【ラグビー/NTTリーグワン】チーム最高の5位フィニッシュへ。 肝が据わったオールラウンダーが引っ張る<静岡ブルーレヴズ>

静岡ブルーレヴズ 奥村選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

「いまはどのチームも、ウチとやるのはすごくイヤだと思うんですよ。来季に向けて(相手に)プレッシャーを掛ける意味でも、残り2試合は必ず勝って、5位で終わりたいです」

そう語ったのは、4月に入ってから本職のフルバックとではなくスタンドオフでの出場が続いている奥村翔だ。「相手がイヤがる」と語った理由についてはこう続けた。

「スクラムが強いし、バックスにも展開力があって、内も外も止めにくいと思います。それに後半に入ってくるインパクトプレーヤー(控え選手)もすごく効いていると思います」

スクラムは静岡ブルーレヴズの伝統的な武器であり、今季はそれがより強力になっている印象がある。そしてバックスの展開力と交代選手の活躍は、今季から就任した藤井雄一郎監督の下で試合を重ねるに連れて伸びてきた部分だ。それらの要素が融合し始めた第10節からは、リーグワンではチーム最多の3連勝を含む5試合負けなしと結果にもつながっている。

直近2試合はどちらも31対31の引き分けという珍しい結果に終わり、残念ながらプレーオフトーナメント出場の可能性が消えてしまったが、今節で5位のコベルコ神戸スティーラーズに勝ち、最終節にも勝てば、ジャパンラグビー リーグワンでは最高位の5位に食い込める可能性は十分にある。それが実現すれば、チームにとっても選手にとっても「大きな自信になるし、来季につながると思います」と奥村は言う。

その奥村自身、今季は満足のいく出場数(7試合)ではないが、成長は実感できている。プレシーズンには7月から3カ月間フランスのスタッド・トゥールーザンにラグビー留学して多くのことを学び、開幕後はチーム事情もあって本職のフルバックよりもウイングでの出場が多くなり、試合によってはセンターも務めた。

そして前述のとおり、直近3試合では高校や大学時代にプレーしていたスタンドオフとして先発出場している。そうして複数のポジションを務めることで、自分の中で大きな気づきがあったと言う。

「フルバックとスタンドオフではプレーも視野も全然違いますし、最初は慣れるのに少し時間が掛かりました。でも、そのおかげで視野が広がりましたし、ゲームの展開や流れを考えたプレーも増えていると思います。15番のとき以上にフォワードと連係を取るとか、『この流れなら、次はこのサインでいこう』とか、より深く考えてラグビーをすることで、もっともっと良いプレーができることを、あらためて実感できています。ラグビーの奥深さを今まで以上に感じられ、スタンドオフをやらせてもらって本当に良かったですし、ほかのポジションをやっても応用ができると思います」

昨季は共同キャプテンを任されたことからも分かるように、次世代のリーダーとして期待される選手でもある。藤井監督も「いまのようにオールラウンドにできたらチームとしても良いオプションになるし、肝っ玉が据わっているのも彼の良いところ」と言う。

前節ではゴールキックも5本すべてを決めており、試合ごとにパフォーマンスを上げている。上位キラーぶりを発揮してチームと自身の成長を証明するためにも、奥村は肝が据わった強気のプレーを見せ続けてくれるはずだ。

(前島芳雄)
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著者プロフィール

ジャパンラグビー リーグワンは、「あなたの街から、世界最高をつくろう」をビジョンに掲げ、前身であるジャパンラグビー トップリーグを受け継ぐ形で、2022年1月に開幕した日本国内最高峰のラグビー大会です。ラグビーワールドカップ2023を控え、セカンドシーズンとなるリーグワン全23チームの熱戦をご期待ください。

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