下馬評高いプログノーシス、課題のゲートを決めれば悲願のG1制覇も
G1初勝利を目指すプログノーシス 【Photo by 山根英一/アフロ】
人気馬の信頼性が高いレースなら、気になるのは現地の評価となるが、22日に行われた枠順抽選後の前売り1番人気は日本のプログノーシスとなっている。17日に舞台のムーニーバレー競馬場で行った追い切りでは、ラスト400mで23秒56の一番時計をマークした。本番でもコンビを組むD.レーン騎手が好感触を得ており、同じ左回りの2000m級で、内々から馬群を捌きつつ圧勝した今年の金鯱賞のようなレースを再現できれば理想的か。ただ、ここ2戦とも出遅れている点は気懸かりで、ゲートから最初のコーナーまで短い今回は発馬の失敗で被る影響もより大きい。
プログノーシスにとって、快足牝馬プライドオブジェニは非常に厄介な存在となりそう。大逃げを型としており、4月のクイーンエリザベスS(2000m)は中間点で30馬身差はあろうかというリードを奪っての圧勝。今回より400m短い前哨戦のジョンF.フィーハンSでも大逃げを決め、試走を完ぺきな形で終えている。その後、豪キングチャールズ3世Sからの連闘は予定通りで、2着という結果はスタート直後から外に張り続けられる不利が影響した。逃げの基本戦略は変わらないものの、柔軟性を欠いた前走の反省を生かし、今回は念のため控える策も考慮するとのこと。
プログノーシスが出遅れた場合、プライドオブジェニの大逃げを捕まえにいく先行勢の動きに左右される面もあるだろう。クイーンエリザベスSではミスターブライトサイドが2番手を追走して影も踏めないまま3着に敗れたが、昨年のコックスプレートではプログノーシスの天敵ロマンチックウォリアーにハナ差の2着。マイル戦ならプライドオブジェニと一進一退のライバル関係だけに、今年も優勝候補の1頭であることには違いない。道悪を得意としており、陣営は少しでも湿った馬場状態を求めている。
4月のクイーンエリザベスSを圧勝したプライドオブジェニ 【Photo by Getty Images】
軽い斤量を利して古馬に挑む3歳馬も侮れない。2014年を最後に勝利こそないものの、リスグラシュー(2019年)の2着(キャステルヴェキオ)など上位争いには絡んでいる。ブロードサイディングはすでにG1レース3勝で豪3歳勢をリードする存在。同馬を所有するゴドルフィンは2021年に3歳馬アナモーで僅差の2着があり、ブロードサイディングの直近2戦も当時と同じレースを選択してきた。
ここまでが現地前売りの単勝10倍以下(22日時点)で、近年の傾向では優勝争いの有資格馬ということになる。
残りは伏兵扱いになるものの、前走のコーフィールドギニーでブロードサイディングに先着したエヴァポレイトは不気味。序盤に不利を受けるなど流れに乗り切れなかったブロードサイディングに対し、スムーズな加速で先んじた内容だが、その前にはムーニーバレー競馬場で重賞を含む3連勝と高いコース適性を秘めている。父パーインカントはコックスプレート4連覇のウィンクスと同じストリートクライ産駒という血統も魅力だ。
ヴィアシスティーナがそうであるように、欧州からの移籍馬の活躍も少なくない豪州にあって、英国から遠征のドックランズにも注目。2走前のクイーンアンSで今年の欧州マイル王が濃厚なチャリンの2着という実績があり、前走の英インターナショナルSでは大きく出遅れながらも、目立つ脚勢でドゥレッツァに1馬身足らずの7着まで追い上げた。ゲートに課題を抱える身ではあるが、H.ユースタス調教師は昨年まで豪州で活躍したD.ユースタス調教師の実弟で、9月末には現地入りと周到に準備を進めてきた様子がうかがえる。
ロイヤルパトロネージも欧州出身で米国、豪州と移籍を繰り返してきた。今季は9月7日のG2勝ちからG1エプソムハンデキャップの3着など安定しているが、今回で早くも5戦目。勝ち鞍も1700m以下にしかない。また、コヴァリカはヴィアシスティーナと同じC.ウォーラー調教師の管理馬だが、昨シーズンから14戦未勝利。直近2戦はロイヤルパトロネージと着順を前後させる関係で、両馬は実力的に一枚落ちる印象だ。
(渡部浩明)
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