激闘72ホール 桑木志帆-完全V達成
桑木 志帆 【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】
(天候:晴れ 気温:15.6℃ 風速:2.3m/s)
《グリーン=スティンプ:9 1/4フィート コンパクション:23.5mm》
72ホール激闘の軌跡は優勝決定後、75分を経てもさめることはなかった。今季3勝目は公式競技初優勝の大仕事。「うれしい」と一度、目を閉じながら言葉を絞り出し、「やっぱり、うれしいとしか出てきません」と、本音が飛び出す。
2打差をつけて迎えた18番。第1打を右バンカーに入れてレイアップする。残り80ヤードの第3打をピン奥3メートルにつけたが、パーセーブはできない。ウイニングパットを格好よく、決めるシナリオが霧散。それでも1ストロークのアドバンテージを死守して、勝利をもぎとった。
スタートホールでボギー。これまで経験したことがない苦しさがあった。誰もが勝ちたい。それがメジャーの重圧というものだろう。しかし、いつになく落ち着いていた。2番では3メートルのパーパットが残ったものの、しっかりとカップイン。「連続ボギーだけは、さけたい」という一念で乗り切った。
この日のハイライトは6-8番の3連続バーディーだろう。6番でグリーンカラーから7メートルをねじ込むと、7番がピン奥から4メートル。勢いに乗って8番ではピン横3.5メートルを決めた。ただし、小祝さくらが序盤から猛チャージを展開しており、一度は首位をあけわたしている。
「スタートできょうは3打差で、心の余裕があった。7番のティーイングエリアで素振りをした時、ちょっと気がついたことがある。アドレスの重心位置が軽い。それまで、つま先体重だったし、どっしりと地面をしっかり踏むようにしたら、すごくいい1Wのショットが打てた」。失敗は許されない。たとえ、わかっていても実践できなければ価値なし、である。勝負所で即、実行-が進化を示し、真価となった。
【Photo:Hiromu Sasaki/Getty Images】
「成長したのはメンタル。調子が悪くても優勝できることを知りました。それには、どんな時でもトップ10を積み重ねてきたからでしょう。ということで、できすぎの感じはしていません」が本音だった。そうはいっても、年間3勝の重みをしっかりと受け止め、「ゴルフって、怖い。一年でガラッと変わってしまう。だから、年が明けても、去年とは比較をしないことにする。来年の目標は、ここ3年間、ダイキンオーキッドレディスで予選通過がない。開幕戦から優勝争いをすること。しっかり準備をしてきます」。
身の丈から一歩、一歩というスタイルは新時代にふさわしい。ちなみに、年間イーグル数第1位に輝き、喜びも倍増のファイナルとなった。(青木 政司)
【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】
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