「マウンドの違い」とは? グラウンドキーパーに直撃 「心を込めて整備を」
【オリックス・バファローズ】
◆高さや傾斜はどの球場も同じ
だが、すべての投手が口にするとおり、マウンドはそれぞれの球場ごとに異なった様相を呈する。バックネット裏スタンドの形状や看板の配置、ファールグラウンドの広さといったマウンドから見た各球場の視覚的な特徴は、その場を支配しようとする投手に少なからぬ影響を与える。水はけのために作られたグラウンド内のわずかな傾斜も、投手が体感するマウンドの高さや傾斜を違ったものにしてみせる。
写真:国際基準を意識して作られた京セラドーム大阪のマウンド 【オリックス・バファローズ】
◆国際基準を意識したマウンド
京セラドーム大阪のマウンドは、最近は国際基準を意識して硬めに仕上げている。メジャーリーグで使われている粘土「マウンドクレイ」を用いて整備している。
写真:霧吹きを使ってマウンド内の水分を調整する岩田さん 【オリックス・バファローズ】
写真:ハンマーで叩き、新しい土を馴染ませる岩田さん 【オリックス・バファローズ】
写真:「タンパー」を使ってマウンドを押し固める岩田さん 【オリックス・バファローズ】
◆毎回異なる整備
先端に爪のついた「レーキ」を使い、土に無数の細い溝をつくる。これにより、新しく乗せる土が馴染みやすくなる。その上に霧吹きで水をかけ、丁寧にマウンドクレイを乗せる。ハンマーで慎重にならし、徐々に力を加えて叩いていく。この時の音の高さと跳ね返りで硬さを感じ取っているという。
仕上げに「タンパー」と呼ばれる機材を使って押し固める。重さおよそ5キロの用具を、持ち上げては下ろす。カン、カンと特徴的な金属音がドーム全体に響く。
「100回整備すれば100回すべて整備の仕方が微妙に違います」。その日の土の感触や温度、湿度によって水加減と土の叩き方を変化させ、理想とする硬さに仕上げていく。試合開始時刻にベストなマウンドになるよう、水分の蒸発まで見越して作業は進められる。
写真:マウンドの仕上げにかかるグラウンドキーパーたち 【オリックス・バファローズ】
◆ブルペンの跡もチェック
「投球位置を数センチ一塁側にずらしたな、とか、軸足の踏ん張り方を変えたかな、とか。そんな違いもわかります」。これらの日々の気付きを生かしてマウンドをつくっている。
写真:マウンドで笑顔を見せる岩田さん 【オリックス・バファローズ】
◆より良いマウンドを
直径5.48メートルの小さな山。投手が躍動する主戦場には、繊細な技術と確かな経験が詰まっていた。(西田光)
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