早大ラグビー部 【連載】新体制特集『BEAT UP』【第1回】 SO野中健吾×LO栗田文介×FL田中勇成

チーム・協会
取材・編集 西川龍佑、濵嶋彩加、清水浬央、村上結太

2024年度の新体制特集、初回を飾るのは今年度3年生から委員に選ばれた野中健吾(スポ3=東海大大阪仰星)、栗田文介(スポ3=愛知・千種)、田中勇成(教3=東京・早実)の3人だ。学年の代表としてチームを引っ張る存在になった彼らの、新シーズンへ向けた心の内を対談企画で伺った。



※この取材は4月13日に行われたものです。

「攻撃と守備の要として」(栗田)

仲良く対談に臨む3人 【早稲田スポーツ新聞会】

ーーまずは他己紹介をお願いします

田中 栗田文介くんです。ラグビーの面では、フィジカルやタックルの部分でフォワードの支えになってくれる存在です。1年生から出ているので、今シーズンもチームを引っ張ってくれています。プライベートでも仲良くしていて、寮でもよく一緒にいます。少しおとなしい印象を周りから受けていますが、意外と活発です。

栗田 野中健吾くんです。攻撃と守備の要として体も張れる頭の良いプレーヤーだなと思います。私生活では、大阪出身ということで、ジョークとかで周りを笑わせてくれています。

野中 田中勇成くんです。ラグビーではタックルに狂ったようにいくところが印象的です。僕からしたら考えられないくらい(タックルに)いくんで、そういうぶっ飛んでるところは尊敬しています。私生活では意味わからないくらい常に笑っているので、それが良いところなのかなと思っています。



ーーお互いの第一印象はいかがでした

栗田 (田中は)新人練の時にこの体型でめちゃめちゃ早くて、1キロ走とかでも常に全力で、やべえなあ(笑)と思っていました(笑)。

野中 今と変わらず狂ってるなという感じですかね。

田中 狂ってるは良い意味で受け止めます(笑)。

一同 (笑)。

田中 文介は、でっかいなという印象でした。めちゃめちゃ大きくて、新人練では何もできない状態だったし、大丈夫かなって思ってました。

野中 (栗田選手は)今と風貌が全く違うので、写真で見ても誰かわからないくらいです。第一印象は、みんなについていけてなかったので、心配でしたね。

栗田 今となっては恥ずかしいです(笑)。

田中 (野中選手は花園でも)優勝してきてるから雲の上の存在という感じで、最初はちょっと話しかけづらいというのは僕の中でありました。開いてみたらめっちゃ良いやつでした。

一同 (笑)。

栗田 僕も高校時代から花園とかで活躍を見てて、最初会った時はオーラあるなと思って、ちょっと距離感もあったんですけど、今となってはいい感じの仲です。

「もっとやれる、変えていかないと」(田中)

昨年を振り返り悔しさを滲ませる田中 【早稲田スポーツ新聞会】

ーー昨年のチームを振り返っていかがですか

田中 僕は秋シーズンAチームで出場できていなくて、Bチームからの底上げっていうのを頑張ってやっていたんですけど、そういう意味では下のチームからの底上げがもっとあれば、チームとしての結果も変えられたのかなと思うので、底上げが足りてなかったのかなと今になって感じています。

栗田 去年の夏合宿からフォワードにこだわってやってきたんですけど、最後の最後に京産戦でフォワードの部分、セットプレーでボコボコにされて、そこから崩れてしまったのが悔しいです。それを糧に今年はフォワードのさらなる強化をしていかなければならないと感じています。

野中 僕自身(シーズン)終盤にあんまり良くなくて、パフォーマンスが少しずつ落ちていったのでその課題を今年克服できるように頑張りたいです。



ーー昨年は個人的に何に重点を置いて取り組んでいましたか

田中 僕はやっぱり仕事量と目立たないところ、ブレイクダウンとか細かいところを突き詰めるということをやっていました。ただシーズン中怪我してしまって、そこからグラウンド外の過ごし方が課題に上がって、そこでラグビーに費やす時間を増やせたなと感じています。

栗田 僕が起用されている理由として突破力があって、去年はアタックにフォーカスしていたんですが、ディフェンスの部分が足りていないなと思っていて、今年はアタックももちろんですが、ディフェンスの部分を特に強化していきたいと思います。

