【九州電力キューデンヴォルテクス・猿レポ】選手がレポート!NTTリーグワン2024-25 D2 第1節 対釜石SW戦

チーム・協会
初めましての人もこんにちは。
試合後レポートを担当させていただきます、九州電力キューデンヴォルテクスのプロップ、猿渡です。

12月21日(土)、NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25 ディビジョン2 第1節目、日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)との試合が、福岡県にある“ベスト電器スタジアム”で行われました。

試合前にヴォルテクスのチームソング『虹橋』の作詞作曲を手がけた、唄人羽(うたいびとはね)による国家独唱 【©N.TAKAYAMA】

試合当日の天気予報は「雨のち曇り」。
その通り、午前中から雨が降り、正午を過ぎても降ったり止んだりの不安定な空模様。
強い風が吹き抜け、スタジアムを囲む木々は激しく揺れ、はためく旗はロゴがはっきり見えるほどピンと張る。
そして気温以上に冷たさを感じる風。

しかし、会場の熱気はまるで別世界。待ちに待ったリーグワンの開幕戦。
ここ、ベスト電器スタジアムはヴォルテクスのホストスタジアム。
開幕戦をホームで迎える特別な一戦に、観客の声援は試合前からどんどん熱を帯び、場内のボルテージは最高潮に!
頼もしく、心強いその熱気は、ついに空模様すら味方につけました。
試合開始の頃には小雨も完全に止み、最高の舞台が整った。
選手も観客も一つ!カウントダウンの終わりとともに、開幕の笛が鳴り響き、これからの自分達の"道をひらく"ための熱戦の幕が上がります。


釜石SW戦の試合メンバーはこちら
https://www.kyudenvoltex.com/game/p130


《試合内容・結果》

開幕戦、最初に得点を挙げたのは釜石SWでした。
前半3分。
ヴォルテクスの自陣で釜石SWがラインアウトから展開する攻撃に激しいタックルで応戦。
しかし、タックルの位置がわずかにずれ、結果としてペナルティを与えてしまいます。釜石SWはペナルティゴールを選択し、正確なキックで先制点を獲得。
スコアは0-3。
さらに前半10分、釜石SWらしい連続アタックにヴォルテクスの連携が乱れ、再び自陣でペナルティ。
そのまま釜石SWに再度ペナルティゴールを決められ、スコアは0-6とリードを広げられます。

理想としていた試合の立ち上がりとは異なる展開となりましたが、ヴォルテクスに焦りはありません。
どんな局面にも対応できるよう準備を積み重ねてきたチームは気持ちは熱く、頭は冷静に逆転のチャンスを伺います。
そしてそのチャンスは前半14分に訪れます。
釜石SWボールのスクラムにプレッシャーをかけたヴォルテクスは、釜石SWが選択したキックに対し、9番 スペンサー・ジーンズ選手が猛然と前進。
見事にキックをチャージし、こぼれたボールを拾い上げるとそのまま全速力でインゴールへ駆け抜けます!このシーズンのヴォルテクス初トライとなる見事な得点でスコアは5-6。
会場の盛り上がりは一気に最高潮へ。

チーム初得点となるトライをあげたスペンサー・ジーンズ選手【9番 スクラムハーフ】 【©九州電力キューデンヴォルテクス】

このトライを皮切りに勢いに乗ったヴォルテクス。前半26分、スクラムを起点とした連続攻撃でゴール前に迫り、12番 古城隼人選手が絶妙な走り込みでスペースを突破、そのままトライ。さらに30分にも連続アタックから相手ゴール前に攻め込み、13番 シオネ・リクアタ・テアウパ選手がダイビングトライで追加得点。この2連続トライでスコアは17-6に。

しかし、釜石SWも反撃を見せます。
前半33分、ヴォルテクスから得たペナルティを確実に決め、3本目のペナルティゴールでスコアは17-9。
それでもヴォルテクスの勢いは止まりません。2分後の前半35分、6番 江里口真弘選手が力強いランでトライを決め、点差をさらに広げます。前半終了時点でスコアは24-9。
ヴォルテクスがリードを保ち、後半への期待を胸に戦いは続きます。

チームをさらに勢いつけるトライを決めた江里口 真弘選手【6番 フランカー】 【©N.TAKAYAMA】

ハーフタイムでは、前半の内容を振り返り、改善点やポジティブな部分、そうでない部分を全員で共有し、後半に向けてチームとして準備を整えます。
また、公式戦ではプレシーズンマッチと異なり、登録メンバーに限りがあるため、全員が戦略やトラブルに備え、いつ交代のタイミングが来てもチームにインパクトを与えられるよう、万全の準備をして後半に臨みます。


ハーフタイムを挟んで迎えた後半戦、最初に得点を挙げたのは再び釜石SWでした。後半9分、釜石SWはラインアウトからモールを形成。
じわじわと前進を許し、そのまま押し込まれる形でトライを奪われてしまいスコアは24-16と詰め寄られます。

