第一生命 D.LEAGUE 23-24 CHAMPIONSHIP!!!王者KADOKAWA DREAMS、2連覇の偉業を達成!!MVDは2年連続で颯希(SATSUKI)。
KADOKAWA DREAMS 【D.LEAGUE】
1st Trial Match:FULLCAST RAISERZ VS KOSÉ 8ROCKS(1-11)
2nd Trial Match:DYM MESSENGERS VS Valuence INFINITIES(9-3)
1st SEMI FINAL Match:KOSÉ 8ROCKS VS CyberAgent Legit(5-7)
2nd SEMI FINAL Match:DYM MESSENGERS VS KADOKAWA DREAMS(3-9)
FINAL:KADOKAWA DREAMS VS CyberAgent Legit(6-5)
王座防衛に挑戦者として挑んだKADOKAWA DREAMSの軌跡と背景
自らハードな環境に身を置き、新たなスタイル、新たなビジネス、新たな価値観を産む着想力、”アントレプレナーシップ(起業家精神)”こそがこのチームの最大の強みに思える。
ディレクターKEITA TANAKAはシーズン中のインタビュー記事の中で「今年はKDが負けて欲しいというのが世の中の流れだと思っています。僕がファンだったら、まず、CyberAgent Legit に負けて欲しい。DYM MESSENGERSやLIFULL ALT-RHYTHMにも倒されて欲しい。色んな期待を背負っていることがエンターテイメントだと僕らは理解しています。賛否を乗り越えて、D.LEAGUEを面白くするためには悪者が必要なので、悪者になります。」と語っていた。
自分達の置かれた立場を逆手に取り、試合前の煽り映像ではわざと尊大に振る舞い、ダンスだけでなくD.LEAGUEや試合そのものを楽しんでもらう。そんな広い視座からの駆け引きがKDの仕事であった。
そしてKEITAの予言通り準決勝ではDYM MESSENGERSと、決勝戦ではCyberAgent Legitと勝負することになった。
KDは準決勝から決勝へ、TSYとMINAMI以外全てのメンバーを変えて挑んだ。メンバーを分けることで2作品の完成度を高めること、何よりメンバーが準決勝から決勝へのバトンを渡してくれることを信じての采配には、ドラマを感じてしまう。
KDの初戦となる準決勝ではValuence INFINITIESに勝利したDYM MESSENGERSとの対戦。DYM MESSENGERSは今シーズンからの新規参入チームにも関わらず準決勝へ進む快挙を成し遂げた。KDは後攻となる。
「What is dance?」をテーマに、ダンスの自由さや楽しさという本質的な部分を伝えるというパフォーマンスを披露するMESSENGERS。それぞれのソロから始まり、ドープなビートに合わせてのHIPHOP、深いダウンの音どりで難易度の高いルーティーンを見せる。
用意したお酒で乾杯したのを起点にビートが変わり、よりセクシーによりパワフルにロッキンのルーティーンを展開し、それぞれが順番にソロを展開して自分達の武器である「個」の力を爆発させる。競技としてのダンスで自己を磨きながらも、ライフスタイルとしてのダンスを楽しんでいる姿をしっかりと表現してみせた。
DYM MESSENGERS 【D.LEAGUE】
難易度の高い板付き時点からブレずに肩の上に立ち続ける技術、質感を合わせたカノンを見事に成功させ、リリックに合わせた颯希(SATSUKI)のアニメーションのソロに会場が大きな声援をあげる。クイックなルーティーンで空間をロックし、サイファーラウンドからの伏線回収と言えるASUHAとRyoによる柔軟なコンビネーションが披露される。
アクロバットもバレエのターンもリフトも、ジャッジに厳しい目で見られる傾向をあえてわかった上で、武器として盛り込み、ジャッジだけでなく見てる人全てに感動を与える「KDの黄金比」がそこに埋め込まれていた。
ジャッジの結果、3-9で勝利し、KDは昨年に引き続き決勝進出を決めた。
KADOKAWA DREAMS 【D.LEAGUE】
