埼玉西武一筋12年。韋駄天・金子侑司の「走・攻・守」にわたる活躍を映像で振り返る
埼玉西武ライオンズ・金子侑司選手 【ⓒパーソル パ・リーグTV】
俊足を生かした華のあるプレーを披露し、幾度となく所沢のファンを沸かせた
9月1日、埼玉西武は金子侑司選手が今季限りで現役を引退することを発表した。金子選手は埼玉西武一筋で12年間のキャリアを送り、2018年と2019年のリーグ連覇にも主力として貢献。2016年と2019年の2度にわたって盗塁王のタイトルを獲得するなど、随所で華のあるプレーを披露して所沢のファンを沸かせてきた。
今回は、そんな金子選手のこれまでの球歴に加えて、金子選手が残してきた数々の名場面を「走・攻・守」の3部門に分けたうえで、パーソル パ・リーグTVの映像とともに紹介。12年間にわたってプロの舞台を駆け抜けてきた韋駄天の功績を、あらためて振り返っていきたい。
今回は、そんな金子選手のこれまでの球歴に加えて、金子選手が残してきた数々の名場面を「走・攻・守」の3部門に分けたうえで、パーソル パ・リーグTVの映像とともに紹介。12年間にわたってプロの舞台を駆け抜けてきた韋駄天の功績を、あらためて振り返っていきたい。
2度の盗塁王に輝いた俊足を武器に、リーグ連覇にも大きく貢献した
金子選手がこれまで記録してきた、年度別の成績は下記の通り。
金子侑司選手 年度別成績 【ⓒPLM】
金子選手は立命館宇治高校から立命館大学を経て、2012年のドラフト3位で埼玉西武に入団。プロ1年目の2013年から94試合に出場して存在感を発揮したが、内野の守備でやや安定感を欠いたこともあり、入団から3年間はレギュラーの座を確保するには至らなかった。
しかし、内野から外野に主戦場を移した2016年には129試合と出場機会を大きく伸ばし、自身初の規定打席到達を果たす。打率.265、出塁率.331と打撃面で一定の数字を残したことに加えて、自己最多となる53盗塁を記録。当時オリックスに在籍していた糸井嘉男氏と並んで、自身初の最多盗塁を獲得する飛躍のシーズンを送った。
2017年は故障の影響で90試合の出場にとどまったが、2018年には主力として111試合に出場。打率.223と打撃不振に苦しんだものの、32盗塁を決めるなど攻守にわたって脚力を発揮してチームを助け、10年ぶりのリーグ優勝にも貢献を果たした。
翌2019年は自己最多の133試合に出場し、打率.251、出塁率.324と前年に比べて数字を改善させた。打撃の復調に伴って持ち味の脚力も大いに発揮され、41盗塁を記録して自身2度目の盗塁王に輝いた。外野守備でもたびたびファインプレーを見せて投手陣を救い、主軸の一人としてチームのリーグ連覇にも大きく寄与した。
翌年以降もさらなる活躍が期待されたが、2020年は86試合で打率.249、出塁率.312、14盗塁とやや数字を落とした。続く2021年は2年ぶりに出場試合数を3桁に乗せたが、打率.192と深刻な打撃不振に陥り、翌年以降は故障もあって出場機会が減少。2024年も打率.220、出塁率.289と苦戦が続き、今シーズン限りでの現役引退を決断している。
ここからは、金子選手が残した数々の好プレーについて、映像とともに振り返っていきたい。
しかし、内野から外野に主戦場を移した2016年には129試合と出場機会を大きく伸ばし、自身初の規定打席到達を果たす。打率.265、出塁率.331と打撃面で一定の数字を残したことに加えて、自己最多となる53盗塁を記録。当時オリックスに在籍していた糸井嘉男氏と並んで、自身初の最多盗塁を獲得する飛躍のシーズンを送った。
2017年は故障の影響で90試合の出場にとどまったが、2018年には主力として111試合に出場。打率.223と打撃不振に苦しんだものの、32盗塁を決めるなど攻守にわたって脚力を発揮してチームを助け、10年ぶりのリーグ優勝にも貢献を果たした。
翌2019年は自己最多の133試合に出場し、打率.251、出塁率.324と前年に比べて数字を改善させた。打撃の復調に伴って持ち味の脚力も大いに発揮され、41盗塁を記録して自身2度目の盗塁王に輝いた。外野守備でもたびたびファインプレーを見せて投手陣を救い、主軸の一人としてチームのリーグ連覇にも大きく寄与した。
翌年以降もさらなる活躍が期待されたが、2020年は86試合で打率.249、出塁率.312、14盗塁とやや数字を落とした。続く2021年は2年ぶりに出場試合数を3桁に乗せたが、打率.192と深刻な打撃不振に陥り、翌年以降は故障もあって出場機会が減少。2024年も打率.220、出塁率.289と苦戦が続き、今シーズン限りでの現役引退を決断している。
ここからは、金子選手が残した数々の好プレーについて、映像とともに振り返っていきたい。
チームを勝利に導く、起死回生の同点3ラン(2019年7月19日)
