 12月16日(月)
vs関西大学 2−0◯

【日本大学サッカー部】

グループステージ敗退の危機で迎えた一戦。アップ前に応援組が駆けつけ空気が一変。日本大学は気持ちを一つに試合に臨んだ。前半から日本大学がペースを掴み先制。後半も日本大学は応援の力に背中を押され足を止めない。日大ペースの中、待望の2点目を獲得。その後もGK木村凌也(スポーツ科学部3年/横浜FM・Y/横浜FM内定)や齋藤慈英(文理学部4年/ベガルタ仙台Y)を中心とした厚い守備で勝ち点3を手にした。
応援にこたえるかのような得点。勝利に導いた平尾は、「負ければグループステージ敗退という中で、日大のために、4年生のためにプレーしようと考えていました。また、応援組が岐阜まで駆けつけてくれて、慣れ親しんだ応援で雰囲気が変わりプレーしやすい環境をつくってくれました。大会初スタメンだったので今まで以上に気合いが入っていて、自分が試合を決めてやろうという気持ちでした。それが結果に出て応援組の前で得点できてよかったです」と振り返った。
【得点者】
熊倉弘達
平尾勇人


決勝ラウンド第3節 12月18日(水)
vs東洋大学 1−0 ◯

【日本大学サッカー部】

グループステージ突破が決まる最後の一戦。対戦相手は関東リーグ1部で共に戦う宿敵である東洋大学。何としてでも勝ち点を掴みたい日本大学と2失点しない限り予選通過となる東洋大学。東洋大学の強固な守備にボールを握るもののなかなか攻め入ることができず、0−0のまま後半アディショナルタイムへ。直後、クロスボールをうけた途中出場のFW関日向多(危機管理学部2年/JFAアカデミー福島)が豪快にゴールネットを揺らした。この時の心境を関は「決めた瞬間はあまり実感がなかったのですが、仲間が寄って来てくれるうちに少しずつ実感が湧いて来て夢の中にいる気分でした。やっとチームの一員になれた気がしてとても嬉しかったです」と語った。この瞬間、決勝ラウンドへの進出決定とまだこのチームで戦えるという現実、得点への喜びで会場は大きく揺れた。

【得点者】
関日向多


決勝ラウンド準々決勝 12月22日(日)
日本大学VS新潟医療福祉大学

【日本大学サッカー部】

新潟医療福祉大学との一戦は、総理大臣杯のリベンジマッチとなった。グループステージで無敗、複数のJリーグ内定者を抱え、夏の総理大臣杯決勝で敗れた阪南大学に対しても圧勝するという勢いの止まらない新潟医療福祉大学に対し日本大学はどう挑むのか。キャプテンの熊倉弘貴(法学部4年/前橋育英/横浜FC内定)は「総理大臣杯のときと同じ準々決勝での対決ということもあり必ずリベンジする気持ちで挑みました。成長した姿を見せつけ、日本大学サッカー部の力を証明しようと思いました」と語る。

そしてホイッスルとともに試合が開始された。

強風の舞台で繰り広げられる熱戦

負ければ敗退、そして4年生は引退のかかった準々決勝。新潟医療福祉大学ボールでのスタート。リベンジに燃える日本大学は前半からボールを支配し最終ラインからの前進を図るも強い向かい風の影響でなかなか前に進むことができずにいた。DF陣は息を合わせながら敵から風から守り抜かなければならない。そのためDF齋藤・DF松本大地(危機管理学部3年/帝京長岡)・DF國枝蒼空(スポーツ科学部1年/横浜FC・Y)は、相手が追い風を使った攻撃を展開することに備えて試合に取り組んでいた。また、1年生ながら先発出場した國枝は「ロングボールに対するアタックとそのカバーはしっかりしようと声をかけ合っていました。試合に出るにあたって4年生を何としてでも決勝に行かせたいという思いで試合に臨みました」と学年関係なくチーム誰もが同じ思いで勝利へ向かっていた。

前半は決定機が訪れないまま試合時間が進む。突風がピッチを駆け抜ける。選手たちの動きに変化を加え、ボールの予測不能な軌道にたびたび観客席からどよめきが起こった。両チームとも拮抗した試合を繰り広げ、応援席には冷たい風が吹き抜けるものの、その目は選手たちの勇ましい姿に釘付けとなった。しかし、前半はお互いに決定機を得られずスコアレスでハーフタイムを迎えた。

