【ラグビー/NTTリーグワン】勝って良い状態で入替戦へ―。 全員の力を結集させ聞いた歓喜を告げるホーン<GR東葛 vs S愛知>

【©ジャパンラグビーリーグワン】

NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)と豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)の今季3度目の対戦は、総当たりのリーグ戦を3位で通過したS愛知が17対14で勝利。後半35分に逆転トライを奪い、最後は相手の猛攻をしのぎ切って、歓喜を生んだ。

ジェームズ・ガスケルやフレディー・バーンズは、「勝ちたいという気持ちが勝利につながった」と語った。前半は相手のプレッシャーを受けて劣勢に回り、ラインアウトの乱れや絶好機でのミスも見られたが、「とにかくバトルし続けることが大事だった」とフレディー・バーンズが言うように、暑さが厳しい中でもハードワークを続けた。「これ以上、チームメートを誇りに思うことはない」とジェームズ・ガスケルが仲間を称えるほどだった。

その強い気持ちが、じわじわとGR東葛を追い詰めていく。この試合でけがからの復帰を果たした藤原恵太は湯本睦との交替時、「両チームとも疲れてきている。うまくコントロールして、攻めたらイケるぞ」と伝えたという。バトンを受けた湯本もそのアドバイスどおり、チームの勢いを加速させていく。

そして後半34分、テンポの速いパスワークから右サイドを攻略すると、松岡大河がブレイク。トライまであと一歩に迫るところで相手のハイタックルを誘い、絶好の位置でマイボールラインアウトを得た。「これまでの努力をすべて出し切ろう」とフォワード陣に話したジェームズ・ガスケルが選択したのはモール。ファンの声援を受け、歩を止めることなく逆転のトライを奪ってみせた。

フレディー・バーンズのコンバージョンキックは成功したものの、その差は1トライで逆転可能な3点。最終盤には相手の猛攻を受け、大ピンチに陥ったが、フレディー・バーンズと齊藤大朗が立ちふさがりグラウンディングを許さず。「引き込めば体を入れられると思った」(齊藤)と土壇場でも冷静な状況判断能力で窮地を救い、そのあとのゴールラインドロップアウトがタッチラインを割ったところで、歓喜を告げるホーンが鳴った。

来週末の結果次第でD1/D2入替戦の対戦相手が決定するが、負けて入替戦に進むのと勝って進むのでは、その価値は大きく異なる。5月18日にホストゲームとして迎える入替戦の第1節に、良い状態で向かえるのは間違いない。

(齋藤弦)

NECグリーンロケッツ東葛のウェイン・ピヴァック ヘッドコーチ(右)、レメキ ロマノ ラヴァ キャプテン 【©ジャパンラグビーリーグワン】

NECグリーンロケッツ東葛
ウェイン・ピヴァック ヘッドコーチ

「全体的に見て、チャンスを作り出している場面はたくさんありました。そういった意味ではポジティブでしたが、結果としてこの試合に負けたことは、本当に悔しいというか、残念な気持ちです。前半のチャンスを作り出せたところはしっかりと次の試合に生かしていきたい。後半のほうがポジティブな面は少なかったですが、総合的にポジティブなところを次の試合にも持ち込むことを狙っています。来週の浦安D-Rocks(以下、浦安DR)戦ですけれども、ボーナスポイントの獲得状況によっては1位通過という可能性もまだ残っているので、そこを視野に入れながら臨みたいと思います」

――後半終盤に逆転されてしまった要因はどう考えていますか?
「ハーフタイムで選手に伝えたのは、前半でやっていたようなプレーを引き続きやろうということです。なぜかと言ったら、チャンスは作れていたので、パスがつながっていたらトライも取れて、勝利することができるだろうと思っていたからです。しかし、結果的に最後のスコアまでもっていけないというところがありましたし、われわれのエラーが目立ったというところと、豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)さんのほうが逆転までしっかりもっていったところに関して、特にカウンターがすごかったです」

――田中史朗選手が今季限りでの引退を発表しましたが、ヘッドコーチから労いの言葉があればお願いします。
「本当に日本を代表する選手で、日本のためにラグビーをやってきた人間です。ニュージーランドでプレーしていたときも、地元のファンにすごく人気のある存在でしたし、そういったところまで自分を築き上げた方です。彼のキャラクター的に、敵がいない、人から嫌われない人柄で、ラグビーのキャリアにおいても、39歳でも、トレーニングを頑張って、チームメートのお手本になるような選手として毎日頑張ってくれています」

NECグリーンロケッツ東葛
レメキ ロマノ ラヴァ キャプテン

「(ウェイン・ピヴァック)ヘッドコーチも言ったように、本当に多くのチャンスがあって、6~7トライを取れたはずの試合でした。結果的には負けてしまいましたが、内容的にはずっとこちらが勝っていた展開でした。でも、これがラグビーです。スタッツがどれほど良くて完璧でも、最後の結果はこのようになる。来週の浦安DR戦では、まだ1位になるチャンスがあるので頑張っていきます」