金子選手は3点を追う9回裏の、1死1、2塁という状況で打席に立った。左打席からオリックスの守護神・ディクソン氏の投球を力強く振り抜くと、打球は本拠地のファンが待つライトスタンドに飛び込む同点3ランに。敗色濃厚な場面で飛び出した起死回生の一発は、最終的に僅差での決着となった優勝争いにおいても大きな意義を持つことにもなった。
また、金子選手は11回表の守備でもクッションボールに対して完璧な処理を行い、相手に勝ち越しのホームインを許さない好守を披露。直後の11回裏に中村剛也選手の通算400号となるサヨナラ本塁打で試合が決着したことも含め、金子選手の12年間におよぶキャリアにおいても、とりわけ勝利に直結する大活躍を見せた試合だったと形容できるはずだ。
また、金子選手は11回表の守備でもクッションボールに対して完璧な処理を行い、相手に勝ち越しのホームインを許さない好守を披露。直後の11回裏に中村剛也選手の通算400号となるサヨナラ本塁打で試合が決着したことも含め、金子選手の12年間におよぶキャリアにおいても、とりわけ勝利に直結する大活躍を見せた試合だったと形容できるはずだ。
捕手に盗塁阻止の可能性を与えない、抜群の脚力はまさに圧巻だった
金子選手は2019年に41盗塁を記録し、自身2度目の盗塁王を獲得した。金子選手が規定打席に到達したシーズンは2016年と2019年の2度のみであり、規定打席に到達したシーズンにおいては必ず盗塁王に輝いていたという事実も、金子選手の凄みを物語っている。
また、2019年の盗塁成功率は.804とセイバーメトリクスの観点から見ても非常に優秀な水準に達しており、チームの得点力向上に貢献していた。強力打線にアクセントを加える存在として、持ち味を存分に活かして重要な働きを見せていたといえよう。
今回取り上げた動画においては、金子選手のプレッシャーによってボールが捕手の手につかない場面も少なからず存在した。相手バッテリーに盗塁阻止のチャンスすら与えないほどのスピードと盗塁技術を持つ金子選手の韋駄天ぶりは、過去の映像にも確かに示されている。
また、2019年の盗塁成功率は.804とセイバーメトリクスの観点から見ても非常に優秀な水準に達しており、チームの得点力向上に貢献していた。強力打線にアクセントを加える存在として、持ち味を存分に活かして重要な働きを見せていたといえよう。
今回取り上げた動画においては、金子選手のプレッシャーによってボールが捕手の手につかない場面も少なからず存在した。相手バッテリーに盗塁阻止のチャンスすら与えないほどのスピードと盗塁技術を持つ金子選手の韋駄天ぶりは、過去の映像にも確かに示されている。
帽子を落としながらのスピード感溢れる好守も、金子選手の代名詞だった
金子選手は俊足を活かした抜群に広い守備範囲を生かして、現役時代を通じて幾度となくファインプレーを見せてきた。球際に強い華麗なスライディングキャッチや、フェンスを恐れずに激突しながら打球をもぎ取る鮮やかなプレー、左中間の真ん中を破ろうかという打球に追いつく驚異的な脚力といった、見る者の心を奪うプレーは枚挙に暇がないほどだ。
また、金子選手といえば、守備時に被っていた帽子が地面に落ちる、「帽子落とし」が代名詞の一つにもなっていた。帽子を落としながら軽快な動きを見せてボールを押さえる金子選手の姿は、ファンならずとも強く印象に残るものだった。一見するとプレーとは関係ない所作の部分においても、金子選手はまさに「絵になる選手」だったといえよう。
また、金子選手といえば、守備時に被っていた帽子が地面に落ちる、「帽子落とし」が代名詞の一つにもなっていた。帽子を落としながら軽快な動きを見せてボールを押さえる金子選手の姿は、ファンならずとも強く印象に残るものだった。一見するとプレーとは関係ない所作の部分においても、金子選手はまさに「絵になる選手」だったといえよう。
2010年代後半の埼玉西武で、金子選手が果たした役割は非常に大きかった
2度のシーズン40盗塁超えを記録した高い盗塁技術、抜群の脚力と卓越した球際の強さを活かした驚異的な外野守備、左右両打席から生み出される優れた打撃センス。2010年代後半の埼玉西武、とりわけリーグ連覇を達成した2018年と2019年のチームにおいて、金子選手が果たした役割は非常に大きなものがあった。
今季もモイネロ投手から敵地で本塁打を記録し、福岡ソフトバンクを相手に勝ち越し3ランを放つなど、随所で存在感を発揮してきた金子選手。12年間の現役生活において残してきたスピード感あふれる好プレーの数々は、今後もファンの心に残り続けることだろう。
文・望月遼太
今季もモイネロ投手から敵地で本塁打を記録し、福岡ソフトバンクを相手に勝ち越し3ランを放つなど、随所で存在感を発揮してきた金子選手。12年間の現役生活において残してきたスピード感あふれる好プレーの数々は、今後もファンの心に残り続けることだろう。
文・望月遼太
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