【オリックス】バファローズジュニア率いる塩崎真監督 「選手に考えさせる指導」に込められた思い
【オリックス・バファローズ】
写真:笑顔で指導にあたる塩崎 【オリックス・バファローズ】
◆ヒントを与える存在
タイガースジュニアとの練習試合のベンチ。塩崎は選手たちに度々質問を投げかける。「どうだった?自分のピッチングは通用しそうだった?」。ミスの後には「あの時、どんなことを考えてた?今ならどう動くべきだったと思う?」。選手たちは真剣な表情で頷きながら自分の言葉で話し始める。
塩崎は言う。「ああしろこうしろと手取り足取り教えるのではなく、あくまでヒントを与える存在でありたいんです。大事なのは選手たち自身で考えること。そうすることで、答えに責任を持てるようになってほしいんです」。その考えは自身の経験に基づいている。
写真:練習試合中に選手を集めて声をかける塩崎 【オリックス・バファローズ】
◆一度諦めたプロの世界へ
だが、そんな塩崎の思いとは裏腹に、塩崎の状況を知った複数の社会人チームが声をかけてきた。このチャンスを前に、塩崎の気持ちに火が点いた。「やるからには本気だ」。93年、覚悟を決めて新日鐵広畑に入社した。監督たちにはこう宣言した。「3年で必ずプロに行きます。それができなければクビにしてください」
当時の新日鐵広畑は、のちにプロ野球界で活躍する的山哲也氏、薮田安彦氏らが在籍する強豪チーム。ハイレベルな環境は塩崎の本気度をさらに高くした。
「第二の野球人生の始まりでした。これ以上ないぐらいに真剣に野球に取り組みました」。意識したのは「見て盗むこと」。トップ選手のプレーをとことん観察し、優れているポイントを探した。自身のプレースタイルに落とし込む際には、試行錯誤と工夫を重ねた。技術を磨くため、考え抜いた毎日だった。守備、走塁、打撃、全てにおいて数段レベルアップさせて臨んだ3年後のドラフト。オリックス・ブルーウェーブから3巡目指名を受けた。
写真:練習試合中マウンドに行って投手をねぎらう塩崎 【オリックス・バファローズ】
◆本気で頑張るために
その塩崎の思いを、選手たちも自然とくみ取っている。主将の髙木羅王(らき)選手は「監督は僕たち全員のことをいつも見てくれているなと思います。周りを見て声をかけることの大切さや皆を引っ張っていく時の気持ちを、監督の言葉と動きを見て学んでいます」と話す。
写真:グラウンドで笑顔を見せる塩崎 【オリックス・バファローズ】
◆されど3カ月
大会は12月26日開幕。大舞台が間近に迫り、選手たちの練習への集中力も一層高まる。「さぁ、行くぞ!」「はい!」。指揮官の威勢の良い声と、選手たちの明るい声がグラウンドに響いた。(西田光)
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