――来週の浦安DR戦で勝利して、1位になるために必要なことはなんでしょうか?
「やりたいことをちゃんと遂行すれば勝てると思います。今日は一つのパスやタイミングなど、そういったものがうまくいけば勝つことができていたはずだと思うので、メンタル的には何も変わりません。準備がちゃんとできれば自信がついてくる。そうすれば浦安DRが相手でも大差で勝てると思います」

――引退する田中史朗選手に向けてメッセージがあればお願いします。
「レジェンドですね。日本のラグビーの歴史を変えた男です。スーパーラグビーでも優勝したし、2015年と2019年にはラグビーワールドカップにも出ました(※2011年大会にも出場)。ファンサービスも欠かさずにやっているし、何よりラグビーが大好きで、若い選手をご飯に連れて行くなど、チームのためにやってくれました。来季からいなくなるのは痛いですね」

豊田自動織機シャトルズ愛知の徳野洋一ヘッドコーチ(左)、ジェームズ・ガスケル共同キャプテン 【©ジャパンラグビーリーグワン】

豊田自動織機シャトルズ愛知
徳野洋一ヘッドコーチ

「本日は素晴らしい天気の中、ゴールデンウィークということもあり多くのファンにご来場いただき、またNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)さんの環境作りに感謝申し上げます。そして、田中史朗選手の引退発表がありましたが、日本のラグビーを引っ張ってきたことに対して、チームを代表して称賛の言葉を述べたいと思います。

試合については、内容どうこうという前に、順位決定戦で勝ち点を取るという結果が大事だと思っていたので、勝利をすることができてうれしく思っています。ただ、内容的にはGR東葛さんのプレッシャーを受けて、苦しい時間帯が長く続き、反対にわれわれがプレッシャーを掛けなければいけないところで、ミスをしてしまい流れをつかめなかったところは反省すべきだと思います。本日はありがとうございました」

――内容的には反省するところもありながら、逆転できた要因はどう考えていますか?
「まず選手たちが、この試合に限らずキャプテンを中心としてハードワークしてくれたところ。そして、前節はわれわれの力を発揮し切れずに敗れた中で、勝負どころで自分たちが戦うことを今週フォーカスしてやってきました。苦しい時間帯でも食らいついて我慢できるように修正して、成長できたことが勝利の要因だと思います」

――終盤は見ていてどんな感情を抱きましたか?
「試合前とあとでは、私の白髪の数が増えていると思います(笑)。みなさんと同じようにヒリヒリはしていましたが、本当にリーダー陣がチームをドライブしてくれて、私自身は彼らに委ねながらチーム作りを進めているので、きっとグラウンドの中では誰もあきらめることなく、(劣勢から)抜け出す方法を意思決定してくれていると思っていたので、選手たちを信頼していました」

――今後の試合結果で最終的な順位が決まりますが、勝って入替戦に進める価値は大きいのではないでしょうか?
「そうですね。後半戦から、自分たちに懸かる成長の期待感が高まり過ぎて、いろいろなところに目が向いてしまっていました。歯車がかみ合わなかったような消化不良の試合が続いてしまっていましたが、そうした中で、格上の相手に勝って反省できることはチームとして大きいと思います」

豊田自動織機シャトルズ愛知
ジェームズ・ガスケル共同キャプテン

「最初に、S愛知の応援にわざわざ駆けつけてくれたファンの方々に、感謝を申し上げたいです。ファンの方々のサポートというのはとてもスペシャルで、本当にありがたかったです。そして、GR東葛のサポーターの皆さまも、本当にありがとうございました。この環境でプレーすることを毎回楽しみにしています。

これ以上に、選手たちのことを誇りに思えることはないくらい、素晴らしいパフォーマンスやガッツ、努力が表れたことがこの特別な結果になっていると思います。ここから少し休んで、入替戦に向かっていきますが、対戦相手にかかわらず、チャレンジを楽しみたいと思います」

――試合中の暑さも含めて、本当にタフな試合だったと思います。
「これ以上求められないくらいのプレーを選手たちはしてくれたと思います。前節が終わったあと、隠すことなく正直な気持ちをチームに伝えて、いい形でここまでくることができたと思います。まだまだチームとして完璧な状態ではないですが、そこをしっかりと改善するとともに、選手たちの勝ちたいという気持ちがこの結果を導いてくれたと思うので、これを糧に入替戦に臨みたいと思います」

――逆転のトライを奪ったラインアウトモールのところでは、どんな言葉がありましたか?
「トライを奪ったモールにはとても満足しています。そして選手たちに伝えたことは、『ここでいままでの努力を出し切ろう』と話をしました。今週の準備でこのようなシーンのために練習をしてきていましたので、いい形で得点ができて満足しています」
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著者プロフィール

ジャパンラグビー リーグワンは、「あなたの街から、世界最高をつくろう」をビジョンに掲げ、前身であるジャパンラグビー トップリーグを受け継ぐ形で、2022年1月に開幕した日本国内最高峰のラグビー大会です。ラグビーワールドカップ2023を控え、セカンドシーズンとなるリーグワン全23チームの熱戦をご期待ください。

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