ThreeBond Racing予選/決勝レースレポート【全日本スーパーフォーミュラ選手権 第8戦、第9戦鈴鹿大会】

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第8戦鈴鹿大会 前戦の良い流れを維持できるか

#12 三宅淳詞選手 【ThreeBond Racing】

2024年度全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ最終第7大会(第8戦及び第9戦)が、11月9日(土)~10日(日)にかけて、三重県の鈴鹿サーキットで開催された。前大会に続き、今大会も土曜日に第8戦の公式予選および決勝、日曜日に第9戦の公式予選および決勝と、1大会に2レースが開催され、最終戦となる第9戦に第23回JAFグランプリのタイトルが決定する。
 前戦でマシンの状態に好感触を得たチームは、3月に同じ鈴鹿サーキットで開催されたシリーズ開幕戦で得られたデータを基にセッティングをまとめてマシンを持ち込んだ。3月よりも気温が上がり風向きも変わったので、8日(金)に設けられたフリー走行セッションを用いて調整を進め、翌日の公式予選に備えた。しかしセッション終盤、2コーナーでスピンを喫し、マシンが停止してしまったため、タイムは出走21台中19番手に終わった。

歯車が噛み合わなかった公式予選

9日(土)の鈴鹿サーキットは朝から快晴となり、午前9時5分から公式予選Q1A組セッションが始まった。三宅選手は2周をかけてタイヤをウォームアップしタイムアタックにかかったが、逆バンク先とバックストレッチで他のマシンに詰まってしまう。この結果、タイムは1分38秒046、Q1A組出走10台中9番手となりQ2セッション進出はならず。第8戦決勝レースのスターティンググリッドは17番手と決まった

想定外のトラブルに見舞われた決勝レース

【ThreeBond Racing】

公式予選から約3時間半のインターバルを挟み、第8戦の決勝レースが始まった。スターティンググリッドに着くためコースインした三宅選手は、130Rを通過した頃にギヤが不調となり1速からシフトアップができない状態となったまま、スターティンググリッドについた。このままではスタートできず危険と判断し、三宅選手は手を上げて合図した。しかし、コースマーシャルがそれに気づかないまま、レースはスタートを切られた。三宅選手は追突を避けるためコース左側にマシンを寄せ、後続車が通過した後、ピットロード出口付近にマシンを止めてリタイアとなった。トラブルの原因はドグクラッチの破損だった。

第9戦鈴鹿大会 セッティングを大幅に変更する賭けに出た公式予選

【ThreeBond Racing】

気象予報では天候の悪化が懸念されていたが、10日(日)の鈴鹿サーキットは空に雲が広がったものの雨は降らず、ドライコンディションのコースで午前9時15分、第9戦公式予選が始まった。チームは前日、フロアが路面に擦れて削れたことを受け車高を上げると共にセッティングを大幅に変更して公式予選に備えた。Q1A組に出走した三宅選手は出走11台中10番手のタイムにとどまりQ2セッション進出はならず。この結果、第9戦決勝レースのスターティンググリッドは20番手に決まった。

速さを見せたがトラブルに泣いた決勝レース

【ThreeBond Racing】

10日(日)午後2時30分から、シリーズ最終戦となる第9戦第23回JAFグランプリの決勝レースが始まった。スタート合図が下されると三宅選手は20番手から好スタートを切った。しかし、順位を入れ替えるには至らず20番手のままオープニングラップを終えた。三宅選手のペースは良く、前方集団に引き離されることなく周回を始め、6周目に入る1コーナーでアウト側から1台、7周目に入る1コーナーでイン側から1台をオーバーテイクして18番手にポジションを上げると更に前走車へ迫った。
 チームは、このまま周回を続けて前走車に追いついてもオーバーテイクに時間がかかってしまいロスタイムが大きいと判断した。そこでタイヤ交換が可能な最少周回である10周でピットインする作戦を選び、三宅選手をピットに呼び寄せた。タイヤを交換した三宅選手はコースに復帰し、作戦通り順位を15番手にまで上げた。
 ところがさらに順位を上げようとしていた三宅選手のペースは19周目に突然上がらなくなった。サスペンション系にトラブルが発生し、リヤのグリップが急激に落ちたためだった。三宅選手は後続車の逆襲を受けてポジションを落とし苦しい戦いとなったが、18位で31周を走りきりチェッカーフラッグを受けた。

