三井ゴールデン・グラブ賞受賞者の愛用品にはどんなこだわりが? レジェンドたちのグラブに野球殿堂博物館で出合う
ルーキーイヤーにして初受賞の松坂大輔氏 【写真提供:三井広報委員会】
今回は福本氏に代表される、三井ゴールデン・グラブ賞にまつわるさまざまな歴代No.1を紹介。野球殿堂博物館に収蔵されているレジェンドたちのグローブとともに、守備のエピソードをお届けする。
野球殿堂博物館の館内 【写真提供:野球殿堂博物館】
歴代最多12回受賞の福本豊とはどんな選手?
第40回三井ゴールデン・グラブ賞の表彰式でスピーチをする福本豊氏 【写真提供:三井広報委員会】
昭和55年4月発行の『ベースボールアルバム 福本豊』(恒文社)によると、当時、福本氏にとっての“走り”のライバルで、外野手として8️年連続ダイヤモンドグラブ賞を受賞したチームメイトの蓑田浩二氏は、走塁のみならず守りの技術も福本氏から学んでいた。シングルキャッチが主流の当時でも、イージーなフライほど基本通りの丁寧な捕球を心がけ、キャンプでは特守につぐ特守を欠かすことがない努力家であったという。
そんな福本氏のグラブが野球殿堂博物館に収蔵されている。現在、外野手が使用しているグラブよりも若干重さがあるという違いはあれど、ダブルトンボのウェブは現在でもよく見られる仕様である。「Braves 福本」の白糸の刺繍もキリッとした印象だ。
福本豊氏のグラブ 【ⓒPLM】
最年少記録は“平成の怪物”が。そのグラブは?
第28回三井ゴールデン・グラブ賞の表彰式。投手部門に松坂氏と上原浩治氏が選出。上段左端にはイチロー氏、上段右端には新庄剛志氏の姿も 【写真提供:三井広報委員会】
守備の基本はボールを体の前でさばくことだ。投手が打球に触れたことで前に落ちればいいが、弾かれたボールの軌道が変わり、内野手が捕りづらくなる可能性もはらんでしまう。また、恐ろしくスピードが速く回転がかかったライナー性の打球は怪我の恐れもあって、積極的には捕りにいかないという判断も働くため、投手の守備への貢献は難しいところ。そんななかでも、松坂氏は初受賞の1999年、25試合の登板で10刺殺、29捕殺、失策0と完璧なフィールディングを見せた。繰り返すが高卒の新人が、だ。
実は、野球殿堂博物館収蔵の写真のグラブはピッチング用や試合用ではなく、投手守備練習の際に用いられていた“守備練習専用グラブ”だ。松坂氏は「投手も9人目の野手」であることを強く意識していた。
松坂大輔氏守備練習用グラブ 【ⓒPLM】
松坂大輔氏の投球用グラブ(西武時代 2004年寄贈) 【ⓒPLM】
セ・リーグにおける三井ゴールデン・グラブ賞の最年少記録保持者、立浪和義氏(中日ドラゴンズ・19歳2カ月)のグラブも野球殿堂博物館に収蔵されている。遊撃手として高卒1年目からレギュラーという華々しいデビューを飾ったが、意外なことに遊撃での受賞はこれが最初で最後だ。1995~97年は二塁手で、2003年には三塁手で三井ゴールデン・グラブ賞を受賞している。ちなみに、3つの異なるポジションでの受賞は立浪氏のみだ。
立浪和義氏のグラブ 【ⓒPLM】
他にもこんな記録が……三井ゴールデン・グラブ賞にまつわるさまざまな記録
三井ゴールデン・グラブ賞の表彰式で手渡される金色のトロフィーは、受賞選手が使用するグラブを模った特製品 【写真提供:三井広報委員会】
満場一致、まさに文句なし。そんな満票受賞者はセ・パ合わせても10名しかいない。パ・リーグの5名を挙げると、大橋穣氏(阪急ブレーブス/1972年)、有藤通世氏(ロッテ・オリオンズ/1974年)、福本豊氏(阪急ブレーブス/1976〜1979年)、梨田昌崇氏(近鉄バファローズ/1979年)、秋山幸二氏(西武ライオンズ/1990年)となっている。平成以降パ・リーグではたったひとりしかいないが、果たして今後現れるのか?
両リーグで受賞歴がある選手は9名いるが、もっとも受賞が多いのが新庄剛志氏だ。セ・リーグでは7回(阪神タイガース/1993年~1994年・1996〜2000年)、パ・リーグでも3回(北海道日本ハムファイターズ/2004〜2006年)と、計10回の受賞歴がある。
「第53回三井ゴールデン・グラブ賞」は11月12日に発表、11月28日に表彰式が行われる。今年はどんな選手が受賞するのか、今から楽しみに待ちたい。
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