一方、ヴォルテクスが後半初めて得点を挙げたのは後半20分。
釜石SWのペナルティを獲得し、確実に、ペナルティゴールで3点を追加。
スコアは27-16、リードを11点に広げます。

低く突き刺さる激しいタックルで何度も相手の突進を止める王 鏡聞(ワン キョンムン)選手【2番 フッカー】 【©N.TAKAYAMA】

しかし、釜石SWの反撃は止まりません。
後半29分、連続アタックからサインプレーを仕掛けてトライを決められてしまいます。
コンバージョンキックも成功し、スコアは27-23。
再び4点差に迫られる緊迫した展開となります。

試合はいよいよ終盤へ。残り時間11分、点差はわずか4点。
次に得点を挙げた方が勝利に大きく近づくという状況で、釜石SWが総攻撃を仕掛けます。得意とする連続アタックでボールを回し続け、ゴールラインを目指す釜石SW。
それに対し、ヴォルテクスは「絶対にボールを奪い返す」という強い意志を胸に、堅いディフェンスを展開。
この緊張感の中、互いにミスもペナルティも許さない攻防が続きます。
その数、驚異の29フェーズ。

粘り強いタックルで相手の突進を止め続けた萩原 蓮選手【11番 ウイング】 【©九州電力キューデンヴォルテクス】

連続攻撃を仕掛ける釜石SWと、それを愚直に守り続けるヴォルテクス。
時間が経つごとに残り時間は減り、誰もがこの攻防が試合の勝敗を決するだろうと感じていました。
そして、最後に競り勝ったのはヴォルテクスのディフェンスでした。
攻撃を続ける釜石SWに隙を与えず、ついにミスを誘発。
ボールを奪い返したヴォルテクスは、試合終了のホーンが鳴ると同時にボールを外へ蹴り出し、ノーサイドを迎えます。

とにかく全員のディフェンスが光る中でもインパクトを残すタックルを連発した磯田 泰成選手【14番 ウイング】 【©九州電力キューデンヴォルテクス】

最終スコアは27-23。
ヴォルテクスが競り勝ち、見事に開幕戦の勝利を掴み取りました。

また、観戦に来てくださった皆様へ「勝利」というちょっと早めのクリスマスプレゼントをお届けできて、本当に嬉しく思います。
これからも皆様と共に素晴らしい瞬間を共有できるよう、チーム一丸となって頑張ります!


《個人的見解と次戦に向けて》

試合の入りとしては、ヴォルテクスがペナルティを繰り返してしまい、釜石SWのペナルティゴールでリードを許す苦しい立ち上がりとなりました。しかし、前半中盤から攻守の切り替えを徹底し、攻撃面で効率的にトライを重ねたことで、主導権を握る展開に持ち込めたのではないかと思います。

特に守備面では、前半をノートライで抑え込み、終盤の29フェーズに及ぶ連続アタックを耐え切った粘り強さが勝利を呼び込んだと考えます。この守り切った経験は、チームにとって大きな自信となるはずです。

力強いボールキャリーで何度も相手を弾き飛ばし前に進み続けるレイ・タタフ選手【5番 ロック】 【©N.TAKAYAMA】

トライ数で見ると、ヴォルテクスが4本、釜石SWが2本と差がありましたが、スコアとしてはわずか4点差。自分たちのペナルティが、試合を苦しくする要因となった場面が多かったことは、反省点として挙げられます。
今後は、不要なペナルティを減らすために規律を徹底するとともに、連携ミスを減らすことなど試合を重ねながら反省と改善を繰り返し、シーズンを通じて成長に繋げていきます。



《今週の個人的Pick up Player》

今回私が選ぶPick up Playerは、試合の盤面を高いコミュニケーション能力と広い視野でコントロールし、見事リーグワン1stキャップを決めた喜連航平選手(以下、喜連選手)と、
強靭な足腰から繰り出される力強いボールキャリー、見た目とは裏腹な機敏な身のこなし、そしてハイレベルなスキルで相手を次々と翻弄するファイアラガ望サムエル選手(以下、サムエル選手)をご紹介します。

まず最初に紹介するのは喜連選手。

プロフィールはこちら
https://www.kyudenvoltex.com/player/325

【©九州電力キューデンヴォルテクス】

兵庫県出身、大阪桐蔭高校から近畿大学へ進学し卒業後はNTTコミュニケーションズ シャイニングアークス東京ベイ浦安(現、浦安D-Rocks)に入団。
その後、横浜キヤノンイーグルを経て今シーズンよりヴォルテクスへ加入した喜連選手。

喜連選手の持ち味は、ラグビーへの深い愛と、誰にでもフラットに接するそのコミュニケーション能力、そして思い切りの良さ。
高校、大学で主将を務め、チームを引っ張ってきたその経験で磨かれたコミュニケーション能力は、まさに圧巻。
誰とでも気さくに話し、場の雰囲気をグッと盛り上げる力は一級品です。