どんな場面でも決して油断しない。Legitの優勝への執念
CSは決勝戦以外、レギュラーシーズンの順位が高いチームにアドバンテージとしてジャッジに一票加算されるが、準決勝からの試合となるLegitはアドバンテージがあるからといって気を抜く様子もない。
レギュラーシーズンで唯一敗北を喫したKOSÉ 8ROCKSと準決勝でリベンジマッチとなったLegitは「THE TRUTH」をテーマに密度の濃いダンスを披露した。Legitというチーム名自体に「本物」という意味が含まれており、真実と本物、言葉を重ね合わせることで真に輝く自分達のダンスをこのステージにぶつける。
また、ダンスも他のスポーツ同様、一度ステージで踊ると体が温まるだけでなく不要な緊張が取れ、パフォーマンスが向上することがある。8ROCKSがトライアルマッチで一度踊っているアドバンテージを侮らず、ステージ上でギリギリまでストレッチを行なっていた。
逆さ吊りの1chという衝撃的な一枚絵からスタートしたLegitのショーは、1chの雷、B-BOY SHOSEIの竜巻のようなソロに合わせフォーメーションを変え、アニメーションでのルーティーンへと続く。ブレや瞬きなど全て意識することでノイズを削ぎ落とし「寸分狂わぬ」という表現がマッチするタイトさだからこそ、表情や首の揺らぎなどの細かな要素でのアピールが際立つ。
2エイトごとに盛り上がりを用意し、エースTAKUMIのソロは照明との相乗効果で空間が歪んでいる錯覚すら覚える。テンポアップしてからのボディコントロール、タット、バイブレーションからカノンへとつながるラッシュの攻撃力は凄まじく、全体を通して一つの生命体のような空間のうねりを生み出していた。
CyberAgent Legit 【D.LEAGUE】
そうして迎えたKDとの決勝戦。両チームとも世界でのパフォーマンスを経験し、一回り大きくなって決勝の舞台に帰ってきた。Legitにとっては昨年の雪辱を果たす最高の舞台となる。出演順はCSランキング順位が高い方が後攻となるため、Legitが大トリとなる。
No.ONEとなったKD。ゴールドより輝いたLegit
パフォーマンスはサス照明に合わせたMINAMIのソロから始まり、メンバーが動きをトレースしていく。コンペティションではシンクロ率が高いルーティーンの割合を増やす方が高得点が見込める。しかし「自分達のHIPHOP」での勝利と「世界に通用する作品」にこだわるKDは、あえてポーズや大技など個性を要所要所で展開させる。対極にあるはずの”調和”と”野性味”が共存しているのがKDの個性だ。
緻密なフォーメーションとポージング、腹筋の上を走らせリフトで一回転する斬新な組み合わせ技を、リスキーながらしっかり決めていく。
ソロからフロア、ドルフィン、アクロバットで盛り上がりを一ヤマ作った後はハーフビート(遅いビートの)パートでDaichiをセンターにし音ハメを決める。TSYのバク宙を受け止め、リリックだけのパートでは女性メンバー3人が立ち姿によるかっこよさを主張する。
リディム(ダンスホールレゲエ)のビートに音が変わり、密度の高いパワフルなルーティーンから、TSYの大ジャンプ2回宙返り。2回宙と呼ばれるこの技はラウンド14で出す予定が、ハイリスクすぎたため急遽別の技に変えたという経緯があり、CSの大舞台でのリベンジを誓っていたTSYは見事着地まで綺麗に成功させ歓声を浴びた。
KADOKAWA DREAMS 【D.LEAGUE】
対するLegitのテーマは「ALL FOR GOLD」。優勝の金のトロフィーを得るために、自分達の積み上げてきたもの全てを出すという。
メタリックな衣装に身を包み、優勝に届かず打ちのめされる場面と、そこから這い上がりKANATOが前宙で前に進むところからダンスが始まる。後ろ向きに安全に転ぶテクニックや前宙のために安定して台座を作るテクニックなど、今シーズンのLegitはダンスも表現力も幅広く磨き上げてきた。
持ち味であるクイック&スローのルーティーンにダイナミックなコブラを使ってのフォーメーション移動。enaのパワーロッキンからロックを繰り返しながら質感や音どりを七色に変化させていくルーティーン。
