【PLAYBACK PARIS】「私は私」金メダル和田なつきに卓球が与えた、どこまでも行ける自信
【photo by Hiroyuki Nakamura】
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ミスをしない世界ランカーたちに恐怖
うれし涙が止まらなかった。
手で顔を覆う和田 【photo by Hiroyuki Nakamura】
「パリではメダルは獲れそう。金は(2028年の)ロサンゼルス(パラリンピック)ぐらいで獲れるかな。そう思っていたけど、パリの練習会場で隣で練習している選手がみんな強いし、全然ミスってくれない。これが世界ランキング1ケタの実力なのかという恐怖心もすごくあった」
しかし、和田には伸び盛りの勢いがあった。試合をするたび、試合のなかでも成長した。
個人戦を勝つために必要だったチームの力
相手の強打や多彩なサーブに苦しみ、第4ゲームも6ー9とリードを許して追い込まれたが、変化球サーブでエースを奪うなど、ピンチをものともしない強気なプレーを連発。5ポイント連取で逆転して最終第5ゲームに持ち込むと、そこでは「ループドライブが相手に効くとなんとなくわかったので、力強いドライブよりもループドライブを使った」とクレバーなプレーも光った。
そして決勝では、東京大会金メダリストの大ベテラン、53歳のエレナ・プロコフェワ(NPA)に、準決勝に続いて逆転勝利を収めた。
決勝の相手は前回大会の金メダリストだった 【photo by Hiroyuki Nakamura】
その見立て通り、第2ゲーム以降は徐々にカットボールにアジャストしていった。加えて、身長173㎝の長いリーチから繰り出す強烈なフォアハンドでも連続ポイントを重ね、ゲームカウント3-1で勝利した。
決勝前、車いす部門の山本恒安ヘッドコーチやライバルの古川佳奈美を指導する井保啓太コーチを相手にカットボールを打つ練習をした。
「古川選手(準決勝でプロコフェワと対戦)には『こうすれば点数が入るよ。相手はこういう展開が得意だよ』と教えてもらって、点数の取り方をイメージできていた」(和田)
表彰台には和田(左から2番目)と古川(右)が上がった 【photo by Hiroyuki Nakamura】
本当の意味でトップになるために
「そのときは連れて行かれるのがストレスでしかなかったけど、今になってはすごくありがたいです。今は外に出る自信もあるし、自分にすごく自信が持てるようになった。私は私という考えを持てるようになったのは卓球のおかげかな」
笑顔を見せる和田 【photo by Hiroyuki Nakamura】
「世界選手権とパラリンピックの両方を取っている選手もいるし、まだ私はトップになれたわけでもない。世界ランキング(1位)を1年くらいキープできたら本当の1番なのかなと思うので、挑戦者の気持ちで上を目指したい。まだまだ磨ける」
笑顔も魅力のエースは目を輝かせながらそう言った。
text by TEAM A
photo by Hiroyuki Nakamura
※本記事はパラサポWEBに2024年9月に掲載されたものです。
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