【全24試合プレイバック】スガコバの「キセキ」Vol.2
【これはnoteに投稿されたtakazo_baseball_さんによる記事です。】
シーズン前はこんな「奇跡」が起こるなんて思いもよらなかった。
菅野智之が登板した24試合、全て小林誠司がスタメンマスクをかぶった。
幼いころから母親の影響でジャイアンツファンだったけれど
こんなにも好きになったきっかけは紛れもなく“スガコバ”バッテリーの存在。
私にとって宝物のようなシーズンだった今季。
2人の全24試合の「軌跡」を振り返りたい。
***
菅野智之が登板した24試合、全て小林誠司がスタメンマスクをかぶった。
幼いころから母親の影響でジャイアンツファンだったけれど
こんなにも好きになったきっかけは紛れもなく“スガコバ”バッテリーの存在。
私にとって宝物のようなシーズンだった今季。
2人の全24試合の「軌跡」を振り返りたい。
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「2試合目:小林が決めた! 神宮球場の悪夢を払拭」
4月11日 巨人5-0東京ヤクルトスワローズ@神宮球場
先発:菅野智之(巨人):高橋奎二(ヤクルト)
初回、ヤクルトのピッチャー高橋奎二の投球は完璧だった。巨人の1番・萩尾匡也、2番・吉川尚輝、3番・門脇誠を三者連続の見逃し三振に仕留めた。
──今日はかなり調子よさそう。先制点を取られたら厳しいかも。
対する巨人のピッチャー菅野智之は昨年7月17日以来の神宮球場での登板。あの日は今までに見たことがない菅野の姿だった。目も当てられぬほどヤクルト打線に打ち込まれ、1回持たずに被安打6、6失点で降板した。ビジターが得意な菅野だが神宮球場はセ・リーグの中で唯一負け越している球場で、この試合まで通算3勝7敗、防御率は6.28。少なからず不安だったはずだ。「今日こそはやり返す」という強い気持ちと、心のすき間によぎる「いやな記憶」が交錯する中、キャッチャーの小林誠司と入念過ぎるほどに打合せをして試合に挑んだに違いない。
1回裏、菅野は変化球を中心にした丁寧な投球でヤクルト打線をすんなりと三者凡退に打ち取った。おそらくバッテリーの作戦はうまくハマったのだろう。その後も小林とは“あうんの呼吸”で、先頭バッターを出さない安定したピッチングを続けた。
緊迫した投手戦が続いていたが、5回裏、巨人にピンチが訪れた。2アウトまできたところでピッチャー高橋の痛烈な打球が菅野の足にあたって方向が変わり、高橋も全力疾走したことで内野安打に。続く打者は1番に戻って塩見泰隆。菅野が警戒していた打者の一人だったが、案の定レフトへヒットを放ち、2アウトながら1塁2塁のピンチを迎えてしまう。そして2番、チャンスに強くしぶといバッター、青木宣親が打席に。
ここは何としても三振を取りたい。
小林の「強く来いよ」「腕を振って投げて来いよ」そんなジェスチャーに菅野はうなづき、攻めていく。2打席目までの変化球を中心にした組み立てと打って変わって、ストレートを中心にした攻め。5回とはいえ、まだまだ球威がある。テレビを通しても耳に響く、鮮やかな捕球音。球の強さが伺える。スリーボールワンストライクからアウトローのフォーク。カウントはスリーツー。菅野はラストボールを投げた。渾身のインローへのストレートが小林の構えたミットに吸い込まれ、青木のバットは空を切った。菅野と小林は同時にガッツポーズをした。
先発:菅野智之(巨人):高橋奎二(ヤクルト)
初回、ヤクルトのピッチャー高橋奎二の投球は完璧だった。巨人の1番・萩尾匡也、2番・吉川尚輝、3番・門脇誠を三者連続の見逃し三振に仕留めた。
──今日はかなり調子よさそう。先制点を取られたら厳しいかも。
対する巨人のピッチャー菅野智之は昨年7月17日以来の神宮球場での登板。あの日は今までに見たことがない菅野の姿だった。目も当てられぬほどヤクルト打線に打ち込まれ、1回持たずに被安打6、6失点で降板した。ビジターが得意な菅野だが神宮球場はセ・リーグの中で唯一負け越している球場で、この試合まで通算3勝7敗、防御率は6.28。少なからず不安だったはずだ。「今日こそはやり返す」という強い気持ちと、心のすき間によぎる「いやな記憶」が交錯する中、キャッチャーの小林誠司と入念過ぎるほどに打合せをして試合に挑んだに違いない。
1回裏、菅野は変化球を中心にした丁寧な投球でヤクルト打線をすんなりと三者凡退に打ち取った。おそらくバッテリーの作戦はうまくハマったのだろう。その後も小林とは“あうんの呼吸”で、先頭バッターを出さない安定したピッチングを続けた。
緊迫した投手戦が続いていたが、5回裏、巨人にピンチが訪れた。2アウトまできたところでピッチャー高橋の痛烈な打球が菅野の足にあたって方向が変わり、高橋も全力疾走したことで内野安打に。続く打者は1番に戻って塩見泰隆。菅野が警戒していた打者の一人だったが、案の定レフトへヒットを放ち、2アウトながら1塁2塁のピンチを迎えてしまう。そして2番、チャンスに強くしぶといバッター、青木宣親が打席に。