ドライバー:三宅淳詞 コメント

前回の富士ではマシンの調子が良くなる方向が見えたので、それを基に打ち合わせをして期待をしてマシンを持ち込みましたが、フリー走行では高速コーナーの多い鈴鹿サーキットにうまく合わせ込めなかった感触でした。第8戦の公式予選ではタイミングも悪くウォームアップ中のマシンに詰まってしまい、思うようなアタックができなかったですが、タイムが伸びなかったのはそれだけが原因ではなかったと思います。決勝ではフォーメーションラップ中にギヤが1速から2速に上がらなくなってしまい、リタイアとなりました。第9戦の決勝レースでは、スタートからペースが良く順調に順位も上げられ、タイヤ交換をした直後はペースが良かったのですが、途中でリヤのグリップがなくなってしまい、ペースがまったく上がらなくなってしまいました。今シーズン最も良い感触でレースができていたので残念です

監督:道上龍 コメント

1年間スリーボンドレーシングの応援ありがとうございました。1年通して、マシンのセッティングを改善しようとすると調整が足りなかったり行き過ぎたりの繰り返しでした。SF23というマシンはセッティングのスイートスポットが非常に狭く、良いバランスを探り続けたのですが、見つけきれませんでした。第8戦はマシントラブルによりレースができませんでしたが、第9戦はレース前半まで良かったと思います。ただ、タイヤを替えてから急激にタイムが落ちてしまい、せっかくオーバーテイクした相手に抜き返されて終わってしまいました。タイムが落ちてしまったのはマシンのある部分にトラブルが出てしまったのが原因でした。今回はトラブルが発生するまでは良いペースで走れていたので、オフのテストでセッティングに対する精度を上げられるよう努力します。

アドバイザー:塚越広大 コメント

最終ラウンドに向けて何とかポイントを獲得して終わろうと準備を進めましたが、走り出しから思ったようなパフォーマンスが得られず、エンジニアと相談をしながら対応しました。でも短い時間の中でドライバーが満足できるような方向へ持っていくことができませんでした。それでも最終戦では戦えるマシンになり、スタートは下位からでしたがトラブルが発生するまでは順調に順位を上げ、今後に期待ができる結果が得られたと思います。それだけにトラブルが残念でした。これまでアドバイザーとして少しでもマシンの状態が良くなるように協力をしてきましたが、2台体制で参加するチームとは異なり、1台体制ではいろいろなことを試す機会の少なさを痛感したシーズンでした。

チーフエンジニア:新井凌 コメント

3月に同じ鈴鹿で開催された開幕戦のタイムが悪くなかったので、それをベースにセッティングをまとめて持ち込みました。でも気温が高かったり風向きが違ったりしたため、パフォーマンスが期待したレベルにならず、フリー走行の時間を使って調整を加えました。第8戦の公式予選に向けては、サスペンションを動かして柔らかい方向へマシンを仕上げましたが、決勝レースでスタートできず、その効果を十分に確かめることができないまま第9戦を迎えることになりました。第9戦ではこれまでで最も柔らかい方向にセッティングを変更したところ良い感触だったので、決勝レースに向けて少しアジャストしました。スタート後は集団の中でペースが良くオーバーテイクもできる状態になりましたが、トラブルが発生しペースを維持できなくなってしまったのが残念です。それまでは良いペースで走れたので、データは良いものが取れたと思います。

【ThreeBond Racing】

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著者プロフィール

SUPER FORMULAは国内最高峰で最速のフォーミュラレースシリーズです。レースに使用する車両やタイヤ・エンジンに性能の差が無い「イコールコンディション」のため、ドライバーの実力やチームの戦略が勝敗につながります。世界的に見てもF1に次ぐ速さをもち、F1に乗るために必要な「スーパーライセンス」が最短2年で取得が可能。それにより、世界の舞台で活躍している名だたるドライバーを輩出している、世界でも注目されているカテゴリーです。公式サイトでは、SUPER FORMULAに関する様々な情報をご紹介いたします。

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