東都大学野球秋季リーグ戦総括、優勝を目指したシーズンも4位で終了。橘田陸斗主将が流した涙の意味

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「…今年は優勝する、という気持ちで…ずっとやってきたんですが。…それができなくて…。…ただ、先輩たちがつないできてくれた1部はつなげられた。後輩たちには、もう1度優勝を目指して。次こそ監督を胴上げして欲しいと思います……」。
10月23日、第5週、亜細亜大戦で2連敗で勝ち点を落とし、4位で秋季リーグ戦を終えた。主将の橘田陸斗主将(経済4年・山梨学院)は報道陣を前に、涙を流し声をつまらせた。
第4週を終了し、優勝の可能性を残しながら、第3週未消化試合となった國學院大戦から第5週の亜大戦まで、投打に精彩を欠き3連敗。片岡昭吾監督はリーグ戦を総括し、「しっかりアウトをとれるところ。出塁できるところ、というところをもう1度来年に向けて鍛え直したい。最後、あと1点というところまでいっても勝ちきれなかった。そういうところを課題にしていきたいと思います」と話した。

橘田陸斗 【日本大学】

昨秋リーグ戦、あと1勝で逃した優勝。 選手たちの心に刻まれた片岡監督の涙

どうしても優勝したかった。4年生の「優勝」への原動力となったのは、昨年秋のリーグ戦だった。「あと1勝で優勝」で迎えた第5週で、青山学院大に0-9、0-10と2連敗。目の前で優勝を逃した。試合後のロッカールーム。片岡昭吾監督が「勝たせてやれなくて…申し訳ない…」と、選手たちの前で涙した。選手たちもそれにつられるように、涙をこぼした。橘田は「監督の涙を見たのは、もちろん初めてでした。4年生全員も泣いていて。この悔しさは絶対に忘れずにやっていこう、と心に焼き付けました」。新チームから、苦しいことがあると「あの涙は忘れない」と言い合うようになった。

今年のチームスローガンは「徹底力と団結力」

今年、チームで掲げたスローガンは「徹底力と団結力」だった。金丸斗南学生コーチ(4年経済・浦和学院)は、「ただ厳しくするだけでなく、常にチームの目標がブレないように1人1人と話をしてきました」。21人の学生コーチが選手たち練習から緊張感を持ち、一瞬のスキも許さない。「長いリーグ戦、モチベーションが保てない時もあって、それが試合で崩れてしまうんです」。夏のオープン戦では、朝のアップの時間が短く、準備が足りず敗戦したことも。「バッティングの1球目からフルスイングできるように。準備不足で負けたら、ここまでやってきたことが無駄になる」。徹底的に話しあった。「ONE TAP SPORTS」という選手のコンディショニングアプリで、選手全員の日記を管理。学生コーチが毎日チェックし、気になった選手には返信。たとえメンバー外であっても、モチベーションが下がらないよう、「チーム一丸」を目指し、前を向いた。
片岡監督は「レギュラーだろうが、メンバー外だろうが、自分に与えられた場所でベストを尽くす。でなければ組織は回らなくなる。今まではいつも注意してきた。それが今年は少なくなったんです」。選手たちの勝利への高い意識は、確実に根付いていた。

春季リーグ戦後、攻撃力を強化。秋は打線の奮起と下級生の活躍

春季リーグ戦を4位で終えると、チームは伝統の「守り勝つ野球」にプラスし攻撃力にも力を入れた。6月中旬からは約1カ月、ウエート中心にフィジカル面を鍛えた。その後、野手は振り込み、投手は投げ込みに力を入れ「振る力」「投げる力」を身に付けた。片岡監督は「この強化によってスイングスピードが身に着いた」と言うように、チーム打率も、春はリーグ5位の2割7厘。秋はリーグ1位の2割6分6厘。優勝の青学大よりも高い成績だった。
そして、秋の象徴は下級生の活躍だ。1部リーグ10傑には春に続き3年生の谷端将伍内野手(経済3年・星稜)が首位打者に輝いた他、5位に川崎大也外野手(生産3年・佐野日大)、9位に米津煌太内野手(スポーツ1年・大垣日大)。最終戦ではヤクルト村上を兄にもつ村上慶太(法律2年・九州学院)が神宮初安打を打ち話題に。投手では菅澤宙投手(生産工1年=中京)が6試合に登板し1勝。リーグ戦を通し、チームの底上げも図った。

谷端将伍 【日本大学】

川崎大也 【日本大学】

米津煌太 【日本大学】

菅澤宙 【日本大学】

橘田から南條へ。秋から冬,そして春へ。引き継がれる熱い思い。

橘田を始めとする最上級生たちの悔しさと無念さは,後輩たちに引き継がれることだろう。次の主将には南條碧斗(危機管理3年・報徳学園)が指名され,新チーム体制が既に始まっている。
そして野球日本代表「侍ジャパン」大学代表候補選手に市川,谷端,米津ら3名が選出され,11月30日からの強化合宿(松山坊ちゃんスタジアム)に参加する。他リーグ,他大学の選手たちと切磋琢磨し,得る収穫も大きいことだろう。今後の練習に生かせてもらいたい。
「あと1勝」の重さを突き詰めながらも、手が届かなかった優勝。季節を追うごとに、目に見えて成長は示している。レベルの高い「戦国東都」だからこそ、選手たちはあきらめずに、上を目指す。悲願の優勝へ。彼らの視線の先には,もう春の開幕を見据えている。

南條碧斗 【日本大学】

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著者プロフィール

日本大学は「日本大学競技スポーツ宣言」を競技部活動の根幹に据え,競技部に関わる者が行動規範を遵守し,活動を通じた人間形成の場を提供してきました。 今後も引き続き,日本オリンピック委員会を始めとする各中央競技団体と連携を図り,学生アスリートとともに本学の競技スポーツの発展に向けて積極的なコミュニケーションおよび情報共有,指導体制の見直しおよび向上を目的とした研修会の実施,学生の生活・健康・就学面のサポート強化,地域やスポーツ界等の社会への貢献を行っていきます

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