ビートが変化してからのAYUNAのソロと目力は今シーズン1番の輝きを放つ。KANATOの背中を土台にし、AYUNAのブリッジに紙一重の距離でSHOSEIがサイドフリップをきめエアーに繋げる。
TAKUMIのソロでは腕のウェーブに合わせてメンバーがフロアをスライドし、ATOのソロを含め抜きのある音遊び、最後のラッシュでは表情も含め全身全霊を込めたPOPPIN’に、複雑なカノン、KAI→とKANATOによるアクロバットも成功し、追加点として最後のドラム音を掴む余韻を持たせる構成。海外を経て学んだ経験も反映されていたのではないだろうか。
CyberAgent Legit 【D.LEAGUE】
一方Legitは勝敗が決まった瞬間ステージに倒れ込むメンバーもおり、CS決勝で2度目の敗北を経験することとなった。舞台袖からは1chが駆け寄り、リーダーTAKUMIはメンバーに起き上がるよう手を差し伸べるが、その後上を向き涙を滲ませていた。
KEITA TANAKAは優勝コメントで「明日また同じ戦いをしたら別の結果が出たんじゃないかと思う。僕らの目標は、レギュラーシーズン優勝ではない、CS優勝でもない、世界をひっくり返す、ダンスで。川崎から世界を変える、そんなチームでありたいと思います。」と語った。
試合後のインタビューでMVDとなった颯希(SATSUKI)は「伏線回収というか、決勝戦はどちらが勝ってもみんなが喜ぶ状況で、1点差という稀有な状況で勝利を掴めた。勝てたことが心の底から嬉しく、心の底からメンバーみんなを尊敬しています。」と語っていた。
1.5軍やアバンセ、ユースも含め大所帯のチームとしての層の厚さと情熱で紡がれたKDの優勝。それに対し少数精鋭でスキルシェアを行いショーの構成力と表現力を磨き上げてきたLegit。
金のトロフィーこそ獲れなかったが、ストイックに優勝を目指しレギュラーシーズンを駆け抜けてきたLegit自身が、イミテーションゴールド(模造品の金)ではなくレジットゴールド(本物の金)として輝いていたシーズンだったのも確かだ。次はプラチナ、そしてダイアモンドと、来シーズンも更なる本物の輝きを見せてくれるに違いない。
決勝戦にも負けない熱量の勝負。そしてサプライズ発表
熱のこもった決勝に負けず劣らず、1st Trial MatchのFULLCAST RAISERZ VS KOSÉ 8ROCKSの勝負も、初戦ながら高火力チーム同士の熱い戦いとして多くのファンの記憶に残るものだった。
CSに4年連続出場となるRAISERZは「This is KRUMP」をテーマに、メンバーが参画した楽曲で、自分達のスタイルを出し惜しみしないパフォーマンスを展開した。
FULLCAST RAISERZ 【D.LEAGUE】
8ROCKSはSPダンサーとして初代ディレクターのISSEIが登場。ファンを歓喜させるとともにこの勝負への本気度が窺える。ディレクターKakuは今シーズン限りでの退団が発表されており、Kakuへ勝利をプレゼントしたいという想いもある。
KOSE? 8ROCKS 【D.LEAGUE】
会場からは歓声だけでなく「どちらも鳥肌が立った」といった声が聞かれた。まさに日本を代表するダンスの頂上決戦、その開幕戦から会場が身震いするほどのバトルを披露してくれた。負けた試合であろうと、意味のない試合は一つもなかった。
そしてイベントの最後には、6/26(水)18:00〜第一生命 D.LEAGUE 23-24 AWARDS SHOWの開催、そしてリスト株式会社による新チーム「LIST::X(リスト エクス)」の参画が発表された。来シーズンは全14チームとなり、10月13日に開幕を予定している。
23-24シーズンを通して全171名のDリーガーの成長や挑戦、多くのドラマがファンの心を動かしたのではないだろうか。これからさらに規模が大きくなるD.LEAGUEと、新しいドラマやダンスに期待して欲しい。SD.LEAGUEからのスター誕生の瞬間や、各チームの取り組みなど、オフシーズンもぜひ話題をチェックし感想とともに拡散して、D.LEAGUEを一緒に盛り上げていただきたい。
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