JBCの“うまてなし”は知恵と工夫の嬉野茶/月刊・佐賀競馬だより

佐賀県競馬組合
チーム・協会
今月からスタートした「月刊・佐賀競馬だより」。
佐賀競馬でのトピックスや知られざるエピソードを競馬リポーターの大恵陽子氏が月1回(不定期)でお届けします。

九州で初開催だったJBC 【撮影:大恵陽子】

ファンのアツい思いが支えたJBC初開催

先月4日、佐賀競馬場で初めて行われたダート競馬の祭典・JBC。1万2789人の観客が詰めかけ、大盛況のうちに幕を閉じた。

それから1カ月近く経ったつい先日、JBCに騎乗していたある騎手がこう話した。

「遠方からのファンがたくさん来ていたみたいで、『佐賀でのJBCを見るんだ』って執念を感じました」

飛行機や新幹線を乗り継いで来たり、数日前から九州入りしたり、高い熱量を持ったファンの様子をレース後に見聞きしたようだ。

JBCは毎年、全国の地方競馬場で持ち回り制で行われ、その土地の特色を生かした開催になる。たとえば、2021年金沢競馬場では着物の女性が、22年盛岡競馬場ではチャグチャグ馬コがファンを出迎えた。また、地方競馬随一の規模を誇る大井競馬場では多くのキッチンカーや物産展が軒を連ねるなど都心部ならではの盛り上がりを見せた。

そうした中、佐賀競馬場は赤レンガ造りのレトロなスタンドが名物。JRAや大井と比べるとコンパクトではあるが、心のこもったおもてなしが売りでもある。佐賀競馬では近年、温かいおもてなしのことを「うまてなし」と独自の言葉で呼んでおり、まさにそんな“うまてなし”が詰まったのがJBCだったと言えるだろう。

その一つは内馬場を開放したこと。ゆったり過ごせるようイベントステージや多くのキッチンカーが出現し、普段と異なる雰囲気でレースを楽しめるようにした。
また、入場門付近はたくさんの花で彩られ、ファンを出迎えた。

そしてもう一つは嬉野茶によるうまてなし。
佐賀県と長崎県の県境に位置する嬉野市は古くからお茶の産地として知られ、香りや旨味が強い緑茶として人気だ。佐賀の特産品である嬉野茶をその場で淹れて楽しんでいただこう、といううまてなしがJBC当日に行われていた。利用できるのは馬主席など一部の人に限られたが、通路の一部を利用してカウンターを設置。その前を通る人たちは「これ、いいね。あとで来ようかな」など興味津々だった。

そこでいただけるのは冷茶と温茶。

カウンターで淹れられる嬉野茶 【撮影:大恵陽子】

「低温の方が旨味がしっかり出るんです」

カウンター内で嬉野茶を淹れる職人の説明で、冷たい嬉野茶を頼んだ。ワイングラスで出てきた嬉野茶は、グラスの中で芳醇な香りを漂わせ、口に含むとふわっと甘い緑茶の香りが体中に広がった。

ワイングラスで提供された冷茶の嬉野茶 【撮影:大恵陽子】

一緒に提供されたのは「アンデサンド」というこの日のために考案された和と洋が融合したお菓子。引き締まった味わいの嬉野茶とのマリアージュは最高だった。

さらにその奥にはSAGA BARという佐賀県内の日本酒を味わえるコーナーがあり、鍋島をはじめとする地酒が並んだ。

SAGA BAR 【撮影:大恵陽子】

スタンドの大きさだけで比べると、地方競馬の中でも下から数えた方が早いかもしれない。しかし、限られた施設の中でも県外から来場した人たちに佐賀県の名産や佐賀競馬場らしさを感じていただこうと考案されたのが、嬉野茶のおもてなしとSAGA BAR。
佐賀ならではのうまてなしだった。

(お知らせ)帰ってきた!大好評・大恵総合研究所の最終レースデータ分析

今夏、期間限定で掲載された佐賀競馬最終レースのデータ分析コラムが大好評につき今週末14日から再開される。
大恵総合研究所の所長でおなじみの大恵陽子氏が様々なデータを用いて最終レースの予想をするもので、1カ月限定の今夏はほぼ毎回、推奨馬が3着以内に入るなど好調。
今週末からの佐賀競馬もどうぞお楽しみください。

大恵総合研究所 【佐賀支部】


文・大恵陽子(おおえ ようこ)
競馬リポーター。小学5年生で競馬にハマり、地方競馬とJRAの二刀流。毎週水曜日は栗東トレセンで、他の日は地方競馬の取材で全国を駆け回る日々。グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」「地方競馬中継」などに出演のほか、「優駿」「週刊競馬ブック」「うまレター」「馬事通信」など各種媒体で執筆。
「大恵総合研究所」なるデータ分析機関を勝手に設立し、現場取材で得た騎手・調教師などの談話をヒントに、馬場傾向やレース傾向を導き出して精度向上に励む。
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著者プロフィール

佐賀競馬は九州唯一の地方競馬場として主に土日に競馬を開催しています。注目の重賞情報やイベント情報など、佐賀競馬のニュースを日々お届けいたします。

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