野中 去年は10番(SO)を務めることが多くて、ゲームメイクの部分でチームを前に出そうと意識していました。うまくいく時もあれば、悪いところも出たのでそこをもっと改善していきたいと思います。



ーー個人的に成長したと思うところは何かありますか

野中 僕は昨年U20(日本代表)の遠征に行ってから、どれだけ格上であろうと人間対人間の戦いなので、怖がることをせずに自信を持ってプレーするようになったところが変わったかなと思います。

栗田 僕も(U20日本代表合宿で)南アフリカに行かせてもらって、出場時間は短かったですが、でかい相手と戦うことで一対一のコリジョンの部分の強さが上がったかなと思います。

田中 僕は自分の役割の明確化というか、1年生の頃はなんでもやるという感じでしたが、昨年は自分の強みをチームのやりたいことに対してどう生かしていくのかというのを考えた結果、強みをチームにフィットさせながら出せるようになったのかなと思います。



ーー特に印象に残っている試合はありますか

野中 僕は、帝京戦ですね。終盤まで接戦だったんですけど、あと一歩で勝てるところを勝ちきれなかったことが悔しさの残る試合でした。

栗田 僕は最後の京産戦です。本当に何もできなかったというか、一番悔いが残る試合だったので、その悔しさを忘れずに今年一年間取り組んでいきたいなと思います。

田中 僕は春の帝京戦です。A(チーム)で出させてもらった試合で、格の違いというか、自分の中で何もできなかったなというのを感じて、赤黒を着ているのに自分は何もできていないというのが、その試合を通して変えていかなきゃなと思うきっかけになりました。



ーー改めて選手権の結果をどう受け止めていますか

田中 僕はメンバー外だったので、上井草のテレビで見ていて、早稲田がなんもできていないっていうのを感じて、自分としても悔しいですし、一緒に頑張ってきたメンバーがあそこまでやられているのを見て、もっとやれる、変えていかないとと思っていました。

栗田 試合後にメンバー外の4年生の泣いている姿が本当に辛くて、今年一年間は4年生のためにという気持ちが強くなりました。

野中 メンバー外の仲間に対して申し訳ないという気持ちが一番と、今年こそは春シーズンから毎日を大切にしてやっていかないとなと思います。



ーー昨年のチームには何が足りなかったと思いますか

野中 細かなコミュニケーションはまだ足りなかったかなと思います。大まかなコミュニケーションは取ってたんですけど、細部にこだわった会話は少なかったかなと思います。

田中 選手からの主体的な行動です。監督やコーチ陣からの指示を受けて行動するというところが昨シーズンはあって、自分たちからもアクションを起こしていかなきゃなと思いました。

栗田 リーダーばかりに頼って、リーダー以外の選手が自分から発信できていなかったし、全員で作り上げるチームではなかったなと思います。

「とにかく笑って終わりたい」(野中)

今後を意気込みを語る野中 【早稲田スポーツ新聞会】

ーーまず、委員に選ばれたことをどう感じていますか

野中 チーム、大人数がいる中で、委員がしっかりと自覚を持ってチームの中心となって引っ張っていくことが、チームの日本一につながってくると思うので、そういう姿を他の部員に見せていかないといけないと思います。

栗田 これまでリーダー陣に引っ張ってもらってばかりで、今回委員というリーダー的な存在に選ばれたからには、練習内外で引っ張っていくという意識を持って過ごしていけたらなと思います。

田中 僕は秋のシーズンでも試合に出ていないので、正直あんまり選ばれるとは思っていなかったんですけど、ラグビーの取り組みとか熱量とかを健次くん(佐藤主将)に評価してもらって、選ばれたと思っているので、引き続きその取り組みや熱量、自分の行動で全部員に影響を与えられたらなと思っています。



ーー今シーズン個人的なテーマはありますか

野中 僕はスピードチェンジのところですかね。アタックでもディフェンスでもスピードの変化というところを求めてやっていきたいです。

栗田 僕はきつい時間帯になるとパフォーマンスが落ちるという課題があるので、フィットネス中とか、きつい時に一番声を出したり、一番体を張ったり、きつい時間帯のパフォーマンスを意識してやっていきたいと思います。