さらに、喜連選手はプロラグビー選手であるだけでなく、おとなラグビーコミュニティー『おとラグ』を運営する一般社団法人Joyntの代表理事としても活躍しています。
ラグビーの枠を超えて、その卓越したコミュニケーション能力を活かしているのはさすがの一言。
『おとラグ』については、私が語るよりもっとわかりやすく説明している記事がたくさんあるので、ぜひ『おとラグ』で検索してみてくださいね。

さて、そんな喜連選手の趣味は、サウナ。とにかくサウナ愛が異常に深いんです。
プチ自慢は「あなたにあったサウナの入り方をお教えできます」というもので、温泉施設のサウナじゃ物足りず、なんとテントサウナを個人的に所有しているというサウナマスター。
長期オフの時間には、キャンプ場や海で自前のサウナを設営して、「ととのう」を全力で堪能しているとか。
あ、ちなみに、サウナには血流を良くし、リラックスや疲労回復効果があるので、皆さんもぜひ試してみてください。
もしかしたら、仕事のストレスも「ととのう」かも!?

普段の喜連選手との会話は、鋭いツッコミと的確なアドバイスが飛び交い、リラックスした状態で過ごせます。
まさに、体も心も「ととのう」状態を保っているのかもしれませんね。

喜連選手のこれからの活躍に要注目です!



次に紹介するのはサムエル選手。

プロフィールはこちら
https://www.kyudenvoltex.com/player/298

【©N.TAKAYAMA】

大阪府出身、常翔学園高校から同志社大学へ進学し卒業後は宗像サニックスブルースへ入団。
その後、私と同じタイミングでヴォルテクスへ加入しヴォルテクスでは3年目のシーズンとなるサムエル選手。

その持ち味は最初の紹介で少し触れた強靭な足腰と身のこなし、そしてスキルフルな器用さ。
特に、その強靭な足腰を象徴する隆々な下半身は、常識では考えられない重さの重りでスクワットをこなす猛者。
サムエル選手曰く、200kgでのスクワットはウォーミングアップだそうです。
…えっ、それウォーミングアップなの!?
まさに異次元の世界。
私もそれなりに自信を持っていましたが、もう敵いません…。

そんなサムエル選手の意外な特技は麻雀で、符計算ができるということ。
そもそも、符計算って何!?と思うかもしれませんが、要するに無数の手配を計算して点数を出す技術。
確かに、一定の法則があって慣れれば簡単だと言いますが…うん、でも難しい。
私も麻雀を打つことはできますが、符計算はできません。
せいぜい、大まかな計算で手を打つ感じです。
麻雀は運の要素もありますが、組み合わせを考えたり、流れを読んだりしながら進めるので、めちゃくちゃ頭を使うゲームです。
実際、かなり頭の回転が鍛えられるので、興味のある方はぜひ挑戦してみてください!
符計算の極み、サムエル選手にぜひ学びたいですね。

また、意外にも平日は自炊をするというサムエル選手。
基本的に鶏肉料理をメインに作り、溜めておいて蕎麦と一緒に食べることが多いそうです。
ここで注目したいのは、そのこだわり。
蕎麦粉100%の10割蕎麦を選ぶという潔さ。
これ、まさに彼の強靭な肉体の源なのかもしれません。
鶏肉と蕎麦で、無敵のタンパク質摂取。
これからのサムエル選手の活躍にはますます目が離せません!


《最後に》

次のリーグワン第2節は、12月28日(土)に東京都江東区にある「江東区夢の島競技場」で清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)と対戦予定です。

江東BSは昨シーズンまでディビジョン3に所属し、昇格を果たして今シーズンからヴォルテクスと同じディビジョン2で戦うこととなったチームです。
2シーズン前には、ヴォルテクスがディビジョン2昇格をかけた入れ替え戦で対戦した相手でもあり、2試合を通して熱い攻防が繰り広げられました。
その結果、ヴォルテクスが総得点差で昇格を果たしましたが、戦績としては1勝1敗。
お互いが全力を尽くした試合となりました。

あれから約2年。今度は同じディビジョン2という新たなステージで再び対戦することになります。
お互い、これまで積み重ねてきたものをぶつけ合う熱い試合になることは間違いありません。ヴォルテクスとしては、まず自分たちのプレーに集中し、釜石SW戦での反省を活かして一歩ずつ成長しながら、全力で勝利を目指します。

【©N.TAKAYAMA】

ぜひ会場にて引き続き皆様の熱い応援のほど、宜しくお願いいたします!




『猿渡 康雄ってどんな人?』
と思われる方もいらっしゃるかと思いますのでこの場を借りて私のInstagramのURLを貼らせて頂きたいと思います。
興味のある方はぜひチェック&フォローをお願いします!
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著者プロフィール

国内最高峰のラグビーリーグ「リーグワン」に所属するラグビーチーム。九州全域(全県)をフレンドリーエリアとし活動しています。

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