自然を味方にするか、それとも敵にするか――風という目に見えないプレーヤーが勝敗を左右する鍵を握っていた、といっても過言ではなかった。

そして始まった後半戦。
果敢に攻め続ける日本大学は、前半と打って変わって背中を押されるかのような追い風でのスタート。しかし試合の方は前半と変わらず拮抗した展開をみせ続ける。攻められる場面もあるがDF陣の身体を張った強靭な守備やGK木村の好判断・好セーブにより得点を許さない。このまま延長戦だろうという空気が会場中を徐々に支配し始めていた。

しかし後半76分、そんな空気を切り裂かんと “目に見えないプレーヤー”との連係プレーを虎視眈々と狙っていたストライカーが日本大学にいた。日本大学がボールを保持し攻め入るチャンスを慎重に伺いながらDF松本からDF齋藤へのバックパスが渡った。その視線の先には右サイドハーフウェーライン上でボールを待ち構えるFW熊倉(達)。フリーで受け取ったFW熊倉(達)は、ターンすると一瞬の迷いもなく相手ゴールに向かって超ロングシュートを放った。風をまるで意のままに操っているかのようにボールは重力に逆らって伸び続け会場中が息を呑んでその行き先を見守る。そしてFW熊倉(達)より放たれたボールは相手キーパーの必死の背走を嘲笑うかのようにゴールに吸い寄せられてネットを揺らす。日本大学の先制点となった。(1-0)

このまま守り抜けば準決勝進出、リベンジを果たせる。その直後に新潟医療福祉大学は、まるでスイッチが入ったかのように怒涛の攻めに入る。シュートを決められるも、辛うじてオフサイドで難を逃れるが、それでも攻撃の手を止めないどころか激しさを増す新潟医療福祉大学。後半84分、日大ゴール前の混戦でGK木村が反応良くシュートを弾くも、相手の前にボールが転がり難なく押し込まれてしまった。失点を許し同点へ。その後も新潟医療福祉大学の勢いは止まらず、立て続けに後半88分、自陣ゴール前で日大が痛恨のハンド。PKを与え、あっという間に逆転されてしまう。残り時間はわずかながら、同点を目指して必死に攻め続ける日本大学だったが無情にも試合終了のホイッスルが鳴り響いた。1-2となり日本大学サッカー部の今年のインカレは「ベスト8」という結果で幕を下ろした。選手の目には涙がにじんでいた。ここで終わってしまったのだと。

今大会を振り返り川津監督は「岐阜ラウンドの初戦黒星はダメージが大きかったが、それを救ってくれたのはメンバー外の仲間達。負けた当日に内緒で応援の段取りをしたそうで、2試合目のアップ前に合流した時のメンバーの嬉しそうな顔とガラっと変わったチームの空気感は、何事も全員で取り組む「日大サッカー部らしさ」を感じました。ベスト8の戦いは強風の影響もあり非常に難しい試合でしたが、残り10分を凌げなかったところに悔しさを感じます。しかしながら、一歩一歩チームが成長していることを実感し選手達を誇らしく思います。インカレメンバー以外もシーズン最後までモチベーション高く全員が活動を継続したこと…、集大成として臨んだインカレ期間の1日1日でチームとしても個人としても成長してくれたと感じています」と総括した。

先制点獲得により盛り上がりをみせた日本大学サッカー部 【日本大学サッカー部】

内定者へインタビュー

【日本大学サッカー部】

― インカレを通して、また4年間を振り返ってみて

熊倉弘貴(法学部4年/前橋育英/横浜FC内定)
インカレを通してサッカー面だけでなくチームとしての成長を感じられました。ピッチ上で本気で闘う選手と声を枯らしてまで応援してくれる選手たちがいて「チームのため」に行動する仲間が増えたことがなりよりも価値だと思います。
また4年間を振り返ってもチームの成長と共に個人としても成長できたかと思います。プレーの幅を広げることができ1プレーヤーとしても自信がつきました。
Jリーグの舞台でも活躍できるように頑張ります。
熊倉弘達(法学部4年/前橋育英/V甲府内定)
自分たちは全国の舞台でも良いサッカーは出来ていたと思います。しかし、インカレを通して自分に足りない部分、そして日本大学サッカー部として足りない部分を感じました。あとは後輩たちに託します。4年間を振り返るとすごく濃い時間を過ごせたし、楽しい事、辛い事、他にも様々な思いはありました。歴代の先輩たちが創り上げてきた日本大学サッカー部という組織、スタッフの方々、チームメイト、学連の方々、他にも応援してくださっている方々のおかげで4年間成長できたと思います。4年間の経験を活かしてプロの舞台でも頑張りたいです。