田中 僕はディフェンスの細かい部分というか、去年までは感覚的にやってた部分を、言語化できるようになるまでタックルやブレイクダウンの細かいところまで突き詰めてやっていきたいと思います。あとは委員に選ばれたので、特にフォワードを前に押し出せるように、引っ張っていけるようにやっていきたいなと思います。



ーー新チーム発足から現在までのチームの雰囲気はいかがですか

田中 いいと思います(笑)。

一同 (笑)。



ーー昨年から変化はありましたか

野中 会話は増えていると思います。選手間だけではなくてコーチ陣との会話っていうところも去年より増えていて、より一層発言しやすい環境はできていると思います。

栗田 同じくなんですが、練習中も、練習外でも会話の量が増えました。

田中 そうですね、去年の反省を生かして選手間の対話だったり、監督やコーチ陣との会話は本当に増えてきていて、それが今後いい方向に進んでいくのかなという予感はしています。



ーー新シーズンに向けてチームとして取り組んでいることはありますか

田中 フォワードは特にスクラムです。フォワードは負けてからオフシーズンもあまり挟まずに練習を開始したというのもあって、京産戦を含めスクラムで負けたら試合には勝てないと自覚しましたし、僕自身バックローですが8人全員で押すスクラムというのを今ずっと取り組んでいます。

栗田 ディフェンスの部分ですね。詳しく言ったらダメか、システムとか。

田中 ダメでしょ(笑)。

栗田 えっと、ディフェンスの部分です(笑)。

野中 バックスもディフェンスの部分は意識しています。あと、アタックでは取りきりの部分ですかね、去年取り切れなかったところを今年はものにできるように頑張っています。



ーー春シーズンフォーカスしてる試合はありますか

栗田 僕は明治と帝京です。昨年負けた相手とどれだけ戦えるか、試してみたいという気持ちがあります。

田中 その2試合はもちろんですけど、全試合で自分たちがこれまでやってきたことを出し切れるように、毎回の試合でやっていけたらなと思います。

野中 僕も明治と帝京です。チームとしてもフォーカスしているので、そこはより一層頑張りたいなと思います。



ーー改めて今年はどんな一年にしたいですか

野中 僕はとにかく笑って終わりたいってことだけです。

栗田 1年間通して怪我せず、ハードワークし続けたい

田中 試合に出続けること、A(チーム)の試合で出続けることを目標に、僕は今年出られなければ来年もないと思うので、今年にかける思いは人一倍強いです。



ーー最後に春シーズンへの意気込みと、ファンの皆さんにメッセージをお願いします

野中 昨年あの負け方から悔しい思いを晴らせるように、春シーズン戦っていこうと思うので、個人としてもチームとしても良い結果、全部勝てるように頑張っていくので応援よろしくお願いします。

栗田 春季大会もそうですし、下のカテゴリーでも勝ちにこだわって、全試合勝ち切れるように頑張るので、応援よろしくお願いします。

田中 春シーズンは内容だけでなくて勝ちを目指してやっているので、そこを全部勝ち切れるように、自分たちがやってきたことを出すことができるような準備をしていきたいと思います。応援お願いします。



ーーありがとうございました!

今シーズンに向けて意気込みを書いていただきました! 【早稲田スポーツ新聞会】

◆野中健吾(のなか・けんご)

2003(平15)年4月29日生まれ。180センチ。94キロ。東海大学付属大阪仰星高校出身。スポーツ科学部3年。1年時から早大の主力バックスとして活躍してきた野中選手。なんでもこなせるクレバーな印象とは裏腹に、ホラー映画が苦手という一面も。克服のために栗田選手を誘って鑑賞しているそうですが、なかなか苦戦しているようでした。


◆栗田文介(くりた・ぶんすけ)

2003(平15)年12月18日生まれ。184センチ。104キロ。千種高校出身。スポーツ科学部3年。新人練習の際は周りから心配されるほど練習についていけなかったという栗田選手。今ではU20日本代表に抜擢されるほどの逸材に成長し、大学屈指のフィジカルで早大になくてはならない存在です。


◆田中勇成(たなか・ゆうせい)

2003(平15)年8月20日生まれ。165センチ。89キロ。早稲田実業高校出身。教育学部3年。小柄な体型ながら、誰よりもタックルに入り続けるハードワーカー。その闘志溢れるプレースタイルには野中選手も「狂っている」と称賛するほど。寮生活でのチームメイトとの交流がマイブームという、仲間思いの優しい戦士です。
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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