【ソフトバンク育成6位】徳島インディゴソックス「川口冬弥」のてびき!

徳島インディゴソックス
チーム・協会

【徳島インディゴソックス】

プロフィール

ふりがな:かわぐち とうや
背番号:13
出身:奈良県
生年月日:1999/10/26
身長:187
体重:85
投/打:右/右
経歴:東海大学菅生高ー城西国際大ーハナマウイ

特徴的な投げ下ろすフォームから最速155km/hの快速球で空振りを奪う爽やか右腕。9回を投げる「守護神」として開幕を迎え、前期だけでリーグトップの6セーブを記録。後期途中からは先発にも挑戦し、8月7日の対ソフトバンク3軍戦では5回9奪三振無失点の好投を見せるなど、「即戦力投手」として注目を集めている。

三振が奪えるピッチャーであり、イニング数を大きく上回る奪三振数を記録している。プレイヤータイプとしては中日ドラゴンズ・松山晋也投手や千葉ロッテマリーンズ・種市篤暉投手をイメージする

2017年、高校3年生の夏にチームは夏の甲子園ベスト4まで進出するも川口自身はベンチ入りすることができなかった。そのメンバーの中には、昨年ドラフト2位で東京ヤクルトスワローズに入団した同期の松本健吾投手や、当時2年生ながら背番号10を背負った戸田懐生投手(徳島インディゴソックス〜読売ジャイアンツ)がいる。

また「爽やかイケメン」との異名も名高く、多くのファンを魅了している

基本成績

【徳島インディゴソックス】

今季の川口の成績をまとめたものがこちら。1年間安定感のある投球を見せつけ、非常に珍しい最優秀防御率(1.37)と最多セーブ(7S)のダブル受賞。先発でも中継ぎでも高い能力を誇ることを示した。

特に注目すべきポイントは「高い奪三振率」だ。奪三振率12.89はリーグトップ(対戦打者10人以上)の数字。中継ぎだけでなく、先発でもイニング数を大きく上回る奪三振を記録しており、非常に頼りになるピッチングを見せてくれていた。

条件別成績

【徳島インディゴソックス】

さらに川口のピッチングを対戦打者の左右別、塁状況別に分類したものがこちら。

左右別では右打者、左打者どちらも打率1割台と抑え込んでおり、圧倒的な内容が伺える。

塁状況別では得点圏のシチュエーションの少なさが際立つ。ランナーなしや1塁の場面できっちり抑えていたことでそもそも得点圏に進まれることが少なかったことが、失点の少なさや防御率の低さに直結していたことが読み取れる。

球種別スタッツ

SwStr% = 空振り数/全投球数(一般的な「空振り率」) Whiff% = 空振り数/スイングした投球数 スポナビより独自集計 【徳島インディゴソック】

川口の得意な武器となる球種は一体何なのか。その答えは「空振りの奪えるストレート」である。四国アイランドリーグのストレートのSwstr%の平均は7.5%前後であるが、川口は「17.2%」とそれを大幅に上回る数値を叩き出した。この数値はリーグトップの数字であり、リーグ2位の投手の数字が12%台であることからもダントツである。またWhiff%が30%台であることも驚異的であり、強い球威を感じる。シーズンで奪った85個の三振のうち、実に36個がストレートの空振りで奪ったものだった

川口の強いストレートに振り負けないように意識したところをフォークで欺くのも得意のパターンだ。フォークのWhiff%は47.8%を誇り、中日ドラゴンズのライデル・マルティネス投手のスプリットと同水準と非常に高レベル。32個の三振をフォークで奪っており「ストレート」と「フォーク」どちらもウイニングショットとして強力な武器として川口の投球を支えた。

また、これらのボールをしっかりとストライクゾーンの狙ったところに投げ込めるのも大きい。与えた四死球はわずか15個であり「三振が取れてフォアボールを出さない」というのは理想的な内容。

