渡邉彩香-感謝を込めて3バウンスバック

チーム・協会

渡邉 彩香 【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

第40回伊藤園レディスゴルフトーナメント グレートアイランド倶楽部(千葉県)第1日

 きょうも100パーセントの感謝を込めて-のラウンド。渡邉彩香は7バーディー、3ボギーの68で第1日を終えた。「ショット全体がすごく良くなっている。特に1Wが安定。また、グリーンを狙うショットもいい。もちろん、パッティングも」と振り返る。とはいえ、3ボギーはすべて3パット。「2メートルぐらいを外してしまった。読み違いです」と唇をかんだ。

 18番、残り130ヤードの第2打をピン3メートルへ運ぶ。「全集中です。最後はバーディーを決めて終わりたかったから」と、笑顔をのぞかせる。注目していただきたいのは、ボギーの後だ。すべてバウンスバックに成功。このあたりが100パーセントの感謝、ということか。

 今大会前、上田桃子がツアープロから、セカンドキャリアに向け挑戦することを公表。意外な関係を明かした。「去年のオフ、(上田)桃子さんから突然、電話をいただき、初めてじっくりとお話をする機会をつくってくださって。プロデビュー前から私が大ファンで、プレーのタイプは違うけど。ロールモデルとしてきました。もちろん、試合のロッカールームでたくさんお話をしたことはありますけど、ゴルフの話をしたことは、ほんの数回かなぁ」。

 気持ちが揺れ動いていた、昨オフだった。「セカンドキャリアを選択しようとしていた矢先のことです。というのは、QTファイナルステージで失敗。ツアーから気持ちが離れていた時、このまま終わって、悔いがないの-と問いかけてくださった。おかげさまで素直になれたし、このまま終わってしまっては将来、確かに悔いが残ることに気がついて。もし、桃子さんとお話をしていなければ、きょうこの場でプレーしていることはなかったと思います」。奮起して、再上昇を目指した。基本に戻って今季はQTランキング55位→リランキングで5位と躍進。現在、メルセデス・ランキングは43位と、シード圏内に入っている。それだけに、活力を与えてくれた大恩人なのだ。

【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 確かに、上田を目標にする選手が多い。その点について、上田本人が語っている。「大丈夫か、私で」と前置きし、「私よりも、母がうれしいと思います。もし、後輩がこまっていたら、手を差し伸べることができるようなプロになってほしい。それが願いでしたから」(上田)。

 ロールモデルの影響力は絶大だった。「桃子さんのすごさは、ストイックなぐらいプロとして正面からいつもゴルフと向き合っているところでしょう。あれほどのマネをすることはできないけど、私なりに今、一生懸命。しっかり、見つめ直していますよ。今シーズン、CAT Ladies最終日、ご一緒できたことがすごくうれしかった」と、目に映らないレガシーを振り返った。

 記録を調べてみると、JLPGAツアー同組でのプレーは37回。「もう一度、ご一緒にプレーを」と切望しているが、最大のご恩返しは優勝を飾ることだろう。「グレートアイランド倶楽部は、すごいスコアが出ることがありますよ」。確かな手応えがある証だ。(青木 政司)
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