小回りでは万馬券が出やすい!地方馬イグナイター連覇か、シャマルなどJRA馬か/佐賀・JBCスプリントデータ分析

佐賀県競馬組合
チーム・協会

2023年JBCスプリント優勝イグナイター 【撮影:大恵陽子】

JBCスプリント(JpnI、佐賀ダート1400m)
11月4日佐賀10レース 17時20分発走予定


昨年は地方馬イグナイター(牡6、兵庫・新子雅司厩舎)が制覇したJBCスプリント。舞台の大井ダート1200mはワンターンで直線はゴールまで386mと広いコースだったが、今年は一変して小回りの佐賀競馬場が舞台。コースを1周し、距離も1400mに変更される。
JBC史上初の地方馬による連覇か、あるいはJRA馬や他の地方馬の台頭があるのか。ここでは小回りコース(※)で行われた過去6回のJBCスプリントや、舞台となる佐賀ダート1400mのデータを元に分析する。

※小回りコース:浦和、金沢、名古屋、園田
(ここでは1周1200m以下、ゴールまでの直線300m未満を小回りコースと定義)

佐賀ダート1400mのデータ期間:2021.11.1~2024.10.31

小回り開催では半数で地方馬が3着以内

まずは小回りコースで行われたJBCスプリントの傾向から見ていこう。ここでは小回りコースを浦和(2019年)、金沢(13年、21年)、名古屋(05年、09年)、園田(08年)の4場とし、実施されたのは6回。
所属別ではJRA栗東所属馬が6回中5回で優勝。3着内率は50%だった。
小回りコースでのJBCは6回中5回が西日本での施行ということもあってか、JRA美浦所属馬の出走は2頭のみで、5着が最高だった。
地方馬は2019年JBC浦和でブルドッグボス(浦和)が勝利するなど、半数の3回で4頭が3着以内に入った。

所属別成績(小回りJBC過去6回) 【表1】

過去には100万超えの大波乱

単勝1番人気は4勝を挙げるが、3連単万馬券は過去6回中4回に上る。ダートグレード競走で3連単万馬券はどちらかと言うと波乱に分類され、2019年は地方馬ブルドッグボスが勝ち、3着にも11番人気の地方馬トロヴァオ(大井)が入り149万7730円の大波乱。
紛れが多いと言われる小回りコースで開催されたJBCスプリントでは過去6回で最も堅い決着でも2009年1番人気→3番人気→6番人気の順で3連単3290円だった。

単勝人気別成績(小回りJBC過去6回) 【表2】

意外と差し馬にもチャンスあり!?

小回りコースで行われたJBCスプリントはいずれもコーナー4回、コースを1周するダート1400m。逃げ・先行が3勝、差しが3勝を挙げ、勝率と3着内率は下表(青色)の通り。意外なのは逃げ馬が1勝のみということだが、逃げ馬の平均人気は4.8番人気ということを考えると、妥当な数字か。
今年の舞台となる佐賀ダート1400mの直近3年のデータ(オレンジ色)では、逃げの勝率は23.9%だった。差しの勝率7.6%は似た小回りコースの園田や名古屋に比べてやや高い。その要因は、佐賀競馬は近年、若手騎手の増加などによりよどみないペースになることが多いことが一つ。ゴール直前での差し切りもしばし見られ、JBCスプリントでもペース次第では差し馬にもチャンスがあると言える。

脚質別成績 【表3】

過去傾向も馬場傾向も3番・4番が有利

小回りコースで行われたJBCスプリントでは3番~5番が各1勝を挙げて好成績を残す。一方、今年の舞台となる佐賀ダート1400mでは枠による有利不利は見られない。ただし、11月1日付の記事「いよいよJBC!佐賀の馬場傾向は?実は最近、砂を追加していた/佐賀・大恵総合研究所レポート」(下記リンク)で記したように、従来より内側の砂が深くなっており、1番枠と2番枠は苦戦傾向。代わって3番枠と4番枠が好成績を残しており、JBCスプリントでもその枠には注目したい。

馬番別成績 【表4】

東京盃組か南部杯組か

相性のいい前哨戦はどのレースか。
前哨戦は大きく2つに分けられ、東京盃(大井ダート1200m)と南部杯(盛岡ダート1600m)。前者を選ぶ馬は多く、東京盃で3着以内に入った12頭がJBCスプリントにも出走し、3勝を挙げた。小回りコースのJBCスプリントは1400mのため、東京盃からは距離延長になるが、問題なくこなせる馬が多い。
対して南部杯で3着以内に入った4頭がここに出走し、1勝だった。

キャリア別成績 【表5】

データからの推奨馬は?

①JRA栗東所属馬
②人気薄や地方馬も積極的に狙える
③差し馬の割引不要
④3番~5番、または12番
⑤東京盃3着以内or南部杯3着以内


シャマルは小回りJBCでも当舞台でも好成績を出す4番枠に入った。前走・東京盃は「間に合った」という状態ながら3着。先行力を武器に当コースのサマーチャンピオンを2022年に制したほか、小回りコースの高知・黒船賞2勝や浦和・テレ玉杯オーバルスプリント勝ちなど、舞台も最適。①④⑤に該当。

昨年覇者のイグナイターは中間に結膜炎があって調教を休んだ期間もあったが、数日のもの。その後は順調に調整が進められてきた。佐賀競馬では先月から砂厚11cmに深くなったが、さらに砂が深い高知で2022年黒船賞を勝っているように問題なし。この馬自身は外枠を引いた時の成績が芳しくはないが、小回りJBCとしては12番は過去6回で2勝を挙げる好枠。②④に当てはまる。

チカッパは3歳馬ながら前走・東京盃で古馬相手に差し切り勝ち。200mの距離延長となるが、コーナー4回の分、こなせる余地はある。①③⑤に該当。

②の地方馬ではJRAオープンクラスから昨夏、兵庫に移籍し、距離短縮で臨んだ9月サマーチャンピオンを勝ったアラジンバローズ。主戦場にしていた中距離では折り合いが課題だったが、1400mに短縮することでそれも解消。差しが届く展開になれば。②③に当てはまる。
マックスは前走・東京盃で先頭に立つかという場面もあっての2着。佐賀コースも経験済みで②⑤に該当する。

第24回JBCスプリント 【出馬表】


文・大恵陽子(おおえ ようこ)
競馬リポーター。小学5年生で競馬にハマり、地方競馬とJRAの二刀流。毎週水曜日は栗東トレセンで、他の日は地方競馬の取材で全国を駆け回る日々。グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」「地方競馬中継」などに出演のほか、「優駿」「週刊競馬ブック」「うまレター」「馬事通信」など各種媒体で執筆。
「大恵総合研究所」なるデータ分析機関を勝手に設立し、現場取材で得た騎手・調教師などの談話をヒントに、馬場傾向やレース傾向を導き出して精度向上に励む。
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著者プロフィール

佐賀競馬は九州唯一の地方競馬場として主に土日に競馬を開催しています。注目の重賞情報やイベント情報など、佐賀競馬のニュースを日々お届けいたします。

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