12月1日(日)に新入団選手発表会を終えたライオンズの未来を担う選手たち。来季からチームの一員になる若獅子たちのことをファンの皆さまにより知っていただくために、担当スカウトのインタビューをお届けします。
スカウト陣は暑い日も寒い日も、ライオンズの未来を信じ一年を通して日本中の選手たちを見続けてきました。そして、縁あってライオンズの一員となった担当選手を、指名直後から全力でサポートしていくその関係は「親子」と言っても過言ではありません。

第7回は育成ドラフト3位・ラタナヤケ・ラマル・ギービン選手、同7位・ウメビンユオ オケム明選手！ラタナヤケ選手担当の後藤光貴スカウトとオケム選手担当の水澤英樹スカウトが、彼らのプレーや思い描く未来を熱く語ります！
明日からは再び支配下選手へスポットを当てていきますので、そちらもお楽しみに。

ラマル選手に対しては大阪桐蔭高に入学時からどのように成長していくか注目していましたが、1年秋から主力として試合に出場しました。目を引いたのは高校生離れした飛距離を誇る打撃です。当てにいくような中途半端なことは絶対にしない。力強いスイングで球を捉えにいきます。簡単なようでかなり難しいことなんですが、ラマル選手はそれを貫き通したところが非常に魅力的です。

大阪の高校野球で使用する試合球場で一番広いのが大阪シティ信用金庫スタジアムなのですが、そこでの一撃も忘れられません。この球場は両翼が広く、フェンスも高い。しかし、そんなことは関係なく、場外に消える本塁打を放ったことがありました。それも2回は見た記憶があります。高校野球で打球が飛びにくい低反発バットが導入されたあとも、外野の深いところまで打球をしっかりと飛ばしていました。彼は目標とする選手に高校の先輩でもある中村剛也選手を挙げていますが、中村選手のようなホームランバッターになれると期待しています。まだ粗いところがあるので、プロでは狙った球をワンスイングで仕留める確実性を高めていってもらいたいです。
守備については下級生のころは三塁を守っていましたが、ラマル選手の持ち味が出るのは外野。肩は非常に強いですし、アグレッシブなプレーを見せてくれるはずです。

指名後に接してみると、すごくきっちりとして、礼儀正しい印象を持ちました。一歩ずつ成長を積み重ねて、大学に進学した同級生が4年生になるころに“ドラフト1位”レベルになっていてくれることが理想です。将来的には“助っ人選手”のように圧倒的な打撃を誇る選手になってもらいたい。外国人野手は必要ないというくらい、引けを取らないパワーで打線をけん引する存在になってもらいたいです。

オケム選手は身長184センチ、体重77キロと体の線は細いですが、体、リスト、肩の強さ、足の速さを見ていると、将来はスケールの大きな選手になると期待が持てる選手です。将来像としてイメージするのは北海道日本ハムの万波中正選手。本人も同じイメージを抱いていると思いますが、担当スカウトとしても楽しみにしています。技術的に学ばないといけないことが多くありますが、たくさん練習して、経験を積み重ねてもらいたいですね。

実は、私はオケム選手と縁があるんです。彼が小学5年生の冬、たまたま仕事で出張中、空き時間に練習を見たことがありました。オケム選手が旭川志峯高に入学して初めて見たときに感じたのは、「大きくなったな。俺より大きい」ということでした(笑)。
こどものころから知っている選手にスカウトとして再会し、今後同じチームでやっていくことになるなんて、正直、「こんなことあるんだな」と感慨深いです。だから、オケム選手がドラフトで指名されたときは、我が子のことのようにうれしかったです。野球界ではよく「スカウトは父親代わり」と言われますが本当にそうした気持ちを体験できました(笑)。

オケム選手は小学生のころから足が速かったのですが、高校生になってスピードに乗って駆け抜ける姿を見て、そういう部分は天性のものなんだと感じました。走っている姿を見れば分かっていただけると思いますが、スピード感がすごく、伸びがあるんです。チーターが疾走するような感じで、力感がなく、サーっとグラウンドを駆け巡る。本人は「50メートル走で5秒台が出ている」と言っていましたが、本当にそれくらい速さはあると思います。ただ野球選手としては、単純に速いだけではなく走塁技術も必要です。そこは育成選手としてまず学んでもらいたいところですね。そうすれば「鬼に金棒」、彼の足が一軍で戦える真の武器になります。