今年は小回りがポイント!3着内率75%超えのJRA馬の“ある条件”とは/佐賀・JBCクラシックデータ分析

佐賀県競馬組合
チーム・協会

2023年JBCクラシック優勝キングズソード 【撮影:大恵陽子】

JBCクラシック(JpnI、佐賀ダート2000m)
11月4日佐賀11レース  18時30分発走予定


ダート競馬の祭典・JBCが今年も開催される。舞台となるのは初の佐賀競馬場。持ち回り制のJBCでは毎年、距離に多少の変化があり、今年はダート2000mだ。
ここでは舞台となる佐賀ダート2000mや、今年同様に小回りコース(※)で開催となったJBCクラシックの過去のデータを元に分析する。

※小回りコース:浦和、金沢、名古屋、園田
(ここでは「1周1200m以下」かつ「ゴールまでの直線300m未満」を小回りコースと定義)

佐賀ダート2000mのデータ期間:2021.11.1~2024.10.31

JRA栗東が圧倒的に優勢

まずは小回りコースで行われたJBCクラシックの過去の傾向から見ていこう。前述の通り、ここでは小回りコースを浦和(2019年)、金沢(13年、21年)、名古屋(05年、09年)、園田(08年)の4場とし、実施されたのは6回。
所属別成績ではJRA栗東が5勝と圧倒的で、3着内率は53.6%。2頭に1頭は馬券圏内に入っている。対照的に、同じJRA馬でも美浦所属は2頭が出走し、いずれも4着以下。出走自体が少なかった。
船橋の1勝は21年ミューチャリーで、地方馬がJBCクラシックを制したのはレース創設以来、初めてだった。

所属別成績(小回りJBC過去6回) 【表1】

人気薄を狙うなら地元馬

単勝1番人気は4勝を挙げる一方、残り2頭はともに4着。2着、3着は0という極端な結果になっている。1番人気が4着に敗れた2回はともに3連単は万馬券で、05年23万6450円、21年4万5150円。対して、1番人気が勝った年はすべて4000円未満の堅い決着だった。
6番人気で勝ったのはミューチャリー(船橋)で、6番人気以下で3着3頭のうち2頭は地方馬、それも開催場の地元馬。19年浦和開催でセンチュリオン(浦和)、05年名古屋開催でレイナワルツ(愛知)だった。

単勝人気別成績(小回りJBC過去6回) 【表2】

コース自体は逃げ切りが難しい

下表は小回りコースで行われたJBCの過去6回(青色)と、今年の舞台である佐賀ダート2000m(オレンジ色)での脚質別成績。
直線がゴールまで300m未満の小回りコースでは逃げ馬の勝率が20~30%に上る競馬場が多く、佐賀も全距離を対象としたデータでは約25%。しかし、2000mという長めの距離になると逃げ切り勝ちは難しくなるようで、勝率は10%に下がる。小回りコースのJBCで行われた過去6回でも逃げの勝率は16.7%と高くはない。ただ、小回りJBCでは逃げの3着内率では66.7%と高い数値をマークしている。

脚質別成績 【表3】

JBCでは内枠有利が加速!?

小回りコースでのJBCクラシックは、距離こそ違えど向正面からスタートして1周半するコースで設定されている。コーナー6回ということから、コーナー部分での距離ロスを抑えやすい内枠が好成績の傾向にある。それを表したのが下表。今年の舞台である佐賀ダート2000m(オレンジ色)は外枠が比較的好成績なのに対し、小回りコースで行われた過去6回のJBC(青色)では内枠が好成績だ。力が拮抗し、ハイレベルな戦いとなるJBCではわずかなロスも結果を左右するのだろう。
佐賀開催となり、内ラチ沿いの砂が深いことが傾向にどう影響するかだが、コース形態が過去6回と似ている点から考えると、極端な変化はないかもしれない。

馬番別成績 【表4】

佐賀競馬場 【コース図】

内枠のJRA馬は狙え

前述の「JBCクラシックは内枠好成績」を裏付けるデータが下表。JRA所属馬の中で最も内枠に入った馬は6頭中5頭が3着以内に入った。
また、4番より内枠に入ったJRA所属馬は3勝を挙げ、3着内率75.0%。内枠のJRA所属馬は積極的に狙いたい。

JRA馬の馬番別成績(小回りJBC過去6回) 【表5】

帝王賞5着以内の組に注目

戦歴で有力なのは帝王賞5着以内に入った組。15頭が該当し、5勝、2着4回。この中には地方馬も含まれており、21年1着ミューチャリーは同年帝王賞で4着からの巻き返しだった。

キャリア別成績 【表6】

データからの推奨馬は?

①JRA栗東所属馬
②帝王賞5着以内
③4番より内枠のJRA馬
④1番人気馬
⑤穴で狙うなら地元・佐賀所属馬

ウィルソンテソーロは帝王賞2着。勝ったキングズソードに食らいつく走りを見せた。おそらく先行~中団前目でレースを運びそうで、佐賀ダート2000mでは先行馬が最も勝利を挙げている点も心強い。1番人気に支持されそうで、②④に該当する。

ウィリアムバローズは前走・日本テレビ盃を勝利後、チャンピオンズカップと両睨みだったがこちらを選択。コーナー6回の小回りコースなら2000mもこなせると判断したのだろう。逃げて強いレースを見せており、ノットゥルノの出方次第ではあるが、おそらくこちらが先手を取るのではないか。このコースの逃げの勝率10%が気になるところではあるが、それをカバーするだけの能力は十分ある。①に当てはまる。

③の「4番より内枠のJRA馬」はメイショウハリオのみが該当。これまでの輝かしい実績を考えると、昨年の帝王賞以降は物足りなさがあったが、前走・日本テレビ盃では3着と能力の片鱗を見せた。昨年のJBCクラシック(4着)は大井の白砂と10cmの深い砂が合わなかった印象だが、今年は雨で締まった馬場になることが考えられ、力を出しやすいかもしれない。①③に該当する。

また、ノットゥルノは5番枠ながら、11月1日付コラム「いよいよJBC!佐賀の馬場傾向は?実は最近、砂を追加していた/佐賀・大恵総合研究所レポート」に記したように、いまの佐賀は内の砂が深くなって「内ラチが2頭分外に移動した」イメージ。そう考えると、③に当てはまりそうだ。

⑤の地元馬は厳しい戦いになりそうだが、地方馬ではエルムSを追い込んで4着のシルトプレ、佐賀記念2着キリンジ、バテない強みのガルボマンボあたりか。


第24回JBCクラシック 【出馬表】


文・大恵陽子(おおえ ようこ)
競馬リポーター。小学5年生で競馬にハマり、地方競馬とJRAの二刀流。毎週水曜日は栗東トレセンで、他の日は地方競馬の取材で全国を駆け回る日々。グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」「地方競馬中継」などに出演のほか、「優駿」「週刊競馬ブック」「うまレター」「馬事通信」など各種媒体で執筆。
「大恵総合研究所」なるデータ分析機関を勝手に設立し、現場取材で得た騎手・調教師などの談話をヒントに、馬場傾向やレース傾向を導き出して精度向上に励む。
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著者プロフィール

佐賀競馬は九州唯一の地方競馬場として主に土日に競馬を開催しています。注目の重賞情報やイベント情報など、佐賀競馬のニュースを日々お届けいたします。

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