セーリング・ILCA級の全日本選手権で、本学大学院博士前期課程２年の冨部柚三子（とんべ・ゆみこ）さん（34）＝福井総合病院＝がILCA6/7級で大会３連覇を果たした。冨部さんは今年、目標だったパリ五輪出場は果たせなかったが、９～10月の国民スポーツ大会でも優勝。「五輪に出場できなかった悔しさもあり、自分が日本をけん引する自覚を持ち、自分の存在を証明したかった。全日本の優勝には大きな意味がある」と話している。

　冨部さんは東京都出身。加山雄三ファンだった父の影響で小学４年からヨット教室に通い、高校から国体に出場した。日本女子大学卒業後も競技を続け、2022年アジア大会に出場。スペインのグラン・カナリア島や神奈川県の江ノ島を拠点に活動した。
　一方、2020年から大阪体育大学大学院スポーツ科学研究科博士前期課程に在籍。オンライン講義と長期履修制度を活用し、土屋裕睦教授の研究室に所属してスポーツ心理学を研究している。五輪予選が本格化した昨年の後期に休学し、今年の後期から復学し、来春の修了をめざす。
　修士論文の題目は「セーリング競技女性トップアスリートのピークパフォーマンスに関するインタビュー調査」（仮題）。日本や海外の五輪出場、W杯・世界選手権メダリストを含む７人にインタビューした。
　スポーツ選手の心理は、しばしば「ゾーンに入った」などと表現されるが、それは基本的には短時間。セーリングは生活しながらの６日間など競技期間が長く、その全体としてのピークパフォーマンス、実力発揮について調べている。冨部さんは「困難な状況を乗り越えるために必要だったサポートなどを分析することで、他の多くの競技でも選手や支援する人の助けになったらいいなと思う」と話す。
　今後についてはまだ決まっていないが、「12年間五輪をめざし、セーリングには20年以上関わった。競技の発展にこれまでの経験や知識を活かしていきたい」と話している。