さらに左右別に川口のボールを見てみよう。

対右打者

【徳島インディゴソックス】

まずは右打者への攻め方。ヒートマップを見てみるとストレート、スライダーはストライクゾーンのアウトコース低め、フォークは真ん中低めに多かったことがわかる。アウトコースの厳しいストレートの後に甘く入って来たように見えるフォークで空振りを誘っていた内容がこちらからもイメージできる。

右打者に対してはスライダーでも多く取れている。ストレート、フォーク、スライダー3つのどの球種でも安定してストライクが取れ、空振りも誘えるとなると被打率が1割台となるのも納得である。

対左打者

【徳島インディゴソックス】

こちらが左打者への攻め方。フォークボールは右打者と同じように真ん中低めに集まっているが、ストレートやスライダーは右打者と比べると真ん中付近に集まっている。それでも球威で押し切れるだけのボールを川口は投げている。

投球の傾向を見てみるとスライダーがやや減って、ストレートが増えていることがわかる。

球速帯

【徳島インディゴソックス】

川口の投球を球種毎に分類したものがこちら。ストレート(青)とフォーク(オレンジ)の球速帯が近く、打者にとっては見極めづらいだろう。さらに150㎞/h前後の速いボールを意識しているところに120km/h~130km/h台のドロンとしたスライダーが来る。そのような緩急にタイミングを合わせるのは相当な打者の対応力が求められるため、投手有利な状況を作ってドンドンストライクゾーンに投げ込んでいけた。

140㎞/h前半のストレートを減らしてより150㎞/hに近いところでストレートを安定して投げ込めるようになると、今後より一層手がつけられなくなるだろう。

飛躍のきっかけ

徳島でどのように選手が進化・成長を遂げたのか、注目ポイントを取り上げたい。

これまでの通り、川口の最大の武器は空振り率の高いストレートだ。ただ威力のあるボールが投げられるがゆえに、ストレートに依存したピッチングが目立った。実際、前期終了時点で18試合25.1回387球を投げ、ストレートの投球割合は70.2%と非常に高い割合を占めていた。

四国アイランドリーグ内ではそれでも好成績を残せていたものの、6月1日の福岡ソフトバンクホークス3軍戦では1回3失点、7月10日の読売ジャイアンツ3軍戦でも1.2回5失点とNPB3軍相手には苦戦する場面も見られた。ストレートに頼らないピッチングを目指して挑戦したのが、守護神から先発への転向である。

【徳島インディゴソックス】

先発登板と中継ぎ登板を比較したのがこちら。ストレートの投球割合を50%台にまで落とし、スライダー・フォークの投球割合が増加している。特にスライダーは中継ぎ登板の時よりもよりストライクを取れるようになり、ストライク率が上昇。空振りも多く奪えており、進化を感じさせる内容を示した。ストレートとフォークとのコンビネーションは先発でも健在。投球の幅を広げられたことは同じ打者と2度3度対戦する先発登板でも好成績を出せたことに繋がっている。

1軍へのカギ

四国で猛威を振るったストレートがどこまで通用するのか
守護神に始まり、先発転向と役割を変えながら1年間確かな結果を積み上げてきた。NPBでは中継ぎでの即戦力として期待されることが予想される。短いイニングでストレートとフォークで空振りを奪う今のスタイルがどれほど通用するか非常に楽しみだ。そのためにはストレートの平均球速をどこまで150㎞/hに近づけられるか、そこが大きなカギとなる。10月26日に25歳を迎える遅咲きの男が1軍の舞台で大きく爽やかに花開く日が来ることが今から待ち遠しい。


成績&データ、分析ほか 
中俊輔
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著者プロフィール

徳島インディゴソックスは、四国アイランドリーグplusに所属するプロ野球独立リーグの球団です。球団ミッションに「徳島から夢追う人を増やす」を掲げ、現在10年連続NPBドラフト指名選手輩出中!YouTubeではホームゲーム全試合実況生中継!

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