王者経験者同士の激闘。ホスト開幕戦勝利に導いた新スタンドオフの本能
埼玉パナソニックワイルドナイツ 山沢京平選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】
今季の背番号10がホスト開幕戦での勝利を演出した。
ゲームの始まりは、山沢京平のペナルティゴールだった。盤石の守備を軸に陣地を進めた埼玉WKは最初の好機で確実に3点を奪った。
さらに3対3で迎えた前半19分にも山沢京平のペナルティゴールで加点、ゲームの主導権を手繰り寄せた。真骨頂が表現されたのは前半30分のディラン・ライリーのトライシーン。山沢京平はゴール前でボールを受けるとパスダミー(パスを行うと見せかけてパスを出さずに突破を図ること)からギャップへ突進。倒れ込みながらボールをライリーに託してトライをアシストした。
「普通にパスを放ろうと思ったときに前にギャップが見えたので前へ走りました。後ろからディランの声が聞こえたのでそのまま託しました」
埼玉WKは山沢京平の活躍によって前半を20対3で折り返す。しかし後半、選手交代によって迫力を増したS東京ベイの猛攻を受けて点差を詰められると後半31分にトライを許す。さらに、コンバージョンも決められ、23対24と逆転されてしまう。
絶体絶命。崖っ縁に追い込まれた埼玉WKは後半35分にペナルティを得るとショットを選択。キッカーの山沢京平が、静かにボールをセットすると30m強のペナルティゴールを決めて再逆転に成功する。埼玉WKの新スタンドオフは4本のペナルティゴールと1本のコンバージョン、そしてアシストによって勝利に導いた。
ロビー・ディーンズ監督は「(山沢京平は)緊張感のある大事な場面で、動じることなくペナルティゴールを決めてくれた。(日本代表での活動で)山沢拓也のチーム合流が遅れた中で、京平を10に選んでいるのは、能力はもちろん、プレシーズンからの継続性。彼は役割を十分に果たしてくれている」と称えた。
プレーヤー・オブ・ザ・マッチ(POTM)に選出された山沢京平は「POTMは、チーム全体のハードワークによってもらえたもの。自分のことよりもチームが勝って本当に良かった」と激闘を振り返った。理屈ではなく本能でプレーする男が今季のチームをけん引していく。
(伊藤寿学)
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