― インカレを通して、また3年間を振り返ってみて

木村凌也(スポーツ科学部3年/横浜FM・Y/横浜FM内定)
1年早くマリノスに内定が決まり、このチームでの最後の大会。優勝という“形”でチームに足跡を残せたらという気持ちで挑みました。初戦負けてしまったがサプライズで応援に駆けつけてくれた仲間のおかげで優勝しなければという想いが一層強くなり次のステージに進むことができました。ここから負けられない状況の中で、相手は新潟医療福祉大学。総理大臣杯で敗れた相手でもあり、必ずリベンジし次に進むと意気込んで臨みましたが敗戦。自分はまだまだ甘く、弱かったなと。悔しい思いとやりきれなかったという思いが残る大会でした。
日大での3年間はものすごく貴重でたくさんの経験をさせてもらいました。1年生から試合に出させてもらい、関東リーグ2部新人賞や関東リーグ1部昇格、世代別の代表活動など、濃い3年間を過ごしました。たくさんの仲間と出会い、多くの学びがありました。日本大学サッカー部にタイトルという結果を残せず本当に悔しいですが、ここで経験したものを次はプロの舞台で活かせられるように努力し続け、成長した姿をみんなに見せられるように頑張っていきます。

来季4年としてチームを引っ張る選手へのインタビュー

― インカレを通して、来年チームを背負う4年という立場としての意気込みや目標をお願いします。

植木颯(経済学部3年/日大藤沢)
去年のインカレで悔しい思いをして、今年こそは日本一を取るという思いでインカレに臨みましたがベスト8敗退に終わり悔しい大会となりました。プレーオフ、決勝ラウンドの4試合に起用してもらったにも関わらず結果を残すことができず、自分の力不足を改めて感じました。また大会期間中の怪我でチームに迷惑をかけてしまい申し訳なく思っています。来年は今年達成できなかったリーグチャンピオン、日本一を目標に最上級生としてチームを引っ張っていきたいと思います。

田中慶汰(経済学部3年/川崎F・Y)
自分たちの目標としていた頂点には届かなかったですが、全員が本気で取り組んだと胸を張って言えるチームでした。しかしそれだけでは勝てない、勝負の厳しさを痛感したインカレでした。岐阜ステージで仲間が稲城から応援に来てくれたあの瞬間が今年のチームを表していると思います。しかし、自分の未熟さを突きつけられたインカレ期間でもありました。来年は4年生となり今年以上の結果、内容を必ず残し優勝という目標に向かって頑張ります。


現在4年生による引退noteが掲載されています。4年間の軌跡など各選手の特色が見られ、素晴らしいnoteとなっておりますので日本大学サッカー部を作り上げた4年生の想いに目を通して頂けると幸いです。日本大学サッカー部のホームページやInstagram・X・Facebook各種SNSに掲載しておりますのでぜひご覧ください。

※リンク先は外部サイトの場合があります

【日本大学サッカー部】

今年の日本大学サッカー部は、全日本大学サッカー選手権をベスト8という結果で終えました。現地やSNSを通して応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
この大会を持ちまして4年生は引退となります。
川津監督はこの1年間を振り返り「今年の4年生が残してくれたものは非常に大きいものです。【天皇杯東京都予選準優勝】・【アミノバイタルカップ準優勝】・【総理大臣杯ベスト8】・【関東社会人1部リーグ昇格】・【インカレベスト8】。残された後輩達が先輩達を超える“超戦”は既に始まっています」と語りました。
日本一という目標には届きませんでしたが先輩たちが見せてくれた景色や受け継いでくれた伝統を忘れずに私たちはこれからも力強く成長していきます。今後ともご声援のほどよろしくお願いいたします。


文責:井上希羽(スポーツ科学部1年/淑徳巣鴨)
画像:日本大学サッカー部 広報班

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著者プロフィール

日本大学は「日本大学競技スポーツ宣言」を競技部活動の根幹に据え,競技部に関わる者が行動規範を遵守し,活動を通じた人間形成の場を提供してきました。 今後も引き続き,日本オリンピック委員会を始めとする各中央競技団体と連携を図り,学生アスリートとともに本学の競技スポーツの発展に向けて積極的なコミュニケーションおよび情報共有,指導体制の見直しおよび向上を目的とした研修会の実施,学生の生活・健康・就学面のサポート強化,地域やスポーツ界等の社会への貢献を行っていきます

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