【物語りVol.122】FL アフ・オフィナ  「学ぶことはホントに多いです。学べるものに終わりはありません」

東芝ブレイブルーパス東京
チーム・協会

【東芝ブレイブルーパス東京】

東芝ブレイブルーパス東京では、多くの皆さまにクラブのことをより知っていただくために、今シーズンもライターの戸塚啓さんにご協力いただき、選手・スタッフ一人ひとりの「物語り」を発信しています。
高校卒業後は、東海大学へ進学する。

「自分が入学した20年の春はコロナが流行していくタイミングで、最初はなかなか練習ができなかったですね。試合には1年から出ていたのですが、レギュラーポジションを取ったと思ったらケガをしちゃって、自分の代わりに出た選手の調子が良くて、ケガが治ってもリザーブだったりとか。1年、2年は、とにかくケガが多かったですね」

 東海大学の木村季由GM兼監督は、ケガがちの才能を何とかして開花させたいと考えたのだろう。3年生になったフィナは、ある提案を受けた。

「ダイエットをしたほうがいい、と言われました。体重が重いから身体がついていかなくてケガをしている、と。太ってからケガが多くなったというのはあったので、自分でもそうだなと思って取り組みました」

 運動量を増やし、食事にも気をつけた。持久力を測定するブロンコテストのタイムが、一気に30秒も縮まった。

ケガに悩まされなくなり、試合で使われていく。ラグビーの楽しさに目覚めた。4年時にはリーグ戦1部のベスト15に選ばれている。

【東芝ブレイブルーパス東京】

東芝ブレイブルーパス東京とのつながりは、ケガに悩まされていた2年時を起点とする。採用担当から声をかけられ、練習に参加した。

「オファーをもらって嬉しかったですし、練習参加してみて『このチーム、いいな。もっとここでやりたいな』と思いました」

24年2月にアーリーエントリーで合流し、チームの一員となった。「思っていたとおりです」と、しっかりとした日本語で答える。

「試合に出ている選手も、出ていない選手も、全員が試合に出るためにすごく頑張っている。それで、お互いにサポートしている。ファミリーのようです」

フィナはバックローを担う。23-24年シーズンのプレーオフ決勝では、6番をノニことシャノン・フリゼル、7番を佐々木剛、8番をリーチ マイケルが担った。彼ら以外にも個性十分の選手が揃う。

「ホントにすごい人たちばかりで、毎日学べる。ずっと学んでいます。ノニは『これを教えてほしい』と言えば、何でも教えてくれます。オンフィールドだけでなくオフフィールドでも、一緒に過ごしています。リーチさんも面倒を見てくれます。フィットネスの練習メニューを教えてもらったり、一緒にやったりします。日本人の選手たちからも、学ぶことはホントに多いです。学べるものに終わりはありません」

 たくさんの学びを得ている日々に、違った角度から光を当ててみる。フィナが越えるべき壁は、恐ろしく高いと言うことができる。歴戦の猛者たちとの争いに勝たなければ、試合に出場することはできないのだ。

「だから、東芝を選びました。ワールドクラスの選手と一緒に練習して、学んでいけば、自分のレベルもどんどん上がる。このチームで試合に出るのは簡単な道のりじゃないですけど、それはどこへ行っても難しい道のりでしょうから」

【東芝ブレイブルーパス東京】

自らを奮い立たせる理由が、フィナにはある。

「僕は生まれてすぐに、おばあさんに預けられたんです。お母さんは首都で仕事をしていたので、おばあさんとふたりで生まれ故郷の小さな村に住んでいました」

 大好きなおばあさんを、悲しませてしまったことがある。自分の決断に後悔はしていないものの、いまでも心の奥がうずく。

「13歳になって、ラグビーが強いトンガカレッジへ行きたくて、お母さんがいる首都へ自分だけ引っ越したんです。おばあちゃんはすごく寂しそうでした。そのあと日本へ行くことになったら、『行かせたくない、行かないで』と言われました」

 おばあさんの眼差しは、いつだって優しかった。穏やかで温もりにあふれていて、疲れを、痛みを、忘れさせてくれた。

これからは少しでも、おばあさんに楽をさせてあげたい。好きなことをしてもらいたい、美味しいものを食べてもらいたい──フィナは毎月少しずつ、トンガへ送金をしている。

「おばあさんが生きている間に、できる限りのことをしたいんです」

自分が頑張ることが、おばあさんの幸せにつながる。

自分がくじけたら、おばあさんを幸せにできない。

 祖母への愛は揺らぐことなく、フィナの瞳に光を宿すのだ。

【東芝ブレイブルーパス東京】

  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

東芝ブレイブルーパス東京はジャパンラグビーリーグワン(Division1)に所属するラグビークラブです。日本代表のリーチマイケル選手や德永祥尭選手が在籍し日本ラグビーの強化に直接つなげることと同時に、東京都、府中市、調布市、三鷹市をホストエリアとして活動し、地域と共に歩み社会へ貢献し、日本ラグビーの更なる発展、価値向上に寄与して参ります。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント