【コラム】第8回:日本の現状(その2)

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【コラム】第8回:日本の現状(その2)

スポーツエコシステム推進協議会(C-SEP)が、アスリートとアスリートを取り巻く全てのステークホルダーに知ってほしい情報を発信していく本連載、前回は日本におけるスポーツ賭博への対応史を取り上げました。
第8回目となる今回は、スポーツ賭博に対し厳しい対応をとってきたというのに、それでもなお、日本のプロスポーツがいま、世界中から賭けの対象とされている現状について取り上げます。

世界から日本のスポーツに対して賭けられている掛け金の総額は、年間5兆円とも言われています。これに加え、日本国内には、日本国内からインターネットで欧米のスポーツベッティングサービスを利用する形で形成されている違法越境市場が存在し、その規模は既にかなりの規模になっているとも言われています。
さらに、諸外国のスポーツベッティング事業者の中には、プロスポーツだけでなく、アマチュアスポーツや学生スポーツも賭けの対象にしたサービスを提供しているところもあります。
こういったサービスを日本人が日本からインターネットを通じて利用することは、本コラム第6回(4月22日配信)で取り上げたとおり刑法上の賭博罪に該当し違法となりますが、相当数の日本人が利用し、違法に賭けを行っている現実があります。
例えば2024年春の選抜高校野球大会では、日本人向けに試合結果などを予想させるサイトが10以上存在、2024年夏の甲子園大会に特定の高校が出場できるかを予想させるサイトも見つかったとの報道がありました。
第3回のコラム(4月5日配信)でも紹介しましたが、海外のスポーツベッティングでは、試合開始前に勝敗を賭けられるだけでなく、投手がいくつ三振をとるかとか、バスケットボールなら次の得点がどうやって入るかなど、試合中に刻々と変化する戦況に応じて賭けることができ、このような試合を観ながら試合中の事象に対して賭けるサービスをインプレイベッティングといいます。
試合中に生じた事象に関する速報ベースのデータを「試合経過データ」といいますが、欧米のインプレイベッティングでは、個々のプレイから「数秒以内」に収集・提供される試合経過データが使用されることになります。中継映像は少なくとも数秒の遅れが生じることから、海外のスポーツベッティング事業者がどうやって試合経過データを収集しているかというと、スタジアム・アリーナに入場して実況中継を行っていると言われています。
実際、海外のスポーツベッティング事業者等から雇われたと思われる外国人が一般客やレポーターとして試合会場に入場し、インカムをつけて実況中継を行う姿が目撃されています。
このように、海外のスポーツベッティング事業者は既に、かなり深く日本国内に入り込んでいます。

次回以降で、こういった事業者の違法性を改めて確認するとともに、アスリートやスポーツ団体がこれに関与することのリスク、そしてこういった事業者に対して講じるべき対応策について、取り上げていきます。
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