【コベルコ神戸スティーラーズ/神戸から日本のラグビーを熱くする】 7ヶ月ぶりに『10番』を背負った李 承信。「スペースも見えて楽しみながらプレーができ、自信になりました」
再戦を心待ちにしていたイングランド代表戦で攻撃をリードした 【コベルコ神戸スティーラーズ】
ここから『超速ラグビー』の完成度を高めていく
ジョーンズヘッドコーチのもとで『超速ラグビー』を掲げる日本代表の司令塔を任されたのは、SO李 承信。SH斎藤 直人とHB団を形成し、後半15分までタクトを振った。試合は17-52で敗れるも、スピード感あふれる攻撃を仕掛ける場面もあり、
「特に最初の15分くらいまではチームとして速いテンポでアタックを展開でき、試合の入りに関しては宮崎合宿で準備してきたことを発揮できました」と明るい表情を見せる。
「NTT リーグワン2023-24」では12番や13番、終盤になるとフルバックで出場した李にとって『10番』を背負っての出場は、昨年11月18日のトヨタヴェルブリッツとのプレシーズンマッチ以来となる。
「昨シーズンはセンターやフルバックでプレーし、ラグビーの考え方やスペースの見え方で得るものが多かったです。今日は久しぶりにスタンドオフに入り、スペースも見えて楽しみながらプレーすることができました」
もちろん、チームとしても、個人としても、もっと成長していかなくてはいけない。
イングランド代表がハイパントキックを使ってくることは想定していたが、そのボールが相手に入ることが多く攻撃に繋げられなかった。また、試合後、ジョーンズヘッドコーチが「ダイレクトなアタックが多かった」と振り返っていたように、フィジカルの強いイングランド代表にブレイクダウンで苦しめられてクイックにボールを出せず、思うようにボールを動かすことができなかったと反省する。目指す『超速ラグビー』を完成度高く遂行するためには「もっと詳細を詰める必要があります」といい、個人としてもキックでのテリトリーの確保といった面をはじめ、10番としてさらなるレベルアップを誓う。
試合後にはマーカス・スミスから「若いな」と声をかけられる場面も
というのも、2022年秋にトゥイッケナム・スタジアムで行われたイングランド代表戦で、後半0分からグラウンドに立つも、相手からプレッシャーを受け自分らしいプレーがまったくできず、チームも13-52で敗戦。
ワールドカップで再戦した時には良いプレーをしてチームを勝利に導きたい。
そういう思いがあったが、メンバー入りは叶わず、試合に出られないことがわかった時はかなり落ち込んだそうだ。加えて、イングランド代表のSOマーカス・スミスは、年齢だけでなく、体格も近いことがあり、日本代表に初招集された頃からマッチアップを楽しみにしていた。
2022年秋の対戦でM・スミスは『10番』を付けて出場し、2トライをあげる活躍ぶりを見せた。そして、この日もM・スミスは1年半前と同様に躍動し、自ら仕掛けてゴールラインを駆け抜け、キックパスからトライを演出した。
「ランやキックパスなど、自分の強みを発揮してすごいなと思いましたし、彼のプレーから学ぶことは多いですね」
そう話す李のことをM・スミスも意識していたのか、試合後、話しかけられたそうだ。
「年齢を聞かれて、『23歳』と答えると『若いな』と言われて。負けて悔しい気持ちはありますし、今度こそ勝てるようにしたいです」
個人として「自信になった」といい、手応えを得た強豪イングランド代表との一戦。わずかな出場時間しか得られず悔しさが残った前回のワールドカップから再スタートを切った李が、2027年に向けて大きな一歩を踏み出した。
取材・文/山本 暁子(チームライター)
●6月29日(土)19時キックオフ ※キャップ対象外
JAPAN XV(ジャパン・フィフティーン)vsマオリ・オールブラックス(東京・秩父宮ラグビー場)
●7月6日(土)18時キックオフ ※キャップ対象外
JAPAN XV(ジャパン・フィフティーン)vsマオリ・オールブラックス (愛知・豊田スタジアム)
●7月13日(土)19時05分キックオフ ※キャップ対象試合
日本代表vsジョージア代表(宮城・ユアテックスタジアム仙台)
●7月21日(日)14時05分キックオフ ※キャップ対象試合
日本代表vsイタリア代表(北海道・札幌ドーム)
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