ここは何としても三振を取りたい。
小林の「強く来いよ」「腕を振って投げて来いよ」そんなジェスチャーに菅野はうなづき、攻めていく。2打席目までの変化球を中心にした組み立てと打って変わって、ストレートを中心にした攻め。5回とはいえ、まだまだ球威がある。テレビを通しても耳に響く、鮮やかな捕球音。球の強さが伺える。スリーボールワンストライクからアウトローのフォーク。カウントはスリーツー。菅野はラストボールを投げた。渾身のインローへのストレートが小林の構えたミットに吸い込まれ、青木のバットは空を切った。菅野と小林は同時にガッツポーズをした。
「ピンチの後にチャンスあり」
「守備で攻撃のリズムを作る」
よく野球では言われることだが、6回表、まさにその瞬間が訪れ、0-0の均衡が破れた。タイムリーヒットを放ったのは女房役のキャッチャー小林だった。
ヤクルトのピッチャー高橋は4番岡本和真、5番坂本勇人を抑え、どこか少し安心したのか6番佐々木俊輔にフォアボール。2アウトランナー1塁でバッターは小林。前の2打席は粘りのあるいい内容だったものの凡退していた。阿部監督じゃなかったら代打を出されていたかもしれない。しかし3打席目もそのまま向かうと、高橋が2球目を投げた瞬間、1塁走者の佐々木が盗塁に成功。得点圏へとランナーが進み、一打先制のチャンスがやってきた。小林は詰まりながらもバットを振り抜き、レフトへのヒットを放った。俊足の佐々木が2塁から一気にホームベースへ。待望の1点が巨人に入った。
6回裏に向けてベンチ前で投球練習をしていた菅野はグラブを3回叩いてガッツポーズ。そしてグラブを上に突き上げて1塁上の小林に向かってガッツポーズ、さらに嬉しさを噛み締めるように右手を上にあげて4回ガッツポーズをした。
小林にとっては今季初ヒットにして582日ぶりの打点。最高の笑顔で両手を上に掲げ、菅野に、チームメイトに、ファンに応えた。
その裏、菅野はヤクルトの強力クリーンナップ打線を圧巻の投球で三者凡退に仕留め、役目終了。7回からは中川皓太⇒バルドナード⇒西舘勇陽⇒大勢と盤石のリリーフ。攻撃では8回に犠牲フライで1点、9回に吉川尚輝と門脇誠の連続タイムリーで3点を追加し、巨人は5-0の完封勝利を収めた。
菅野は神宮球場でのいやな記憶を消し去り、小林とのバッテリーで新しい景色、心地よい勝利の記憶へと塗り替えた。
阿部監督は小林のV打に「素晴らしいよ。何とかしようという姿を見られている」とコメント。「僕のせいいっぱいなんで」と絞り出した小林のヒーローインタビューが眩しかった。
☆この日の試合を小林目線で書いた記事はこちら↓↓↓
「守備で攻撃のリズムを作る」
よく野球では言われることだが、6回表、まさにその瞬間が訪れ、0-0の均衡が破れた。タイムリーヒットを放ったのは女房役のキャッチャー小林だった。
ヤクルトのピッチャー高橋は4番岡本和真、5番坂本勇人を抑え、どこか少し安心したのか6番佐々木俊輔にフォアボール。2アウトランナー1塁でバッターは小林。前の2打席は粘りのあるいい内容だったものの凡退していた。阿部監督じゃなかったら代打を出されていたかもしれない。しかし3打席目もそのまま向かうと、高橋が2球目を投げた瞬間、1塁走者の佐々木が盗塁に成功。得点圏へとランナーが進み、一打先制のチャンスがやってきた。小林は詰まりながらもバットを振り抜き、レフトへのヒットを放った。俊足の佐々木が2塁から一気にホームベースへ。待望の1点が巨人に入った。
6回裏に向けてベンチ前で投球練習をしていた菅野はグラブを3回叩いてガッツポーズ。そしてグラブを上に突き上げて1塁上の小林に向かってガッツポーズ、さらに嬉しさを噛み締めるように右手を上にあげて4回ガッツポーズをした。
小林にとっては今季初ヒットにして582日ぶりの打点。最高の笑顔で両手を上に掲げ、菅野に、チームメイトに、ファンに応えた。
その裏、菅野はヤクルトの強力クリーンナップ打線を圧巻の投球で三者凡退に仕留め、役目終了。7回からは中川皓太⇒バルドナード⇒西舘勇陽⇒大勢と盤石のリリーフ。攻撃では8回に犠牲フライで1点、9回に吉川尚輝と門脇誠の連続タイムリーで3点を追加し、巨人は5-0の完封勝利を収めた。
菅野は神宮球場でのいやな記憶を消し去り、小林とのバッテリーで新しい景色、心地よい勝利の記憶へと塗り替えた。
阿部監督は小林のV打に「素晴らしいよ。何とかしようという姿を見られている」とコメント。「僕のせいいっぱいなんで」と絞り出した小林のヒーローインタビューが眩しかった。
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