埼玉西武一筋12年。韋駄天・金子侑司の「走・攻・守」にわたる活躍を映像で振り返る
埼玉西武ライオンズ・金子侑司選手 【ⓒパーソル パ・リーグTV】
俊足を生かした華のあるプレーを披露し、幾度となく所沢のファンを沸かせた
今回は、そんな金子選手のこれまでの球歴に加えて、金子選手が残してきた数々の名場面を「走・攻・守」の3部門に分けたうえで、パーソル パ・リーグTVの映像とともに紹介。12年間にわたってプロの舞台を駆け抜けてきた韋駄天の功績を、あらためて振り返っていきたい。
2度の盗塁王に輝いた俊足を武器に、リーグ連覇にも大きく貢献した
金子侑司選手 年度別成績 【ⓒPLM】
しかし、内野から外野に主戦場を移した2016年には129試合と出場機会を大きく伸ばし、自身初の規定打席到達を果たす。打率.265、出塁率.331と打撃面で一定の数字を残したことに加えて、自己最多となる53盗塁を記録。当時オリックスに在籍していた糸井嘉男氏と並んで、自身初の最多盗塁を獲得する飛躍のシーズンを送った。
2017年は故障の影響で90試合の出場にとどまったが、2018年には主力として111試合に出場。打率.223と打撃不振に苦しんだものの、32盗塁を決めるなど攻守にわたって脚力を発揮してチームを助け、10年ぶりのリーグ優勝にも貢献を果たした。
翌2019年は自己最多の133試合に出場し、打率.251、出塁率.324と前年に比べて数字を改善させた。打撃の復調に伴って持ち味の脚力も大いに発揮され、41盗塁を記録して自身2度目の盗塁王に輝いた。外野守備でもたびたびファインプレーを見せて投手陣を救い、主軸の一人としてチームのリーグ連覇にも大きく寄与した。
翌年以降もさらなる活躍が期待されたが、2020年は86試合で打率.249、出塁率.312、14盗塁とやや数字を落とした。続く2021年は2年ぶりに出場試合数を3桁に乗せたが、打率.192と深刻な打撃不振に陥り、翌年以降は故障もあって出場機会が減少。2024年も打率.220、出塁率.289と苦戦が続き、今シーズン限りでの現役引退を決断している。
ここからは、金子選手が残した数々の好プレーについて、映像とともに振り返っていきたい。
チームを勝利に導く、起死回生の同点3ラン(2019年7月19日)
また、金子選手は11回表の守備でもクッションボールに対して完璧な処理を行い、相手に勝ち越しのホームインを許さない好守を披露。直後の11回裏に中村剛也選手の通算400号となるサヨナラ本塁打で試合が決着したことも含め、金子選手の12年間におよぶキャリアにおいても、とりわけ勝利に直結する大活躍を見せた試合だったと形容できるはずだ。
捕手に盗塁阻止の可能性を与えない、抜群の脚力はまさに圧巻だった
また、2019年の盗塁成功率は.804とセイバーメトリクスの観点から見ても非常に優秀な水準に達しており、チームの得点力向上に貢献していた。強力打線にアクセントを加える存在として、持ち味を存分に活かして重要な働きを見せていたといえよう。
今回取り上げた動画においては、金子選手のプレッシャーによってボールが捕手の手につかない場面も少なからず存在した。相手バッテリーに盗塁阻止のチャンスすら与えないほどのスピードと盗塁技術を持つ金子選手の韋駄天ぶりは、過去の映像にも確かに示されている。
帽子を落としながらのスピード感溢れる好守も、金子選手の代名詞だった
また、金子選手といえば、守備時に被っていた帽子が地面に落ちる、「帽子落とし」が代名詞の一つにもなっていた。帽子を落としながら軽快な動きを見せてボールを押さえる金子選手の姿は、ファンならずとも強く印象に残るものだった。一見するとプレーとは関係ない所作の部分においても、金子選手はまさに「絵になる選手」だったといえよう。
2010年代後半の埼玉西武で、金子選手が果たした役割は非常に大きかった
今季もモイネロ投手から敵地で本塁打を記録し、福岡ソフトバンクを相手に勝ち越し3ランを放つなど、随所で存在感を発揮してきた金子選手。12年間の現役生活において残してきたスピード感あふれる好プレーの数々は、今後もファンの心に残り続けることだろう。
文・望月遼太
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