「データをどう捉える?!」 大阪体育大学スポーツ科学部・岡村修平助教(コーチング学)コラム 

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大体大先生リレーコラム「本物を学ぼう」 第10回

 大体大先生リレーコラム「本物を学ぼう」。第10回はスポーツ科学部・岡村修平助教の「データをどう捉える?!」です。
 皆さんはゲームパフォーマンス分析という分野をご存知ですか? 今回は私の専門分野であるゲームパフォーマンス分析(以後GP分析)について簡単に話をしたいと思います。

1.客観的に自分を見てみる

 GP分析とは実際の試合(actual sports performance)を対象にしたもので(O’Donoghue, 2010)、皆さんもテレビのスポーツ中継のタイムアウト中や試合終了後にボールの支配率などが映されているのを見たことがあると思います。それらはスタッツと呼ばれるものですが、GP分析は実際の試合で何が起こっているのかをスタッツなどから明らかにします。GP分析をすることによって、自身や自チームの現状を知ったり、主観と客観のズレを防いだりすることができます。私はテニスが専門種目で現在は女子テニス部を指導していますが、学生が「今日の試合でミス多かったな」と思っていたのに、GP分析をしてみると「思っていたよりもミスが少なかった」なんてことは多々あります。

2.データをどう捉える?!

 GP分析は紙とペンがあれば可能ですが、最近は簡易的に分析できるアプリが開発されていますので、私は授業をはじめ多くの場合はそちらを使わせています。その際、多くの学生が分析しスタッツを出せたことで満足してしまうのですが、GP分析で大事なのはここからです。分析して得られた様々な数字をどう解釈するかが重要で、その過程こそが自身のパフォーマンス向上や指導者になった際に活きると学生たちには伝えています。例えば、テニスのサーブのポイント取得率で考えてみましょう。テニスは2本サーブを打つことが出来ますが、一般的には1本目のサーブの取得率を高めることが重要だと言われています。試合を通した1本目のサーブでのポイント取得率が80%だったとしましょう。一見するとスピードがありコースを的確に突くサーブが打てていたと思われます。しかし、もしかすると相手の簡単なレシーブミスが多かったのかもしれません。このように前者と後者で80%という数字の捉え方は異なります。数字だけでは分からない部分を実際の映像や指導者であれば選手とのコミュニケーション、選手であれば自身のその時の心情などから解釈することで、自分自身や指導する選手のパフォーマンス向上に繋げられるのです。近年はデータ化、いわゆる「量的」な分析が注目を浴びていますが、数字だけでは見られない「質的」な部分を分析することにも大きな価値があると思っています。

3.勉強したことを実践しよう!

 GP分析を通して質的・量的どちらの観点からも自身のパフォーマンスを考えることで、パフォーマンス向上だけでなく、その競技の理解も深まることでしょう。本学ではGP分析だけでなく、スポーツ科学に関わる様々な知識を得ることが出来ます。また、部活動はもちろんのこと、実技の授業も多いため学んだことを実践する場がたくさんあります。自分自身を実験台に勉強と実践を繰り返し、スポーツの奥深さを一緒に感じてみませんか?

【参考文献】
O’Donoghue, P. (2010). Research Methods for Sports Performance Analysis. Routledge, London.

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分析アプリを用いて各自の分析結果をシェアしている様子(女子テニス部) 【大阪体育大学】

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ゲームパフォーマンス分析 競技力向上 量的・質的分析
岡村修平((スポーツ科学部助教)
コーチング学、ゲームパフォーマンス分析、体力科学が専門。女子テニス部の監督として指導するとともに、主にテニスに関わる実践研究に取り組んでいる。主な担当科目は「テニスⅠ」、「体力トレーニング論」など。

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